NAKAHARA-LAB.net

2006.2.10 21:07/ Jun

洋風ねこまんま

 今日、お昼に、「つっかけ」はいて、近くのイタリアンレストランでランチをしました。お一人様ランチ。
 今日は、原稿執筆で、半分、死にかけていたんですね。そこで、「意識朦朧子ちゃん」のまま、カルボナーラを食べたんです。タマゴの黄身とチーズをからめたパスタですね。
 カルボナーラ、これは僕の大好物なんですが、最近控えていたんです。なにせカロリーが高いから。しかも、タマゴの黄身ですので、コレステロールがあがりそう。でも、急に食べたくなって、我慢できず、ついに行ってしまいました。
 パスタ自体はとっても美味しかったんだけど、食べながら、昔のことを思い出しました。
 考えてみれば、昔は、こんなにフツーにイタリア料理なんて食べられなかったのですよね。イタリア料理は、「つっかけ」はいて、行くようなものではなかった。
 イタリア料理・・・当時は「イタ飯」なんつって流行したのです。若人(わこうど)たちがデートにいったときに食べるようなものだった。今、「イタ飯」なんて死語ですね。「きょう、イタ飯にしよう」なんて会話、この5年間、1度たりとも聞いたことありません。
 東京ですら、「イタ飯」が「流行の産物」であったわけで、僕の故郷になんか、当然、イタ飯屋はありませんでした。
 そもそも、僕は、上京するまで「パスタ」という概念が、アタマの中にまったくなかったくらいですからね。12年前、僕はパスタがよくわからなかったんです。
 上京当初、僕は「パスタはスパゲティのこと」だと思っていました。まさか、ラザニアやマカロニがパスタの中に入るとは知りませんでした。「まさか、おまえもかー」っていう感じ。まさに気分はブルータスです。
 しかも、僕の中では、スパゲティといえば、「紅白」しかなかった。ていうか、我が家では、その2種類しかなかったのですね。トマトケチャップをからめた「紅いスパゲティ」か、マヨネーズでからめた「白いスパゲティ」です。
 今でも、我が家でスパゲティといえば、その2色しかないのではないでしょうか。「カルボナーラ」とか「ペペロンチーノ」とか、ありえないんです、そんな凝ったものは。
 しかもしかも、僕は正直に告白しますが(昨日、ある先生に「中原君は真っ直ぐ素直だからいいのです」と言われました・・・)、上京してからはじめて、ドリアを食べました。
 正直、最初はびっくりした。たしか、コースだったと思うのです、僕がドリアを頼んだのではなく、コースの中に含まれて、勝手にでてきた。突然、いわゆる「ドリア様」が自分の目の前に運ばれてきたのですね。それを見た、ある人は、「あーおいしそう」と言いました。
 それにひきかえ、僕は、

「なんじゃ、このゴハンにシチューをぶっかけたものは?」

 と思ったことを、今でも覚えています。最初、「洋風ねこまんま」かと思いました・・・。で、おそるおそる一口食べてみた。そしたら、感激したんだよねー。「いやー、こんなウマイものがこの世にあったとは」と。
 それはドリアだ!
 12年前の自分に、僕は教えてあげたい。そして諭してあげたい。「大学受かっても、ドリアも知らないんだね・・・ドリアは試験にはでないししょうがないね、世界は広いねー、まだまだ頑張らなきゃならないね」と。
 皆さんは苦笑なさるかもしれませんが、10年以上前の地方から上京した人は、だいたい、そういうカルチャーショックを経験していないでしょうか?ちなみに旭川は36万都市・・・全国でもまだ大きいほうです。
 ドリアを「シチューぶっかけゴハン」だと思った人は、僕だけではないはずなんですが。

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