2006.11.11 12:11/ Jun
「オレ、めっちゃ、わかりにくい文章を書きてー」という人は、この世にあまりいない。
文章作成は、英会話と同じように、日本人誰もがうまくなりたいと願い、日々研鑽しつつも、途中で挫折する「蜃気楼」のようなものである。それが証拠に、「文章を書く」というテーマをかかげた本は、いつの時代もベストセラーを飾る。
本多勝一「日本語の作文技術」を読んだ。そこにでてくる文章の明晰さを羨みながら、己の文章の稚拙さを嘆きつつ。
本書は、具体的な文章事例を示しながら、「読者にとってわかりやすい文章を書くためのテクニック」を教えてくれる。
例えば、僕らはふだんこういう文章を書いてしまいがちではないだろうか。本書より悪い事例を引用しよう。
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二日未明、東京都三鷹市のマンションで、部屋に充満していたプロパンガスが爆発して四人が重傷、三二人が飛び散ったガラスの破片などで1ー2週間のけがをした
厚手の白い横線の引かれた紙をとってください
京都で学問をし、大阪で金をもうけ、神戸に住む、それが関西人の理想の生活だと京都の作家の田辺聖子さんが書いているのを読んだ。
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さて、あなただったら、どこをどう変えるだろうか?
ちょっと変えるだけで、格段にわかりやすくなると思うのだけれども。本書では、こうした文章をソフィスティケートするためのいくつかのテクニックを紹介している。
最後に下記の文章を読んでみよう。
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いま僕自身が野間宏の仕事に、喚起力のこもった契機を与えられつつ考えることは、作家みなが全体小説の企画によって彼の仕事の現場にも明瞭にもちこみうるところの、この現実世界を、その全体において経験しよう、とする態度をとることなしには、かれの職業の、外部からあたえられたぬるま湯の中での特殊性を克服することはできぬであろう、ということに他ならないが、あらためて言うまでもなくそれは、いったん外部からの恩賜的な枠組みが壊れ、いかなる特恵的な条件もなしに、作家が現実生活に花をつきつけねばならぬ時のことを考えるまでもなく、本当に作家という職業は、自立しうるものか、を自省するとき、すべての作家がみずからに課すべき問いかけであるように思われるのである。
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・・・ノーベル賞作家大江健三郎の文章である。ここまで来ると、もうテクニック云々ではなく、尊敬に値する。
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