NAKAHARA-LAB.net

2018.7.25 06:27/ Jun

自社のメンバーに「刺さる」のは、後にも先にも「自社データ」!? : サーベイフィードバックを用いた組織開発の事例

「もっとも説得力があるのは、自分の職場のデータ」
「自社の従業員に刺さるのは、自社メンバーの肉声」
  
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 もう長いこと「ひとと組織」にまつわる研究をしていて、そんなことを強く思います。「自社の職場データや、自社メンバーの肉声が、組織に揺らぎをもたらし、組織に対する対話をうながす効果をもっている」ということです。
    
 せんだって、横浜市教育委員会との共同研究(調査)でわかった「先生方の働き方」に関するデータを、横浜市の先生方に「おかえし」するワークショップが開催されました。
  
 専門用語でいえば、横浜市の先生方に「サーベイフィードバックをもちいた組織開発(調査でわかったことを、現場におかえしして対話を促し、未来を構想するワークショップ)」をさせていただいたことになります。
  
 下記に、教育新聞さんに取材いただいた記事が公開されておりますので、どうぞご笑覧ください。研究室では、様々な現場に、様々な調査データをおかえししてきましたが、たいていは公開が「NG」になります(組織開発が行われる現場というのは、様々な問題を抱えておりますので)。しかし、この事例では、そのいったんが見て取れます。
  

教員の働き方改革の「進め方」 ポイントは納得感
https://www.kyobun.co.jp/commentary/cu20180723/
  
 記事にありますとおり、こちらの研修では、1年前に実施させていただいた、横浜市の先生方の「長時間労働の実態・発生のメカニズム・対処策」に関する調査の一次分析データを、ワークショップで「おかえし」させていただきました。登壇は辻和洋君、町支大介君、そして、僕と横浜市教職員育成課の立田課長で行わせていただきました。
  
 冒頭申し上げましたように、
  
 「もっとも説得力があるのは、自分の職場のデータ」
 「自社の従業員に刺さるのは、自社メンバーの肉声」
   
 です。
  
 この場合は、「横浜市の先生方に刺さるのは、横浜市のデータ」ということになりますね。決して、「国レベル」のデータでもなければ、「他の都道府県」のデータでもない。「自分の働いている職場の、自分たちのデータ」を用いて組織開発を行うことが、僕たちは、もっとも望ましいと信じています。

 「もっとも説得力があるのは、自分の職場のデータ」
 「自社の従業員に刺さるのは、自社メンバーの肉声」
  
 皆様、いかがでしょうか?
  
 あなたは、自社の職場のデータや自社メンバーの肉声を、どの程度、把握しておられますか?
  
  ▼
  
 最後になりますが、本プロジェクトの御礼です。
  
 このプロジェクトは、横浜市教育委員会・教職員育成課の志あふれる皆さまとの強力なタッグ、そして、現場の多くの管理職のみなさまのご理解、現場の先生方のご協力によって生まれました。
  
 とりわけ、横浜市教育委員会・教職員育成課の立田順一さん、柳澤尚利さん、外山英理さん、飯島靖敬さん、根本勝弘さん、松原雅俊さんに心より感謝いたします。大学側は辻和洋さん、町支大介さん、飯村春薫さんで行わせていただきました。お疲れ様でした。
  
 なお、この調査研究の成果に関しましては、毎日新聞出版様から、今年度中に「出版」させていただくことが決まっております。辻和洋さん、町支大介さんとが編著にあたります。編集者には同社の久保田章子さんにおたちいただくことになりました。心より感謝いたします。
  
 この書籍には、「せんせいの働き方」に関する「対談」も収録させていただく予定です。すでに、横浜市立日枝小学校長の住田昌治先生、一般社団法人軽井沢風越学園設立準備財団の岩瀬直樹先生と、中原で対談をさせていただきました。先生方には心より感謝いたします。
  
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 プロジェクトは、ここから「書籍」、そして、「サーベイフィードバックによる組織開発ワークショップによる長時間労働・効果性の把握」という具合に、さらに本格化します。
  
 どうぞお楽しみに!
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
追伸.
 調査データの詳細は、下記のブログ記事で紹介されています。ワークショップでは、これらのデータのほかに、様々な追加分析データを用いました。
  
「変化の激しい時代」に「教員の学び直し」が極めて難しい、たったひとつの理由!? : 横浜市の「教員の働き方・労働時間」に関する調査結果レポート(第一報)が公開されました!
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/8924
  
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【重版御礼】新刊「研修開発入門ー研修転移の理論と実践」がダイヤモンド社から刊行され、重版が決定しました。研修転移とは「研修で学んだことを、いかに現場で実践し、成果を残すか」ということです。この世には「学べてはいるけれど、研修転移がない研修」が多々ございます。そのような研修の効果性をいかに高め、いかに評価するのか。「研修転移の理論と実践」の両方を一冊で兼ねそろえた本邦初の本だと思います。どうぞご笑覧くださいませ!
   

  
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