2019.6.18 06:14/ Jun
繰り返される「企業合併」は「フランケンシュタイン」が「自然治癒」するのを待っているようなものである
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今年度から立ち上げようと思っている研究のひとつに、「PMIの科学」というものがございます。國學院大學の斎藤さん、ミミクリデザインの東南さんらとの共同研究です。
PMIとは、いうまでもなく「Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション:企業合併後の統合プロセス)」のこと。
企業合併がなされたあとに、合併した企業同士が、相互に歩み寄りつつ、シナジーを発揮できるようにしていくプロセスが、PMIに他なりません。
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PMIはときに「新婚生活の最初の100日」に喩えられることもあります。
異なる家庭で成長してきた「二人の人間」が、出会い、ともに夫婦になる。しかし、夫婦での歩みが、最初からうまくいくわけではありません。
「新婚生活の最初の100日」では「家計をいかに支えるのか」「どのようなルールをもって生活をともにするのか」「家事はどのように分担するのか」などなど、様々な取り決めがなされます。ときには、夫婦で向き合って、話し合いをしなくてはならない場合もございます。これが「PMI」のプロセスです。
夫婦によっては、最初の「100日」から「ボタンを掛け違えてしまう夫婦」もございます。場合によっては、お互いに引きずってきたカルチュアにしがみつき、話し合いにすらならない場合もある。
そして・・・最初からボタンを掛け違えてしまうことほど、のちの生活に悪影響を与えてしまうことはありません。
これと同様、企業合併の成否は、いかに「統合するか」にかかっているのです。
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実際、最近は、企業合併が、ここあそこで為されています。
(これからは教育機関でも、合併が多くなるでしょうね・・・)
しかし、すこしヒアリングを重ねると、すぐにわかるように、成功した企業合併というものは、あまり多くありません。ものの本には「3割」くらいだと言われています。この場合、残りの7割は、予想していた成果はあげられない。
この事態に対して、どの先行研究をみても、どの書籍を見てみても、企業合併の成否は「PMI(ないしは、PMI後のもう少しレンジの広い適応過程)によって決まる」と指摘されています。
しかし・・・外資系企業や、いくつかの戦略的PMIを繰り返している一部の企業をのぞいて、日本の企業は、このPMIには、あまり関心がないと言われていますし、また、実際にコストをかけません。
実際、多くの従業員にとって、企業合併は「巻き込まれ事故」のようなものです。ある日、突然、巻き込まれて、その渦中に立たされる。しかし、多くの企業では、このPMIにあまり関心が払われませんし、ここに関する研究も、非常に限られているのが実状です。
この事態を形容して・・・
釣り竿には、金をかける
でも、
釣った魚に「えさ」も「水槽」も用意しない
と形容なさる方もいるようです。
また、最近は企業合併が繰り返されているようですので、いわば会社自体が「フランケンシュタイン」のようになってしまった「傷だらけの組織」も少なくありません。
しかし、冒頭申し上げましたように、
フランケンシュタインの傷口を意図的にはふさがずに、「自然治癒」にまかせて待っている
ところも少なくないようです。
ま、フランケンシュタインの体力(!?・・・そんなものがあるのか?)が持てば、それでもいいのかもしれませんが。
この事態に対して、人材開発・組織開発の観点から研究を為すことが、「PMIの科学」です。
ま、はじまったばかりですけれども。。。
こうブログで書いてしまうと、なんか、「できあがっちゃった感」があるよね。
すべては「これから」です
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今日は現在、ひそかに(こんなところでしゃべってしまえば、ひそかにも、クソもない!)暖めている研究のお話をしました。研究室では、このほかにも、今年から、様々なチャレンジを続けています。日々、是、チャレンジです。
1.チームワークの神話に挑戦する研究
(田中聡さんとの共同研究)
2.「転職学」ー転職に関する研究
(パーソル総合研究所小林さん、パーソルキャリア吉村さん、平田さん、影山さん、藤田さんとの共同研究)
3.リーダーの感情知性(Emotional Intelligence)に関する研究
(ひとり、ひそかに興味をもっている)
4.外国人の採用と定着に関する研究
(島田徳子さんとの共同研究。某社のみなさまに、お声がけをさせていただいております。ありがとうございます。)
5.中小企業の人材開発に関する研究
(保田江美さん、旧・トーマツイノベーション(現・ラーニングエージェンシー社)との共同研究。こちらは、第一稿がようやくあがりそうです。)
これらの成果がでてくのは「先」のことにはなるとは思いますが、PMIの科学ともども、共同研究者のみなさまと、確実な一歩を踏みしめていきたいと願っております。
忙しい。
けど、やめないよ。
僕は、研究好きだから
そして人生はつづく
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新刊「未来を語る高校が生き残る」・・・2020年の大学入試改革、2022年の新学習指導要領改訂。社会をきりひらく人材を育成するために、高校・大学・企業に何ができるか? アクティブラーニング、カリキュラムマネジメント、そして「未来を語ること」。「未来を語ること」を通した学校づくりを提唱する中原研究室×河合塾×JCERIの研究の最新知見です。どうぞご笑覧ください。村松灯、渡邊優子編著、中原淳監修、学事出版さんからの出版です。
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新刊「データから考える教師の働き方入門」(辻和洋・町支大介編著、中原淳監修)好評発売中です。1日の労働時間が約12時間におよぶ、先生方。その働き方を見直し、いかに持続可能な職場をつくりだすのか、を考えます。「サーベイフィードバック方の組織開発を応用した働き方改革」の事例として、教育機関以外の組織でも応用可能です。どうぞご笑覧くださいませ
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