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2020.11.24 08:23/ Jun

あなたの会社は、従業員が誰一人として思い出せない「ゾンビ化した理念」だらけで「ホラーハウス状態」になっていませんか!?

 あなたの会社は、従業員が誰一人として思い出せない「ゾンビ化した理念」だらけで「ホラーハウス状態」になっていませんか!?
 
 
 
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 組織の規模が、ある程度、多くなり、組織構成員のめざすものを明確に提示しなければならなくなったり、組織のまとまりを高めようとするときには「理念経営」というものがなされます。
  
 理念経営にもさまざまなものがありますが、ここでは、
  
1. 組織が「組織のよりどころ」となる「文章体系」をかかげ
  
2. 組織メンバーや組織のステークホルダーを目標にむかって動かし、コミュニケーションをうながすことで、
  
3. 組織の成果を効果的に達成しようとする「経営のありかた」
  
 としておきましょう。
  
 企業規模の大きな会社、複数の事業をもちつつ拡大している会社などは、たいてい、「組織の理念」というものが定められていることが多いものです。
  
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 しかし、この理念・・・これが問題です。
  
 仕事柄、さまざまな組織の、さまざまな「組織の理念」を目にすることが多いのですが、これがまことに「香ばしい状況」になっている組織もございます。
  
 もっとも多いケースは、
  
 理念、社是、ビジョン、ミッション、バリュー、クレドといった「理念らしきもの」が、経営者や経営層が変わるたびに新たに提唱され、一貫性を失ったまま、もはや、ゾンビ化(形骸化)している
  
 というアチャパーな状況です。
  
 
(再登場!)
     
 理念、社是、ビジョン、ミッション、バリュー、クレドは、「組織の拠り所」となる大切なものですよね。だからこそ、途中でひっこめられない。  

 理念、社是、ビジョン、ミッション、バリュー、クレドは、そこに「思い」が込められているわけですよね。だから、おいそれと「廃止」するというわけにもいかない。
  
 そういたしますと、
  
 組織が危機に瀕したり、不活性の状態に陥るたびに「新たに理念」がつくられていくことになるのです。
  
 理念は、つねに新たに「鋳造」され、積み重ねられてきます。
 理念をかかげても、それが体現できず、
 組織がまとめられず成果がだせない組織であればあるほど
 理念が多々生まれる状況が生まれる。
  
 ときには、一貫性を欠いたかたちで。
 ときには、形骸化して、誰も思い出せないかたちで。
     
 かくして、
  
 従業員が誰一人として思い出せない「ゾンビ化した理念」
  
 が組織内に満ち満ちていくという状態に生まれてしまうということになるのです。
  
 えっ、理念?
 うちの会社にそんなものあったっけ?
  
 うちの会社の理念?
 いまいち、思い出せないですね。
  
 えっ、うちの会社のミッション?
 誰もピンときてないのが、ありますよ
   
 (爆)
    
 ▼
   
 今日は「ゾンビ化した理念」について書きました。
  
 この状況のもっともややこしいことは「ゾンビ化した理念」は、自らが成仏(体現されて、全うされない)がゆえに、さらに「ゾンビ化する理念」を新たに生み出してしまうということです。
    
 かくして、組織は「ゾンビ化した理念」の群れで「ホラーハウス状態」になってしまう、ということですね。
  
 おお、くわばら、くわばら。
  
 あなたの会社は、従業員が誰一人として思い出せない「ゾンビ化した理念」が満ちていませんか?
  
 あなたの会社は、「ゾンビ化した理念」の群れで「ホラーハウス状態」になっていませんか?
  

 そして人生はつづく
  
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