NAKAHARA-LAB.net

2020.3.13 07:18/ Jun

すっとぼけて、忘れたふりして、二度とリスケされない「1on1」!?

 この世には「2度とリスケされない1on1」というものがございます。
  
 部下においては、
  
 「なぜ1on1をするのかわかっていない」
 「1on1と言われても、何を話して良いかわからない」
   
といった場合、
  
 上司においては、
  
 「これまでにも育成・面談はやってきたのに、なぜ、今更、1on1なのかがわからない」
 「1on1をするのが、正直いうと、たるい」
  
 といった場合において、両者の思惑が「一致」して、「共犯関係」を結んだ場合、「2度とリスケされない1on1」が生まれやすいのだと思います。
  
「1on1はやること」にはなっているけれど、「1on1をする理由」は腹に落ちていないので、何らかの突発的なきっかけで1on1がキャンセルされた際、それがリスケ(リスケジューリング:スケジュールの再調整)がなされないのです。
  
  ▼
  
 その兆候は、たいてい、こんな会話からはじまります。
 部下の方から、下記のような発話が連続で見られたら、注意が必要かもしれません。
  
「あの、1on1の時間、お客さんから呼ばれちゃって、今週、1on1キャンセルしてもいいすか? 次回まとめて話しますんで」
  
「(1on1している最中に)あっ、ちょっとお客さんから携帯かかってきて。ちょっと待っててもらってもいいですか・・・(待てど暮らせど、10分、帰ってこない)」
(会議室の片隅で、松村和子の「帰ってこいよ」を歌ってください)
  
「(1on1している最中に)あのー、もうそろそろいいですか。ちょっと、僕、次の予定はいってるんで。次回の予定は、メールしますんで、そこで調整でいいですか?」
  
  ・
  ・
  ・
  
 ふとしたきっかけで、何らかの理由で1on1がキャンセルになって、もう二度と復活しない1on1が「2度とリスケされない1on1」です。
  
 かくして、
  
 1on1は、すっとぼけて、忘れたふりして、実践されなくなる
  
 のです(泣)。
  
  ▼
   
 今日は「すっとぼけて、忘れたふりして、二度とリスケされない1on1」のお話をさせていただきました(笑)。最近は、コロナウィルスの感染が広がり、リモートワーク・テレワークの広がりで、一時的に1on1が実践されなくなっている企業も、少なくないと聞きます。
  
「ちょっといまはコロナなんで、1on1はキャンセルして、リモートで仕事しましょう」
   
 といった感じでしょうか。
  
 短期的には、テレワーク・リモートワークで、仕事をするのは可能かもしれませんが、中長期には、上司ー部下間の
意思疎通・コミュニケーション(Leader-Member exchange : リーダーとメンバーの社会交換関係)は少しずつ色あせていきやすいのかな、と思います。
  
 本来的には、リモートワーク・テレワークで「関係性の質」が毀損される可能性が高くなるからこそ、LMXを安定的に維持しなければならないのかなと思います。むしろ、テレワークの広がりで、ひとびとの心が外に向きやすいからこそ、1on1が必要になるのかな、と思いますが、いかがでしょうか。
  
 あなたの会社では「2度とリスケされない1on1」が生まれていませんか?
 
 あなたの会社の1on1は、すっとぼけて、忘れたふりして、実践されなくなっていませんか?
   
 そして人生はつづく
   
  ーーー
   
「フィードバック入門」13刷、「実践!フィードバック」が重版5刷です。ハラスメント時代に必要な部下育成の技術がフィードバック。耳の痛いことをいかに部下に通知し、そこから立て直しをはかることができるか。全国各所の管理職研修で用いられています。はじめてリーダーになる方、管理職になる方におすすめの2冊です。どうぞご笑覧くださいませ! この書籍をベースにした映像教材、通信教育教材、研修などもございます。
     
 
   
DVD『フィードバック入門』、通信教育、研修はこちら
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
   
  ーーー
  
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約25000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.12.25 10:57/ Jun

「最近の学生は、昔からみると、変わってきたところはありますか?」という問いが苦手な理由!?

2024.12.8 12:46/ Jun

中原のフィードバックの切れ味など「石包丁レベル」!?:社会のなかで「も」学べ!

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:54/ Jun

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:12/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.29 08:36/ Jun

大学時代が「二度」あれば!?