2019.5.30 06:17/ Jun
学生のうちから、徹底的にフィードバックを受けて、自らの「成長の鏡」にすること
フィードバックの「本数」と「質」を徹底的に強化すること
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これは、わたしが責任者をつとめる立教大学経営学部の二年生向けの授業「Business Leadership 2(BL2)」の今年の目標のひとつです。
二年生向けの授業では、パーソルホールディングスさまからいただいた経営課題に対して、学生たちが5名ほどでチームを組み、みなで課題解決に取り組んでいます(パーソル様にはこの場を借りて御礼を申し上げます:ありがとうございます)。
そうしたガチの課題解決のプロセスを通して、ときに、チームメンバー同士でフィードバックを受けたり、振り返りを行うことで、リーダーシップにつながる自らの行動を「補正」していくことが、授業の目的です。
フィードバックは、学生にとって「成長の鏡」
フィードバックを受けて、振り返る
フィードバックを受けて、チームをうまく立て直す
とにかく、今年は、この本数と質にこだわる
兼任講師の先生方、学生アシスタント(Student Assistant / Course Assistant / Data Assistant)の皆さんらとともに、今年の授業では、みなで、これに取り組んでいます。
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せんだって、学生アシスタントたちと僕と事務局の加藤走さんが行っている会議で、今年行うフィードバックシートが、データアシスタントの佐藤君から披露されました。下記のようなものです。
これは、今週末に行われる中間成果報告のあとに実施されるフィードバック大会で利用されるシートで、「チームの現在の状況」をチームメンバーが自己評定したシートです。これがチームごとに個別に配付され、チームのあり方を議論することになっています。
こうしたデータ集計作業は、データアナリティクスの専門チームがあたっています。
昨年、立教大学経営学部BLPには、電通育英会さまからのご支援を受けまして、データアナリティクスラボというラボが設置されました。
こちらのラボには、ビジネスリーダーシッププログラムの内部で生じた、様々な学生の行動データ、意識データ、成績などを、学生のIDで一元管理するデータベースが存在しており、このデータベースから様々なデータを解析しています。解析されたデータは、授業でも用いるほか、年に4回ほど学部内で共有をさせていただいております。要するに、学部レベルでのIR(Institutional Research)活動を行っているということになります。
(ちなみに、これについては、また別の機会に申し上げますが、IR活動は、教育現場の「内部」で行われるべきである、というのは、わたしの持論です。IR活動は、教育現場に埋め込まれて、自然に教育に活かされてこそ、意味がある。様々なIRを見てきて、このことを強く実感するようになりました。ちなみに、データアナリティクスラボの成果は、年に一度、立教全学の教育推進を行う会議で公開しております。また、データアナリティクスラボの活動に関して、わたしたちは、立教大学内部からは、いつでも見学を受け入れます。また、ちなみに、データアナリティクスラボによるIR活動の成果は、私立大学情報教育協会の実施する「2019年度 ICT利用による教育改善研究発表会」(8月9日開催)で、助教の田中聡さんが発表させていただく予定です。こちらも楽しみです。)
ラボの実務は、助教の田中聡さん、RAの木村さん、加藤走さんらが率い、サポートするチームです。実際に、こうしたデータ分析を解析したり、チームごとにフィードバックシートを作成しているのは、そこに在籍している学生チーム(Data Assistant:データアシスタント)チームです。データアシスタントの牧野友香さん・山口貴大さん・佐藤智文さん・大原万里奈さん・竹野桃加さんらが、影ながら、こうした業務にあたっています(ありがとうございます)。ラボでの活動には、舘野泰一さん・高橋俊之さん、中原など、授業ごとの統括責任者も参加し、それぞれ、様々なデータを取得・分析する計画をともに練っています。
先ほどのシートも、データアナリティクスラボの学生たちが、70ほどあるチームごとにデータを解析し、集計してくれました。
統括責任者である僕が申し上げるのは恐縮ですが、まことによく出来たシートだと思います。基本的には、僕が、企業のみなさまと行っているリーダーシップ開発プログラムと、質は、まったく同じものです。学生のうちから、こうしたデータ解析、集計ができる、というのは、素晴らしいことだと思っています。
ちなみに、こちらでチームメンバーが評定している「目標管理度」「関係性構築度」「タスク管理度」は、昨年の授業で、質の高いプランをつくっていたチームであればあるほど、これらが高いことがわかっている項目です。
自らの授業内で生まれた、こうした軸にそって、フィードバックを行ったり、振り返りを行ったりすることで、質の高いフィードバックを実現しようとしています。
さて、どうなりますことやら・・・。
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2年生向け授業は、週末に開催されるポスターセッションに向けて、最終準備が進んでいます。
準備をしているのは、300名弱の受講生はもちろんのこと、彼らの学習を影ながらサポートしている、学生アシスタント、兼任講師の先生方、事務局の皆さんです。とりわけ、学生アシスタントの神田和慧さん、西岡茉優さん、松本優佳里さん、下住彩乃さん、東條舞さん、片山晴貴さん、種田京平さん、五月女らなさん、上田大翔さん、細川杏那さん、黒田絵理さん、籠橋拓海さん、中野伶香さん、佐々木汐里さん、長谷川仁美さんが、今、ポスターセッションの準備をしてくださっています。おつかれさま&ありがとうございます。
今年のポスターセッションには、1年生が40名ほど、外部からの見学者の方が80名ほど、合計120名ほどの参観者が予定されているようです。おこしいただける皆様には、心より感謝いたします。多くの方々からフィードバックをさらに得て、力強く成長していって欲しいものです。
30歳や40歳で、管理職になる手前になって、ようやくフィードバックを受けるようでは遅すぎる、と僕は、思います。
若いうちから、フィードバックを受けて、フィードバックの与え手になる経験をもった方がいい。
フィードバックは「ごちそう」である。
フィードバックの本数と質が成長を決める。
学生たちが、より多くのフィードバックを自らの「糧」にできることを願ってやみません。
そして人生はつづく
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