NAKAHARA-LAB.net

2005.6.22 23:43/ Jun

教育業界人寄席

 昨日、僕が副代表理事をつとめるNPO法人「EDUCE TECHNOLOGIES(エデューステクノロジーズ)」の総会があった。法人会員企業、正会員、学生会員の方々にお集まりいただいた。
 議事は、とどこおりなく進行して、決算・予算も承認され、ホッとした。が、「はてどうしたらよいのかな」、という課題がひとつ生まれてしまった。
 EDUCEは、研究開発型のNPOであり、その売り上げの一部は、「教育工学の若手研究者の育成支援」のために使われている。もうそろそろ結果が発表になることと思うが、たとえば、国際学会への渡航費の援助などが、この目的のもと行われている。
 で、今年からはそれに加え、大学学部生に対する支援も行いたいと思っている。「将来、教育の仕事についてみたい」と思うような学生に、「教育の仕事の実際」を伝えるセミナーを実施するという企画だ。
 「教育の仕事」っていうのは、センセイとか塾の講師とか以外だと、なかなかイメージがしにくい。実際にどういう風に、彼らが教育にかかわる仕事をしているのか。また、教育に専門性をもつ人たちの尽力のおかげで、ヨノナカのいろいろな部分が支えられていることを伝えたいんだけど。
 具体的には、教育テレビ、教材作成、企業内教育、NPO、教育行政、博物館展示制作会社などの実務担当者を招いて、自分の仕事に関して語ってもらうというセミナーをうってみたいと思っている。このセミナー、仮に「教育業界人寄席」という名前をつけて呼んでいるのだが。もちろん、実務担当者の方には、謝金をお支払いをして、講演をしてもらおうと思う。
 しかし、この「教育業界人寄席」、言うは簡単だが、実行するのはかなり難しい。まず、そういう業界人を集めてくるのに一苦労が予想される・・・(ただでさえ、みんな忙しい)。
 しかし、より根元的な問題は、「教育の仕事についてみたい大学学部生が、そもそもいるのか」って問題と、もし仮にいたとして、「彼らにどうやって、この企画を伝えればよいのか」ってことである。それを言ったら、モトモコモナイ気もするが、事実、大問題はそこにあるのだから仕方がない。
「教育の仕事についてみたい大学学部生が、そもそもいるのか」っていう問題は、正直にいって、どうなんだろう、予想がつかない。いるような気もするし、いないような気もする。いないかなぁ、そんな学生。
 次は広報手段の問題。
 NAKAHARA-LABメルマガ、BEAT ML、EDUCE TECHNOLOGIES MLなど、僕たちはいくつかの広報手段を自前でもっているが、これらのターゲットは、業界の人や大学院生であって、学部生ではない。せっかく苦労してセミナーを実施出来たとしても、集客がおぼつかないおそれがある。
 前も日記に書いたことがあるが、僕は、「教育の現場にスペシャリティのある人たち」が活躍して欲しい、と思うし、そうしたスペシャリストをめざす学生が増えて欲しいと思っている。
僕はそうした学生を応援したい。
 何も、教育学部を卒業して先生になるだけが道ではない(センセイが自分のめざすところであれば、それはそれでOK)。教育学を学べば、いろいろなニッチな場所に活躍の場があるはずである。
 そうした方向性を社会に示していきたい、と個人的には思う。そして、NPOをそうしたエンジンにできるのではないかと思っている。。
 この企画、フィージビリティ、低いのであろうか。少し悩んでいる。
追伸.
 今日、むこう2ヶ月のカミサンとスケジュールの報告をしあった。僕、土日がぜんぜんなかった・・・。このままいくとマズイと思った。敢えて、ウィークデーに休みをとろうと思う。健全な知性には、休息も必要だ。

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