2019.11.8 06:55/ Jun
あなたは、ひそかに、どのような「暗黙のリーダーシップ理論」をもっていますか?
・
・
・
この世の「理論」には「Formal Theory(公式の理論:フォーマルセオリー)」と「Folk Theory(非公式の理論:フォークセオリー)」という「2つの異なる理論」があるといわれています。
「Formal Theory(公式の理論)」とは、厳密な研究的な手続きにもとづき、主に、研究者によってつくられる「理論体系のこと」。「アカデミックな理論」といってもよい。
一方、「Folk Theory(非公式の理論)」とは、「市井のひとびと」が、経験の中から紡ぎだし、つくりだす「理論(≒持論)」のことをいいます。
ひとびとは、自らの経験から、「世の中とは・・・いうものだ」「世界とは・・・こういうものだ」という「Folk Theory」を日々紡ぎ出している存在です。ナラティブ論が、好きなひとは、「Folk Theory」を「Narrative」と読み替えてもかまいません。
▼
ところで、「Folk Theory(非公式の理論)」のなかには、
「リーダーとは・・・のようなものである」
といった「リーダーやリーダーにまつわる市井のひとびとの理論」も存在します。
フォロワーがリーダーシップを認知するにあたり、フォロワーがひそかにもっている「リーダーシップ理論」のことを、「暗黙のリーダーシップ理論(Implicit Theory of Leadership)」といいます。
フォロワーは、リーダーの行動を観察したり、周囲に生まれるリーダーシップを判断する場合、それらを直接的に「認知」し、判断するのではなく、自分のもっている「暗黙のリーダーシップ理論」を準拠枠組みとします。
端的にいってしまえば、「暗黙のリーダーシップ理論」を「判断基準」にもちいることで、ついていくかどうか、のレスポンスを決めるということになるのでしょう。
▼
昨日、大学院でM2の伊倉康太君が、この「暗黙のリーダーシップ理論」を含んだ英語文献を報告してくれました。面白い議論だと思いました。
たしかに、わたしたちには、
「リーダーとは・・・のようなものだ(・・・であるべきだ)」
「リーダーシップとは・・・のようなものだ(・・・の状態が望ましい)」
といった「暗黙のリーダーシップ理論」があるような気がします。
わかりやすくいえば、
リーダーとは「誠実で、エネルギッシュで、声がでかくて、揺るぎない意志がある人のことだろ、そんなの常識じゃねーか、バカヤロー、コンニャローメ」といったような考え方です。
興味深いのは、おそらく、リーダーの側にも、こうした暗黙の理論があるように思います。リーダーがもっているのは、いわば「暗黙のフォロワーシップ理論」とでもいうのでしょうか。
「フォロワーとは・・・のようなものだ(・・・であるべきだ)」
「フォロワーシップを発揮するとは・・・のようなものだろう」
といったような考え方ですね。
「妄想戦士レットウジャー」のひとりとして、ついつい、妄想しちゃったのは、今後の研究の可能性のひとつが、
「暗黙のリーダーシップ理論」と「暗黙のフォロワーシップ理論」の交互作用(組み合わせ)によって、どのようなリーダーシップが生まれうるのか
ということにあるのかな、と思いましたが、いかがでしょうか。
フォロワーの方がどんなに「暗黙のリーダーシップ理論」として「明るく何でも話していけるチームを理想としていても、リーダーの「暗黙のフォロワーシップ理論」が「いいから、黙ってついてこい、ヴォケ」なら、リーダーシップの生まれようがない(笑)
要するに、組み合わせだと思うのです。
ま、この「暗黙の理論」は「どのように測定するか」という問題は非常に大きなものがあるけれど(昔、僕はこの測定に大失敗してしまったことがある・・・)、そんなのもありかな。妄想、面白いね。無料だし(笑)。
▼
今日はリーダーシップにまつわる「暗黙の理論」について書きました。
リーダー、フォロワーといわずとも、もっと卑近な例をだせば、ひとびとは、それぞれ独自の「上司論」「部下論」を持っている。
つまり、
「上司とは・・・であるべきだ」
「部下とは・・・であるべきだ」
といったような「暗黙の上司理論」「暗黙の部下理論」を、ひとびとは、持っていますよね。
そういう、それぞれがもっている「暗黙の理論」を掘り下げてみると、きっとひとによってまったく違うんだろうなと思います。面白いね。
あなたは、どんな「暗黙の上司理論」をもっていますか?
あなたの上司は、どんな「暗黙の部下理論」をもっていますか?
あなたの周囲の「暗黙の上司理論」と「暗黙の部下理論」は、マッチしていますか?
そして人生はつづく
ーーー
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
ーーー
【注目!:中原研究室のLINEを好評運用中です!】
中原研究室のLINEを運用しています。すでに約14000名の方々にご登録いただいております。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
最新の記事
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun
2024.11.26 10:22/ Jun