2007.12.1 07:00/ Jun
先日、東京大学教育学部で開催された研究会に参加した。O先生、M先生らと一緒に、I先生の研究発表をうかがった。
発表内容は「IT企業の高業績プロジェクトマネジャーと中業績プロジェクトマネージャでは、仕事の仕方がいかに違うか?」というもの。いわゆる熟達化研究におけるノービス=エキスパートパラダイムである。
ここでいうプロジェクトマネジャーとは、すでにシステム開発というドメインにおいて、十分に「技術的熟達」をとげている人のことをさす。
プロジェクトの中の「一兵卒」とは異なり、プロジェクトマネジャーは、周囲から
1)多数のメンバーとコミュニケーションをとりながら
2)リスクを探索・発見し、対応策をとり
3)かつ必要な資材をコストの範囲内で調達する
という「不良定義問題(ill-structured problem)」を解決することを求められている。それでは、高業績のプロジェクトマネジャーは、これにどう対処(cope with)しているか。
この研究仮説に対して、I先生らは、実験心理学的な手法を用いてアプローチしていた(かといって、サイコメトリックな手法でもない)。これが非常に印象的だった。研究知見、研究方法論ともども大変勉強になった。
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熟達化に関しては、今、大学院ゼミでハンドブックを購読しているけれど、結局、現在の研究の主眼は、1)Perceptual-Motor系、2)スキル系などのシンプルな技術的熟達をいかに超えるか、ということにうつってきているように思う。
「ビジネス」という複雑で不良定義問題だらけのコンテキストでの熟達化研究も、こういう研究潮流の延長上に位置づけられるだろう。
ますます、この分野がオモシロク感じられた。
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