2019.7.1 06:30/ Jun
「個人の変化」がいくら集まったとしても「組織の変化」にはなりません
・
・
・
わたしたちは、ついつい「個々の組織メンバーを変化」させれば、「組織が変わる」と思いがちです。
すなわち、下記のような数式を想定してしまいます。
しかし、これが「幻想」です。
実際には、下記のように、この数式は成立しません。
冒頭申し上げましたように、
「個人の変化」がいくら集まったとしても「組織の変化」にはならない
のです。
それはなぜか?
組織メンバーが集まったところには、個々のメンバの有するものを超越したもの・・・たとえば「メンバーの関係性」があり、「メンバーがめざすべき目的」があります。
また組織には「凝集性(強固なまとまり)」があり、「イナーシア(慣性)」があります。いったん動きだした組織は、そう簡単には変わりません。
アタリマエダのクラッカーですが(死語)
組織を変えるとは、個人を変えるよりも、難易度が高い
のです。
▼
それでは、組織を変えるためには、どのようなアプローチがあるでしょうか。
これについては、これまでに膨大な先行研究があります(とはいえ・・・出尽くしている感もありますが・・・)。
今日は、かなり前のことになりますが、大学院・中原研で、斎藤君が、Academy of Managementのレビュー論文を報告してくれたものをご紹介します(ありがとう)。
Stouten, J., Rousseau. D. M. And Cremer. D. D.(2018) Successful organization Change : Integrating the management practice and scholarly literatures. Academy of Management Annals 2018, Vol. 12, No. 2, 752–788.
この論文では、もっともよく知られているコッターの組織変革モデル、カンターの組織変革モデルなどをレビューしたうえで、科学的なチェンジマネジメントの原理・原則として、10のプロセスを明らかにしています。それが以下のようになります。
皆さんは、組織を変えステップとしてどのようなものを想定なさいますか?
1.問題に関する事実を集める
2.変化に対する組織の準備度合いを評価し取り組ませる
3.科学的知見に基づいた変革のための介入を実施する
4.効果的な変革のリーダーシップを開発する
5.説得の力のある変革のビジョンを開発し伝える
6.ソーシャルネットワークを用いて働きかけ、影響力を活用する
7.実施をサポートするために有効な実践を利用する
8.小さなプロセスと実験を促進する
9.ゆっくり時間をかけて変革の進捗と成果を評価する
10.変革が効果を持続的に発揮できるように制度化する
要するに・・・
組織を変えるとは「あの手、この手」である
とわかります。
でも、「あの手、この手」だからといって、やたらめったら、「手をうちゃいい」ってわけでもない。
あの手、この手ではあるけれど、一方で、
組織を変えるとは「段取り」でもある
しっかりとした準備をもとに、Planed Change(計画された偶発的な変化)をもたらさなくてはならない。
ま、そんな簡単に、組織なんて、変わらないから(笑)
しっかりと地に足をつけた地道な取り組みが必要なのです。
▼
先週は、中野民夫さん、安斎さんらと主宰しているWorkshop Spirit というワークショップで、「組織を変える」というお話を、人材開発・組織開発のルーツに戻ったうえで、おこなわせていただきました。
参加者の皆様は非常に熱心にお話を聞いて下さり、心より感謝いたします。また、東南さん、鷹取さん、和泉さんをはじめスタッフの皆様には、素晴らしいサポートをしていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
組織を変えるとは「あの手この手」であり「段取り」です。
あなたの組織を変えるためには「何」が必要ですか?
あなたの組織は、何につまづいて、変わらない状態に陥っていますか?
そして人生はつづく
ーーー
2019年8月21日(水曜日)ー22日(木曜日)「マナビフェス2019」が開催されます。「マナビフェス」は「2030年の学びのあり方」を考え、アクションを起こしていこうと考える方々が、全国から1000名規模でお集まりいただく「フェス」となります。第一線を走る研究者や実践者の方々が「教育や学びのあり方」を考えるための「最先端の知識」をおしげもなく披露してくれます。また100名以上が集まるポスターセッションもございます。2日間で最先端まで理解を深めませんか?
【マナビフェス2019お申し込みサイト】
https://be-a-learner.com/manabifes/2019/
ーーー
新刊「未来を語る高校が生き残る」・・・2020年の大学入試改革、2022年の新学習指導要領改訂。社会をきりひらく人材を育成するために、高校・大学・企業に何ができるか? アクティブラーニング、カリキュラムマネジメント、そして「未来を語ること」。「未来を語ること」を通した学校づくりを提唱する中原研究室×河合塾×JCERIの研究の最新知見です。どうぞご笑覧ください。村松灯、渡邊優子編著、中原淳監修、学事出版さんからの出版です。
ーーー
新刊「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳・ラーニングエージェンシー著)が重版出来!1万部突破です!AMAZONカテゴリー1位「企業革新」「女性と仕事」を記録しました!。女性のキャリアや働くことを主題にしつつ、究極的には「誰もが働きやすい職場をつくること」を論じている書籍です。7000名を超える大規模調査からわかった、長くいきいきと働きやすい職場とは何でしょうか? 平易な表現をめざした一般書で、どなたでもお読みいただけます。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
「育児は仕事の役に立つーワンオペ育児からチーム育児へ」(浜屋祐子、中原淳著 光文社新書)、AMAZONカテゴリー1位(光文社新書)、経営学カテゴリー2位を記録しました。育児と仕事の良好な関係、ワンオペ育児を乗り越え、チーム育児に転換していくヒントがあふれる書籍です。浜屋祐子さんの修士論文の知見をモティーフにした、育児の科学。どうぞご笑覧くださいませ。
ーーー
新刊「データから考える教師の働き方入門」(辻和洋・町支大介編著、中原淳監修)好評発売中です。1日の労働時間が約12時間におよぶ、先生方。その働き方を見直し、いかに持続可能な職場をつくりだすのか、を考えます。「サーベイフィードバック方の組織開発を応用した働き方改革」の事例として、教育機関以外の組織でも応用可能です。どうぞご笑覧くださいませ
ーーー
新刊「残業学」重版出来、6刷決定です!(心より感謝です)。AMAZONの各カテゴリーで1位を記録しました(会社経営、マネジメント・人材管理・労働問題)。長時間労働はなぜ起こるのか? 長時間労働をいかに抑制すればいいのか? 大規模調査から、長時間労働の実態や抑制策を明らかにします。大学・大学院の講義調で語りかけられるように書いてありますので、わかりやすいと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳・ラーニングエージェンシー 旧:トーマツイノベーション著)が重版出来!1万部突破です!AMAZONカテゴリー1位「企業革新」「女性と仕事」を記録しました!。女性のキャリアや働くことを主題にしつつ、究極的には「誰もが働きやすい職場をつくること」を論じている書籍です。7000名を超える大規模調査からわかった、長くいきいきと働きやすい職場とは何でしょうか? 平易な表現をめざした一般書で、どなたでもお読みいただけます。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
新刊「組織開発の探究」発売中、重版4刷決定しました!AMAZONカテゴリー1位「マネジメント・人事管理」を獲得しています。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
ーーー
【注目!:中原研究室のLINEを好評運用中です!】
中原研究室のLINEを運用しています。すでに約11000名の方々にご登録いただいております(もう少しで1万人!)。LINEでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記のボタンからご登録をお願いいたします!QRコードでも登録できます! LINEをご利用の方は、ぜひご活用くださいませ!
最新の記事
2024.12.8 12:46/ Jun
2024.12.2 08:54/ Jun
2024.11.29 08:36/ Jun
2024.11.26 10:22/ Jun