2008.6.9 06:20/ Jun
即興的行為をどのように学ばせるか?
ASTD2008では、ここ数年、このようなテーマをかかげたセッションが多い。インプロヴィゼーション(即興)という言葉を、ここ、あそこで見かけた。
ここでいう、「即興的行為」や「インプロヴィゼーション」とは、何も「ジャズ」の「即興演奏」を指しているのではない。
一言でいってしまうと、「フツーの人々が、仕事の中で必要としている即興的な行為や対応のこと」をさしている。
一番わかりやすい例をだすと、たとえば「営業」。
できる営業マンとは、オープニングからクロージングまで、様々に変化する「顧客の反応」の連鎖の中から、顧客にとっての「意味世界」を読み解きつつ、その時々に、ベターな意思決定を行っている。一言でいえば、「あーいえば、こういう」!?。営業マンがふだん行っていることは、いわばまさに「即興的行為」といえる。
どこかにシナリオがあって、それを一字一句そのまま実行しているわけではない。たとえていうなら、営業におけるコミュニケーションとは「ジャズのインプロヴィゼーション」そのものである。
(こういうと、結構、楽しそうですね)
かつて、マサチューセッツ工科大学のドナルド=ショーンは、「Reflection in Action(行為の中の省察)」という概念を提唱し、新しい「専門家像」を定義しなおそうとした。
彼が著書の中で取り上げたのは、「医師」や「建築家」などの、「いわゆる専門家」が多かった。しかし、別に「いわゆる専門家」ではなくても、人々は、行為の中で省察を繰り返しながら、仕事をしている。
このあたりは僕の専門ではないので、セッションで聞いたままを述べるが、これまで、営業マンの「即興的行為」の「教育」には、「ロールプレイ」などが行われてきたのだという。
ここでいうロールプレイとは、「あるシナリオのもとで、固定化された役割演技を交代で担いつつ、練習すること」に近い。
それに対して、「即興的行為は即興的な状況で学ぶべし」という考え方がでてきている。それは「インプロヴィゼーション」という手法として体系化されようとしている。
インプロヴィゼーションには、様々な定義があるようで、セッションによっても、その指し示す内容が違うようである。
しかし、最小公倍数をくくると、どうもインプロヴィゼーションとは、
「大枠の状況と人々が担う役割だけが設定されているが、明確なシナリオはない中で、アドリブにコミュニケーションをとりながら、即興的対応をしてみること」
に近いようである。
コミュニケーションの相手に「本物の役者」を雇用し、彼/彼女に、様々な顧客の反応を即興演技してもらうといったことも、頻繁に行われているようだ。
もちろん、それぞれのインプロヴィゼーションの後には、そのプロセスで何が起こったのかをリフレクションすることが求められる。学習は「まずは即興でやってみて、ほんでもって、振り返る」というかたちで、進行するようである。
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ASTDは、学術イベントではないので、ロールプレイングとインプロヴィゼーションの学習効果の違いなどは、あまり触れられていない。もちろん理論的裏打ちも、あまりない。
おそらく、「インプロヴィゼーションなんだから、インプロヴィゼーションで学ぶのがいいんじゃねー」というくらいである。
このあたりはもう少し深掘りしてみると、結構、面白いのではないか、と思った。もちろん「もう既に深掘りされている」のかもしれない。僕は営業教育は専門ではないのでよくわからないけれど。
即興的行為は、我々が、日常の中でフツーにやっていることである。しかし、その「フツー」にやっていることを、いかに学んでもらうか、ということになると、あまりわからないことの方が多い。
この手法、どういうセオリーが関係あるんだろうな、、、どうやって評価すればいいのかな、、、セッションを聞きながら、ひとりそんなことをモンモンと考えていた。
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追伸.
金曜日帰国。土曜日・日曜日は、TAKUZO発熱。「ひきつけ」を起こさないか、とヒヤヒヤしながら2日間暮らしました。土曜日には、Sさん、Aさん夫妻、お子さんとランチをしたのですが、途中で、TAKUZO体調不良のため退散せざるをえなくなってしまいました。ごめんなさい。
今日は、これから8時30分、都内会議。その後、名古屋の某自動車メーカへヒアリングにでかけます。道中は、今書いている本の打ち合わせをする予定。迷惑をおかけしているので、これでケリをつけて、今月中には書き上げないと(そんな時間あるのか?)。
そして人生は続く。
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