NAKAHARA-LAB.net

2018.9.13 06:23/ Jun

新たな「会議文法」を創りだせ!? : 同じ空間で、同じ方向から、同じものを見ていたプロジェクタ会議!?

 僕と会議や打ち合わせをしたことのある方ならば、僕が、「プロジェクターを使って行う会議」を好んでいることをご存じかと思います。
   
 各自が、自分のコンピュータをプロジェクターに接続して、スクリーンに「議事録」やら「プレゼン」などを投影する。投影された議事録やら資料を見ながら、みなで、「あーでもない、こーでもない」といいつつ、議論をしていくのが、僕は好きです。
   
 とりわけ、打ち合わせのメンバーが「同じ画面」を「同じ時間」に「見ている」という感覚が、打ち合わせの一体感をつくりだしますし、注意が一カ所に集まりますので、集中できます。
  
 抽象的に考えるならば、打ち合わせのメンバー間に「共同注意」「共同注視」(Joint Attention)が成立する、とでも形容できるのかも知れません。他の人と、同じタイミングで、「注意」や「視線」をともにすることができることは、どこか「安心感」のようなものを感じてきました。

 このやり方で、僕は、多くのプロジェクトを、多くの方々と、何とか乗り切ってきました。
 議事録を共同注視のもとでつくりながら会議をやれば、会議終了と同時に議事録までできている、という点も、非常に効率的な方法だと感じていました。
    
  ▼
    
 ただ、ここ過去20年以上実践してきた、この「会議のやり方」が、最近、あまり成立しなくなってきています。
  
 理由は、いくつかあります。
  
 ひとつめの理由は、「同じ画面」を見ようにも、打ち合わせのメンバーが「同じ空間」を共有していない、ということが増えているということです。
 最近は、本当にテレビ会議などでの会議・打ち合わせの実施がふえました。そういたしますと、なかなか先ほどのような会議は難しくなります。
   
 遠隔からの接続でも、各自の「マウスポインタの動き」を共有することはできるのです。
 しかし、マウスポインターは「視線」や「注意」とイコールではありません。本当に打ち合わせのメンバーが、そこに「注意資源」を傾けているかどうか、そこを同じタイミングで「注視」しているかどうかは、わかりません。
  
 もうひとつの理由は、PCをもってくる人が、それほど多くなくなってきている、ということです。
   
 僕は、仕事柄、統計などをゴリゴリと動かしますので、PCをいつも携帯をしています。
 しかし、最近は、打ち合わせのメンバーが、ipadなどのタブレット端末を会議にもってきたり、スマートフォンだけで仕事をする方もふえました。
 これらのデバイスもプロジェクターに接続できるやり方などはあるのでしょうが、あまり相性が悪かったり、接続のプラグを携帯し忘れたりすることが多く、先ほどのような会議を実践できないことが増えている印象を受けます。
    
 最後の理由は、
    
「クラウドでいいぢゃないか」
  
 という方も増えているということです。
 とりわけ、大学生などは、そうです。
   
「プロジェクタで映しながら、会議しよう」
  
 と僕が提案すると、
  
「先生、クラウドにドキュメント上げておきましたから、各自、スマホなどで、見ましょうよ」
    
 と言われちゃうことが多くなっています。
  
 各自「クラウド」にあがったドキュメントを、各自のデバイスで見る、でもよいのですが、この場合も、本当に「同じものを見ているか」「同じものに注意や視線を傾けているか」ということに自信が持てないので、あまり僕は好きではありません。
  
 が、これも「時代の流れ」なのかな、とも思います。
 このように、3つの理由から、僕の好きな「プロジェクタ会議」が、あまり成立しなくなってきています。
  
  ▼
  
 今日は、会議のやり方についてお話をしました。
  
 みんなが同じようにPCをもち、みんなが同じ空間にいあわせ、同じものを、同じタイミングで見る。
  
 こうした「牧歌的な時代」が、過去のものになってきているような気がします。このやり方で、僕は多くのプロジェクトを、多くの人々と成し遂げてきました。
  
 出現する未来は、「みんなが違うデバイスをもち、違う空間から、接続して会議を行う時代」です。
  
 こうした時代のへの変化を「多様性(diversity)の時代」と形容して良いものかどうかはわかりませんが、こうした変化に自らアジャストし、新たな「会議文法」をつくりだせるかどうかが、僕の生産性を決めるのだろうな、と考えています。
  
 皆さんはどんな会議のやり方が、好きですか?
 そして
 その会議のやり方は、今の時代にあったものですか?

 そして人生はつづく
    
   ーーー
     
 この秋から、学部・中原ゼミのリクルーティング活動(1年生から新たなゼミメンバーを募集すること)がはじまるようです。
  
「自分たちのゼミのあり方・経営」から「人と組織を学ぶこと」を「是」としている中原ゼミでは、このリクルーティングも、よき学習機会ととらえ、これまでリクルーティング研究やら、何やら、文献などを読み進めてきました。
  
 まだ何も情報はないですが、学生たちが、Twitter・Instgramなどのリクルーティングメディアを立ち上げ、これから情報発信をしていくようです。
  
 大切なのは、
  
 仕事は「こなさない」!
 常に「Think Different!」
   
 ただ漫然と情報発信をするのではなく、常に、エッジのきいた情報発信をしていただきたいと願っていますが、どうなりますことやら。

 よろしければ、怖いもの見たさ?でフォローをお願いいたします。
 また、来年、中原ゼミで学びたい1年生の皆さんは、どうかフォローをお願いします。
   

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 ちなみに「Be as a BEE」は中原ゼミの経営理念です。
 ゼミとは「蜂の巣」のようなものであり、ゼミメンバーとは「ミツバチ」である。
 外の世界をオープンに飛び回り、ミツを自ら見つけて、時折、巣(ゼミ)にかえってくる。
  
 閉じぬこと
 オープンであること
  
 しかし
  
 まとまるときは、まとまること
    
 そうしたダイバーシティ&インクルージョンの思想のもとで学ぶことを、わたしたちはゼミの経営理念にしています(というか・・・学生が決めました)
    
 そして人生はつづく 2回目
    
中原ゼミのなんとなくの雰囲気はこちら!
   
学部ゼミとは「小さな社会」である!? : ゼミを運営しながら採用・人材開発・組織開発を学ぶ!?
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/9349
   
チームメンバーと「目標を握るんぢゃい!」と意気込んでいても、さっぱり「目標が握れない」理由!?
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/9368
   
  ーーー
      
新刊「女性の視点で見直す人材育成」(中原淳・トーマツイノベーション著)が、ついに刊行になりました。AMAZONカテゴリー1位「企業革新」「女性と仕事」。女性のキャリアや働くことを主題にしつつ、究極的には「誰もが働きやすい職場をつくること」を論じている書籍です。7000名を超える大規模調査からわかった、長くいきいきと働きやすい職場とは何でしょうか? 平易な表現をめざした一般書で、どなたでもお読みいただけます。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
  ーーー
  
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