2020.1.10 07:44/ Jun
「最近、自分の会社が、何の会社かわからなくなってきているんです。うちは、もともと広告で利益をあげてきた会社なんです。最近は、M&Aでeコマースの事業を伸ばしていますし、金融にも手をつけています。うちの会社は、今、何の会社なんでしょうか?」
「うちの会社は、かつては家電の会社でした。しかし、いまや保険とゲームと音楽の会社になっています。うちの会社は、どこをめざしていくのでしょうか?」
「うちの会社は、もともと通信の会社でした。しかし、いまは、投資会社になっているのでしょうか。いったい、どちらがうちの会社の未来なんでしょう?」
「うちの会社は、銀行なんですが、しかし、人材紹介などにも手をつけています。外からみて、うちの会社は、まだ、銀行なんでしょうか?」
「うちの会社は、かつてフィルムの会社でした。しかし、今では、化粧品や医療機器のメーカーです。うちの会社は、10年後には、まったく違う会社になっているかもしれません。うちの会社って、そもそも何の会社だったんでしょう?」
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冒頭のそれぞれの発言が、果たして「どの会社なのか」はさておき(笑)、ここ数年、日本のいくつかの会社で広がりつつある症候群に、「うちの会社って何の会社だったっけ症候群」というものがあるような気がしています。
市場の変化が早い。
それに応じて、どんどんと事業が変わる。
加速するM&A、ノンコア・コア事業の選別。
朝、夜があければ、会社のあり方が、ドラスティックに変わっている。
このように変化が激しい時代にあっては、
「うちの会社が、何の会社なのか?」という組織のアイデンティティが曖昧になってくる。
そして
「うちの会社が、何をめざしていたのか」という組織の目標が、次第にわからなくなってくる。
そして、従業員の「心がざわざわ」しはじめるのです。この「心のざわざわ」が、「うちの会社って、何の会社だったっけ症候群」です。会社や事業や市場が変わるスピードははやい。しかし、「ひとの心」が、そのスピードについていけないのです。心は思ったよりも、ゆっくりと変わる。
「うちの会社って、何の会社だったっけ症候群」は、深刻になると、「自分はなぜ働いているのか?」「自分は何をめざしているのか?」という仕事の目標、キャリアの目標が曖昧化してきます。最悪の場合、パフォーマンスに影響を与えたり、離職・転職の増加につながってしまう可能性もあるのです。
逆にいうと、こうした変化の激しい世の中においては、組織のアイデンティティを確認し合ったり、ミッションマネジメントを強化したりする組織開発や人材開発が必須になってきます。
変化の激しい世の中においては、組織の中には、猛烈な「遠心力」がはたらきます。従業員の心は「ざわざわ」して、最悪の場合、バラバラになりかねません。ゆえに、組織は「猛烈な遠心力」にあらがう「求心力」を必要とするのです。
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今日は「うちの会社って、何の会社だったっけ症候群」について書きました。
あなたの会社では「うちの会社って、何の会社だったっけ症候群」が発病していませんか?
あなたの会社では「遠心力」がビュンビュンと働き始めていませんか?
あなたの会社には従業員をひきとめる「求心力」がありますか?
そして人生はつづく
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