NAKAHARA-LAB.net

2020.5.18 08:14/ Jun

配属ガチャ、上司ガチャに引き続き、背筋が凍る「会社ガチャ」の発想とは!?

 配属ガチャ、上司ガチャにつづき、「会社ガチャ」という言葉があるらしい!
   
  ・
  ・
  ・
  
 先だって、「転職学」のプロジェクトで、パーソル総研・パーソルキャリアの皆さんと議論していたとき、このことが話題になりました(転職学プロジェクトはパーソル総研の小林さん、パーソルキャリアの吉村さん、平田さん、影山さん、藤田さんらと取り組んでいます。皆さんとの議論やブレストを毎回楽しみにしております!今年度中には本がでるはず!お楽しみに!)。
  
 ここで「配属ガチャ」とは
  
 新卒入社の配属先が、会社の意向で、あたかもソーシャルゲームの「ガチャ」、懐かしのカプセルトイの「ガチャ玉」のように決められてしまうこと 
  
 をいいます。
  
 要するに、ワンセンテンスで申し上げれば
  
 「配属は選べない=ハズレをひくこともある」
  
 ということですね。いにしえからある日本の雇用の問題点です。今風にいえば、これが「配属ガチャ」
  
 また、ここから派生して「上司ガチャ」とは
  
 配属された先の上司が、どんな人かは、従業員には選べず、会社によって決められてしまうこと
  
 をいいます。
  
 要するに「上司は選べない=クソ上司をひくこと」もある、ということですね。これも、今更ジロー感のある、いにしえからある問題です。
  
  ・
  ・
  ・
  
 ただ、この時期のSNSには、
  
 あー、おれ、配属ガチャと上司ガチャのダブルパンチで、マヂ鬱
  
 といったような新卒社員たちの叫びにも似た台詞が、散見されるのでしょうか。
  
  ▼
  
 ところで、この「ガチャ」メタファ、いろいろ深掘りをしてみると、面白いところもございます。配属や上司の問題を「ガチャ」のメタファで語りうる、その後景には、いくつかの「前提」が隠されているかのようにも感じます。
  
 それは下記の3つです。
  
1.自分の将来は「偶然によって決められたもの」を受け取ることなのだ、という発想
  
2.自分は「結果」を受け取るだけで、その結果によって「すべてが決まってしまう」と考えてしまう発想
  
3.「ハズレ」があるのだから、どこかには「アタリ」があると思ってしまう発想
  
  ・
  ・
  ・
  
 年齢や経験を重ねたビジネスパーソンなら、この発想のあまりの「香ばしさ」に、きっといろいろ言いたいこともでてくるでしょう。
  
 が、週明け月曜日の朝っぱらから、まぁ、あまり口うるさくいうのも何なので、いまは、その「香ばしさ」を鼻からいっぱい吸い込んで、味わうことにしましょう。
  
 ダバダー。
  
 そして、問題は、ここからです。
  
 まぁ、配属ガチャ、上司ガチャなら、まだわかる。 
 その先にある「会社ガチャ」ってどういうこと???(笑)
    
「会社ガチャ」がなんたるか、は小生はわかりませんが、もし、これが配属ガチャや上司ガチャと同じ意味の線のうえに解釈されうるものだとすれば、先ほどの3つの「前提」を敷衍することができるはずです。
    
 ならば、こういうことになりますでしょうか。
  
 会社ガチャの後景にある「発想」とは
  
1.どこの会社に入るかなんて、偶然で決まるのであって、入れてくれるところに入ればいいという発想
  
2.自分はその結果を受け取ればいいのであって、そこからの働き方や未来は、会社が決めてくれるという発想
  
3.ハズレの会社があるのだから、どこかにはアタリの会社があるんだろうなという発想
  
 すごい!アッパレ!
 ここまでくると、思わず、コーヒーふくわ。
  
 
 
 究極の「ぶらさがり社員」「他責ピーポー」ですね。
 こういう社員が新入社員で来たら、大変だろうな・・・。
  
  ▼
   
 今日は配属ガチャ、上司ガチャに引き続き、背筋も凍る「会社ガチャ」問題について妄想してみました。
  
 あなたの会社には「ガチャガチャ」言ってる新入社員はいませんか?
   
 そして人生はつづく
  
  ーーー
    
新刊「サーベイフィードバック入門ーデータと対話で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」が好評発売中です。AMAZON人事・マネジメントカテゴリー1位を記録しました。組織調査を用いながら、いかに組織を改善・変革していくのかを論じた本です。従業員調査、HRテック、エンゲージメント調査、教学IRなど、組織調査にかかわる多くの人事担当者、現場の管理職の皆様にお読みいただきたい一冊です!
  

  
 ーーー
  

    
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
   

  
 ーーー
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約25000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.12.28 09:58/ Jun

専門知の「パワフルさ」と「盲目さ」!?

2024.12.25 10:57/ Jun

「最近の学生は、昔からみると、変わってきたところはありますか?」という問いが苦手な理由!?

2024.12.8 12:46/ Jun

中原のフィードバックの切れ味など「石包丁レベル」!?:社会のなかで「も」学べ!

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:54/ Jun

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:12/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点