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2016.6.7 06:42/ Jun

高度な統計学やらビックデータやらに「飛びつく以前」にビジネスパーソンに必要な思考法とは何か?

 かなり前のことになりますが、あるフォーラムに登壇させていただいたおり、登壇者のお一人が、こんなご意見を口にしておられました。とても印象的なご発言でしたので、記憶に残っております。
「日本のビジネスパーソンには、ビックデータを扱うような高度な最先端の”統計”の知識が必要だ。それらが圧倒的に不足している。欧米のビジネススクールでは・・・ちょめちょめである。日本はけしからん」
 なるほど。
 当時は「統計学」や「ビックデータ」が、いわば「ブーム」であった時分だけに、そうも言えるのだろうな、と思って伺っておりましたが、僕は、一方で、
「本当に、今、必要なのは”高度な最先端の統計の知識”なのかな」
 と疑問を感じておりました。
 もちろん、できるにこしたことはない。わかるにこしたことはない。
 しかし、年間で数百人のビジネスパーソンの方々に「講演」やら「研修」やら「ワークショップ」などをさせていただいている僕の経験からすると、
「そもそも、それ以前に、必要なものがあるのではないか」
 と思ったのです。
 じゃあ、それは何か?
 皆さんはいかが思われますか?
   ・
   ・
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   ・
 それは「データにもとづく思考」です。
 多くの方々は「なんじゃ、そら」とお思いでしょうね。
 でも、僕はそう思います。
 拍子ぬけしてしまって、腰がくだけ、ウン〇ョスダダ漏れになっている皆さん、すみません(笑)
 でも、僕は、やれ「ビックデータ」だ、そら「統計学」という以前に、
 「データとあつめ、仮説を検証して、ビジネスの説得力をあげるということ」
 にもっと着目したほうがいいのではないか、と思うのです。
 人によっては、えっ、「そんな基礎的なことですか」と思われるかもしれません。しかし、僕の経験からすると、このことに苦手意識をもたれる方は少なくありません。
 その経験上、今、ビジネスパーソンに「ひとつ」だけ必要なものを選べと言われたら、僕は、統計学やらビックデータの「以前」に、こうしたトレーニングを積むことが重要だと考えます。
 特に、必要なのは下記の3点です。
 1.データを探す / つくる経験
 2.データから仮説を生み出す経験
 3.仮説を検証する経験
 皆さんは、いかが思われますか?
 それぞれに関して、下記に論じてみましょう。
  ▼
 まず「1.データを探す / つくる経験」ですが、これは既存の調査や公的なデータアーカイブなどから必要になるデータを探してきたり、もしそれらのアーカイブに目当てのものがないのであれば、自ら定量調査・定性調査を企画して、データを生み出す経験です。
 管見ながらまことに恐縮ですが、そもそも、
 ・データとはそもそも何か?
 ・データの種類にはどのようなものがあるか?
 ・どこをさがせば「既存のデータ」を得られるのか?
 ・データがない場合にはどのように調査をするのか?
 ということすら、認識が及んでいないケースが多々あります。
 皆さんの会社ではいかがでしょうか?
  ▼
 次に、「2.データから「仮説」を生み出す経験」です。
 これは集めてきたデータをもとに、ロジックを組みたてる経験です。
 ありとあらゆるものをひっくりがえして、データをたくさん集めてくるのはよいのですが、そこから「仮説」を生み出すことに苦手意識をもたれることが少なくありません。
 そもそも、ここで質問ですが、
 「仮説」とは何でしょうか?
 ビジネスパーソンとお話させていただいていると、「仮説」という言葉の意味が、微妙にズレていることに気づかされることがあります。
 仮説とは様々な定義がありますが、僕ならば
 「真か偽か、白黒はっきりつけられるまで、絞り込まれた命題」
 を「仮説」とよびます。
 しかし、ビジネスの現場では、
 「仮説」という言葉が何を示しているのか?
 すら、人によって理解が違います。おおよそ、仮説とは言えないものを「仮説」と呼んでいるケースすら少なくありません。極端な場合、「仮説=要するに、オレがやりたいこと」のように用いられている場合があります。
  ▼
 最後に「3.仮説を検証する経験」です。
 仮説を検証するとは、自らつくりあげた論理や仮説の真偽を検証するべく、さらにデータを収集したりする経験です。こちらにも苦手意識をもたれる方が少なくありません。
 データを収集し、仮説をつくるまではつくった。しかし、ここからどうしていいかわからない。そのような局面で、一緒に悩むことが多々あります。
 皆さんの会社ではいかがでしょうか?
 このようなことで悩まれる方はいらっしゃらないですか?
  ▼
 僕が、このように申し上げるのは、もうひとつ、こんな思いがあります。
 
 それは、ふだん多くのビジネスパーソンが、ビジネスで使っている計算とは
 「かけ算 / 割り算 / 足し算 / 引き算」
 であるということです。
 何ら「高度」なことはありません。
 そこで用いられている計算は、そこだけ取り出せば、中学生にでもできることです。
 もちろん、金融のお仕事をなさっている方なら、高度な数学を駆使する方もいらっしゃるかもしれません。
 理系のお仕事によっては、より高度な計算も必要になることもあるでしょう。
 でも、多くの方々にとっては、そのような高度な知識や数学の素養「以前」なのではないかと思うのです。
 僕自身も、ビジネスプレゼンで、現場で用いられているパワーポイントやら、エクセルなどをさんざん目にしてきましたが、そこで用いられている多くの計算は、「かけ算 / 割り算 / 足し算 / 引き算」です。
 最新の統計学の手法やら、ビックデータの解析手法も「できるにこしたことはない」のですが、それよりも、そもそも
 「データに基づいて、仮説をつくり、ビジネスの説得力をあげる経験」
 の方が、僕は必要だと思いますが、いかがでしょうか?
  ▼
 今日はビジネスパーソンに必要なスキルについて考えてみました。
 もちろん、統計学やビックデータを否定したいわけではないのですが、地に足をつけて考えてみると、それらを学ぶ以前に、もっとやるべきことがあるのではないか、というのが僕の結論です。今日お話した内容は、統計学やらビックデータを駆使するときにも、もっとも基礎になる考え方ではないかと思います。
 「仮説」という言葉の意味すら不明瞭な場合、統計学やらビックデータの手法だけを学んでも、実際には、効果は薄いと想像できます。
 自戒をこめて申し上げますが、今日の話題を書きながらも、僕は、大学教育にはまだまだやるべきことがあると思ってしまいますが、皆さんはいかが思われますか?
 そもそもデータとは何ですか?
 仮説とは何ですか?
 仮説をどのように検証しますか?
 そして人生はつづく
ーーー
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