2005.11.4 02:56/ Jun
この本を一読して、正直すごく驚いた。
自分自身、今年のドタバタが落ち着いたら、近いうちに時間をかけて必ず取り組もうと思っていた「組織エスノグラフィー」研究で、学習の問題(これを学習とよぶことに抵抗を感じる人もいるだろうけれど。訳者はこれに「洗脳」というショッキングなタイトルをつけている)を真正面からあつかったものが、今から20年も前に編まれていたなんて!
このところ組織エスノグラフィーについて調べていたのにもかかわらず、勉強不足甚だしいのであるが、この本のことはまったく僕の文献リストにははいっていなかった。
というか、あとで調べたところ、実は「全く知らなかった」わけではなく、佐藤郁也氏が2002年に執筆なさった「組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門」で紹介されていたんだけれども、この文献を書き写すのを忘れていてしまっていたようである。
汗顔のいたりである。
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本書の舞台は、ボストン近郊のハイテクカンパニー「テック」である。テックには「技術中心主義的で会社に対する多大な貢献をよしとするテック文化」が存在する。
本の著者ギデオン=クンダが問題にしているのは、この組織文化なるものを、トップマネジメント層がいかに操作し、つくりだしているか(Engineering Culture)、ということであった。
「かたち」をもたないが故に、操作することは不可能だとされやすい「文化」。様々な儀礼、語り直し、作業環境。こうした操作によって、「テック文化」がトップマネジメント層によってつくられているプロセスと、その様子をエスノグラフィックに報告している。
確かに、かつての組織文化論では、文化は常につくりかえらるダイナミックなテクストというよりは、既に所与のものとして存在するテクストとして認識されることがおおかった。この研究は従来の組織文化論に一石をとうじる研究であった。
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せっかく、このような本が出版されたことでもあるし、現在「企業教育プロフェッショナル」という本を書いているメンバー(産能大学の長岡さん、熊本大の北村さん、東大の荒木さん、青山の橋本君)で、1月28日午前10時から、「ハードコアな組織エスノグラフィー研究会」を開催することにした。
国内外の文献や、長岡さんのご研究についてディスカッションしたいと考えている。詳細は、またこのページでお伝えするが、もし参加希望の方がいらっしゃったら、1月28日の予定をあけておいてください。
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