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2008.1.7 11:17/ Jun

インフルエンザ・パンデミック

 河岡義裕著「インフルエンザ危機」を読んだ。

 現在、アジア各国では、鳥インフルエンザウィルスの「鳥から人間への感染」が報告されている。これが「人間から人間への感染」段階に移行したとき、全世界をおおう悪夢 – インフルエンザ・パンデミック – がはじまる。多くのウィルス研究者たちは、パンデミックのXデーが刻一刻と近づいている、という認識をもっているようだ。
 たとえば、200X年9月X日。
9月2日  風邪のような症状の患者が一例発生する
9月18日 患者数は6000人に拡大
9月24日 患者数は1万2000人に達し、700人の死亡が確認される
6ヶ月後 人口の25%が感染し、人口の2%が死亡
1年後  ウィルスは世界を席巻し、4000-5000万人が死亡
     – パンデミック(一般集団感染)
(下記書籍より引用)

 —
 子育てをする共働き家庭にとっては、「ウィルス」は、残念ながら、いつも「隣にある危機」である。ノロウィルス、ロタウィルス、そしてインフルエンザウィルス・・・。子どもは「保育園」で、次から次へと、様々なウィルスを他の子どもからもらってくる。
 ノロ、ロタや通常のインフルエンザも感染すると「悲惨な状況」に追い込まれるけれど、新型インフルエンザの凶悪度は、その比ではないそうだ。
 それが流行の兆しを見せたとき、僕らは、「子ども」をどのようにして守ればよいのか。僕としては、そこが最大に気になる点である。
 世の中がすべてストップし、仕事にいかなくてもよい、公共交通機関を利用しなくてもよい、というのなら、まだ話は早い。しかし、現実はそうはいかないだろう。
 世の中の機能がストップするまでにはタイムラグがあるだろうし、都市の密閉された公共交通機関は、人とともに「ウィルス」を一瞬のうちに、郊外へと運ぶことだろう。
 ウィルスの人から人への感染が日本で報告されたら、すぐに子どもを自家用車にのせて、実家に「疎開」でもさせたらいいんだろうか。なんか素人くさい処方箋のような気もする。根元的に人間は「つながり」なしでは生きていけない。そして、このつながりが感染の経路そのものである。
 ひたひたと迫り来る恐怖。
 ふと、そんなことを考えてしまう。
追伸.
鳥インフルエンザの感染状況
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html

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