NAKAHARA-LAB.net

2006.3.4 21:13/ Jun

人生いろいろ、学問いろいろ

 このところ、ワケあって、「完全無欠の文科系の論文」を読むことが多いのですが、論理の展開が、僕の学会のものとは全然違って、本当にオモシロイんですよねぇ。
 端的にいうと、僕がいうところの「完全無欠の文科系の論文」とは、「ある問題Aがあって、○○な見方をしたら、新たに違う問題Bがでてきた・・・どうしよう」という感じで、問題が発見され、何も解決されないかたちで終わるんですね。「おっ、また問題でてきたんかい!・・・で、余韻をのこしてそれで終わりかい!」と思わずつっこみを入れたくなってしまう感じで終わるのですね。
 僕の専門、「教育工学」「学習科学」は、「理科系、それとも文科系?」と聞かれると、たぶん「文科系」だと思うんですが、それでも、ちょうど中間あたりに属していて、やっぱり、「完全無欠の文科系」とはテイストが違いますね。
 僕の専門だと、だいたい「ある問題Aがあって、○○なことをやったら、解決した/解決出来なかった」とかね。「ある問題Aがあって、○○をやったら、○○という人間の学習の性質がわかった」という論旨になるんです。めでたし、めでたし、みたいな。でも、その「おめでたさ」がないんだよね、「完全無欠の文科系」には。
 でも、別に「完全無欠の文科系の論文」が悪いって言っているのではないのです。それは時にハッとするような新たな問題を提示してくれますね。それは驚きだったりする、まさに目から鱗という感じですね。
 学問といっても、いろいろあるんだねー。
 「人生いろいろ、学問いろいろ」だわな。
 —
 ▼NAKAHARA-LABのblogランキングは?▼
 1日1クリック していただけると嬉しいです

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.12.28 09:58/ Jun

専門知の「パワフルさ」と「盲目さ」!?

2024.12.25 10:57/ Jun

「最近の学生は、昔からみると、変わってきたところはありますか?」という問いが苦手な理由!?

2024.12.8 12:46/ Jun

中原のフィードバックの切れ味など「石包丁レベル」!?:社会のなかで「も」学べ!

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:54/ Jun

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:12/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点