2013.12.19 08:23/ Jun
昨日で大学院中原ゼミは、年内の営業を終了。今年最後の発表は、舘野さんによる英語発表と、来年修士課程に入学なさるお二人の研究プロポーザル発表でした(突然振ってしまい、すみません)。
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前者、英語論文は、海外派遣帰任者の帰任後のケアに関する論文でした。
Lazarova and Caligiuri(2002)によれば、多国籍企業にとって、海外派遣帰任者をいかにRetaintion(雇用持続)させるか?は、非常に大きな関心事だといいます。多国籍企業にとって、海外派遣は、事業継続のために必要なことである一方、従業員の能力形成の手段として用いられるからです。
しかし、海外派遣は「諸刃の剣」でもあります。行ってバリバリ仕事をしているときはよいのですが、帰任後、問題を抱える場合が少なくないのです。最悪の場合、離職につながることもあるので、注意が必要です。先だっての論文には、海外派遣帰任者の12%は年内に辞める。次の俊に辞める13%。要するに25%は離職する、というデータが紹介されていました。
興味深かったのは、このことをTwitterでつぶやくと、某人材開発部長のOさんから、こんなメッセージをいただきました(O
さん、ありがとうございます)。
「結果的に離職しなかったものの、帰任後にこのままでいいのかという思いが湧き上がった人も入れると相当数が離職を考えたと思います」
そうだよなぁ、、、わかる気もしますね。
自分を振り返っても、自分の周りの友人の様子を見ても。。。
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離職につながる要因としては、この論文内、論文外でも、様々に述べられています(海外帰任研究というカテゴリーですね)。
1)海外に比べて挑戦性のない仕事がわりあてられる
2)海外で培った経験やスキルが活かせない
3)海外にでているあいだに昇進機会の喪失
4)海外のように自律的な仕事を行うことができなくなる(降格のように感じる)
5)キャリアが不透明になる
6)同僚からのやっかみ
7)同僚、本社の人的ネットワークからの離脱
8)本国文化への逆適応への失敗
などです。
ちなみに、同論文では、「帰任後の組織からの各種の支援」を独立変数に設定し、従属変数:リテンションとの回帰を行っておりました。「帰任後の組織からの各種の支援」といいましょうか、帰任者に対する目配りは、やはり大切なようです。
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ゼミでは、その後、いろんな議論を行いましたが、この状態は、なかなかシンドイな、ということになりました。
事業規模や経緯にもよりますが、海外の事業をうまく回すためには、それなりの人材を派遣しなくてはなりません。でも、たとえば、エース級(As)人材を割り当てた場合、それで離職につながってしまうのだとすると、やはり、そこには「躊躇い」が生じます。しかし、ビース(Bs)!?、とか、シース(Cs)級人材では、海外の事業を安心して任せられない。Blackさんらの一連の海外帰任研究の知見によりますと、帰任後の離職もそうですが、赴任中の離職も、3割程度と言われています。特に、初期適応の失敗、能力不足が問題になるケースが多い印象です。
ということは、やっぱり、海外事業を行うのであれば、帰任後のキャリアとか視野にいれて、海外派遣をしなければならないことになりますね。覚悟をしなくてはなりませんね。
一方、また、ゼミの中では、As人材をリテンションさせるというのは、そもそも難しい、のであきらめるのも選択肢だ、という意見も聞かれました。だから、どうせやめるのだから、思い切って、挑戦の舞台を海外に与える、ということです。
皆さんはどう思いますか?
そして、人生は続く?
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