2020.10.1 06:36/ Jun
大学生が「卒論」を書く意味とは何か?
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中原ゼミの初代1期生、すなわち、4年生は、今、個人で「卒業論文」に取り組んでいます。
ゼミ生は、20名弱おりますので、個人で卒論を書かれてしまうと(!?)、わたしとしては、かなり(というか猛烈に)大変なのですが、敢えて敢えて、僕は、中原ゼミの学生に、個人で卒論を書くことを推奨しています。
(立教経営の制度では、卒論は書いても書かなくてもいい。書く場合は1人2万字)
それはなぜか?
そこには大きく分けて、2つの理由があります。あくまで僕の個人的な考えであり、一般化したいわけではありませんが、以下に論じてみましょう。
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ひとつめの理由は、
「自分1人のちからで、解くべき課題が何かを決めて、自ら設定した課題を解き切る経験」
を学生の最後に持たせてあげたいからです。
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彼ら4年生は、あと半年もたてば、シャバにでて、仕事をしはじめます。
長いと思っていた学生時代は、もう半年もたたないうちに、終わります。
彼らの多くは、学生の時分は、「プロジェクト学習」などで、教員や企業から「与えられた課題」を、「チームで解くこと」を行ってきました。
しかし、シャバでは、
問題とは「与えられるもの」ではなく、
自ら「設定するもの」になる局面が増えます
究極的には、何を解くのか(What)、どのように解くか(How)を自分自身の頭で考える
そして、その際、それを「個人」で達成することも求められる。
シャバでは、大学のプロジェクト学習のように、「よきチーム」に必ずしも恵まれるわけではなく、「個人」で解かなければならないこともある。
僕は、「卒論」という機会を通して、学生には、
自ら解くべき課題を設定し、自ら設定した課題を解決して欲しい
これが、僕が卒論を重視する理由です。
世界を見渡してみれば、学部レベルで、ひとかどの論文を書く経験を学生に課している国は、そう多いわけではありません。僕は「SOTSURON」は、日本の大学が守っていきたい文化のひとつではないか、と個人的には思います。 何でもかんでも、グローバルにあわせりゃ、いいってもんぢゃないんだよ。
だから、卒論、やる。
でも、指導は20名。
たぶん、死ぬ(泣)
でも、根性でやる(笑)。
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もうひとつの理由は、「卒論をとおして、自分と向き合って欲しいから」です。
学生のなかには、これまでの人生、22年間を通して「自分としてこだわってきたこと」「自分として課題だと思ってきたこと」がある学生もいます。
ひとによっては、そうした「自分のこだわり」を卒論のテーマにして、探究する、といったことも目指して欲しいと思います。もちろん、すべての学生がそうする必要はありません。
せんだって、6名分の卒論指導をオンラインで行いました。
そのなかのひとりに、長いあいだスケートをやってきた学生Aさんがいました。
Aさんが、僕のところにもってきた研究テーマは、
引退を控えたスケート選手による「コロナ禍」の意味形成プロセスに関する定性的研究
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もうおわかりだと思いますが、これは「コロナ禍によって競技人生の集大成をかけた大きな試合」があえなく中止になってしまったAさんが、今、一番気になっていることです。
この卒論は、自分自身が、今、探究したいことなのです。
彼女は、今回の卒論で、自分以外の他のスケート選手と対話を行うことで、Aさんと同じように、コロナ禍で競技人生があえなく中断してしまった選手が、いかにしてレジリエンスを発揮して立ち直るかを考えてみたい、とのことでした。
コロナ禍なので、競技が中断してしまったことはどうしようもない。
誰も責められるわけではない。
そのことは頭ではわかっている。
でも、このやり場のない怒りや寂しさ。
噛みきれない思い。
こうした思いをもつのはAさん自身です。
Aさんが、今回の卒論で、自分以外の様々なスポーツ選手に、コロナ禍に関するヒアリングを行うことで、きっと、「Aさん自身のコロナ禍の意味形成」も進むのではないでしょうか。
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このように、僕は、学部生の卒論の意味とは「自分に向き合うこと」「自分のこだわりを消火する」も含まれていいのではないかと思っています。もちろん、それができるのは、僕の分野だからというのもあるでしょう。
卒論での探究を通して、自らを「癒やして」欲しい
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彼らの多くは、職業研究者になるわけではありません。ならば、学問として正統な?テーマを設定させるよりも、多少破天荒であっても、彼らがやりたいテーマをなるべく実現させてあげたい。そのプロセスを通して、僕は「自分に向き合うこと」を彼らにすすめたいと思います。
卒論を通して「噛みきれない思い」を消火していってほしいと思います。
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今日から10月!
卒論提出まではあと3ヶ月ほどです(ちなみに、年末には出してもらえないと、僕はフィードバックできませんよ! & 大学教員歴20年・・・僕は〆切を超えた卒論を1度も受け取ったことがありませんYO!)。
彼らが、「自ら課題を設定すること」「自分自身に向き合うこと」に取り組み、卒論を楽しむことができたとしたら、これ以上に嬉しいことはありません。
もし、自分だけで進まない夜があるなら、Zoomで他のゼミ生に話しかければいい!
決して、孤独にならないこと。閉じぬこと。
これさえ守っていれば、必ず、卒論は達成できます。
最後に、中原ゼミ論文8か条!
【卒論・修論・博論を書いている皆様へ】
1.こまめにセーブ
2.バックアップは複数で
3.印刷はお早めに
4.手洗いうがいで、体調管理
5.睡眠快眠、よい論文
6.今日も執筆、明日も執筆
7.終わった論文が、よい論文!
8.完璧めざすより、終わらせろ!
そして人生はつづく
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新刊「サーベイフィードバック入門ーデータと対話で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」がこのたび、HRアワード2020書籍部門のリストに入賞したそうです。
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中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約28000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
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