2022.4.18 08:23/ Jun
「対面授業って、大変ですね・・・」
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僕が勤務している立教大学経営学部では、今、まさに「対面授業」続行中です。
キャンパスは開かれ、学生証があれば、中に入ることができるようになりました。キャンパスに、学生の往来を見るのは2年ぶり。ああ、大学って、こんな感じだったよな・・・と、つくづく思います。
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ところで、冒頭の言葉は、ゼミのある学生が、僕に漏らした言葉でした。
2年生・3年生の合同授業(ゼミ)をまとめなければならない役割をもった学生です。
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対面授業って、大変ですね・・・
彼の発した、このワンセンテンスにこめられた意味のディテールを、もう少しだけさぐると、おそらく、こんな含意かと思います。
対面授業で、多くの学生を動かすのは、大変ですね
対面授業で、多くの学生に話し合いをさせるのは、大変ですね
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授業は「ゼミ形式」をとっております。
ゼミの活動の中心はグループワーク。机・椅子の移動があり、話し合いがあります。それを40人近い人数でやるのですから、私語もでてくるし、思い通りには動かない。
ひとつひとつの動作にも「時間」もかかるのですね。机・椅子が、シャキーン、シャキーンと瞬間移動してくれるわけじゃない。全部動かしてグループをつくるのに10分。話し合いもすぐにははじまらない。だいたい場があったまるまで5分は予定にかかる。
要するに、2年ぶりに迎えた対面授業でのグループワークは「非効率」なのです。
しかし、一方、「生身の人間」に「出会えている」気がする。
何をするのにでも、ワチャワチャやるので、どこか、学園祭的で(!?)、楽しい(笑)。
2年前は、誰もこんなことを考えずに、普通に机と椅子を動かし、ふつーに話し合いをやっていました。コロナ禍は「対面授業におけるグループワーク」とは、いったい、どのようなものなのかを投射します。
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ひるがえってみれば、コロナ禍が、投射するものには、もうひとつの要素があります。
それは、
ZOOMとは「強制的権力」を行使できるメディアだった
という歴然とした事実です。
ZOOMは、ホストが「絶大な権力」を行使して、ひとびとを集め、動かし、コミュニケーション「させること」ができる。そういうメディアだったのです。
だって、そうでしょう。
・マイクミュートさせることも「ボタンひとつ」(声を封殺する)
・グループ分けして、グループごとに強制移動させることも1秒で「ボタンひとつ」
・すべての人々は「真正面」を向かせることもできる
・なんなら気に入らないひとは「退出」させられる
ものすごい「権力」
しかも「ボタンひとつ」で
すべて「1秒」
(学生の私語が多く、統制が難しい業は、実は、こちらに向いているかも・・・)
しかも・・・皮肉なことに、このZOOMのもつ「権力」についても、対面授業を再びやってみなければ、私たちは、なかなか気づかなかった(笑)。
ZOOMをやっているときは、ZOOMって、そういうものだよね、とわたしたちは思っていた。ここに「権力」が行使されているとは思わない。
結局、
物事のもつ特徴は、それと自らが「離れた」ときに実感されるものなのです。
日常軌道を外れて、「ズレ」や「違和感」を感じた「その先」に見えてくる。
ということです。
あはれ。
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今日は、2年ぶりに再開した対面授業について書きました。対面授業は「効率性」という観点だけを考えるのであれば「非効率」ではありますが、しかし、大学教育においては効率性だけが達成するべき教育価値ではありません。
学生同士が、生身の身体を持ち寄り、出会い、切磋琢磨し、時に葛藤し、達成感を感じることもまた、重要なことです。むしろ、その「非効率性」は、教育技術で、何とでもカバーできる。よし、わかった、何とかする。だから、何の問題もない。
・自分たちで、少し前にきて、学ぶ環境をつくる
・今日、何を目的に、どのような活動をするかを、きっちりアジェンダを組む
・授業内容は詰め込まないで、バッファをとる
・授業の最後は10分くらい早く終わり、撤収の準備をする
・話し合いのときには、すこし多めに時間はかかる
・くどいようだけど、詰め込めない
くらいはすぐに思いつきますよね。
2022年春、ようやく、キャンパスに学生が戻ってきました。
とても、嬉しいことです。
そして人生はつづく
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