2007.11.23 07:00/ Jun
「文献をレビューする」とは、「自分の研究に関連しそうな文献を集めてきて、それぞれの研究知見を数行に”要約”し、それらを”並列”にならべること」では「ない」。
こうした活動は誰かに「よく勉強しているねー」と褒められるかもしれないが、「文献をレビューしたこと」にはならない。
「文献をレビューする」とは、
1) 自分の研究に関連しそうな文献を集めてくる
2) 各文献の研究知見を比較したり、要約したり、整理する
3) 2)のプロセスを通して、過去の先行研究に「共通する問題点」を指摘する
4) 3)のうえで、これまでは「触れていないオリジナルな「アイデア」や「分類の枠組み」を見いだすこと
である。
すなわち、「文献をレビューする」とは、難解な論文を読んでその内容を理解するだけでは決して完成しない。難解な論文を複数読んで、それらの研究知見の「関係」や「共通する問題点」を「考えること」なしに、レビューしたことにはならない。
比喩的に言うならば、「文献をレビューする」とは「過去の知的遺産の消費」ではない。それは「過去の知的遺産を消費した上で行われる生産活動」である。
しかし、既述したように、これがよく誤解される。
—
Aという研究がありました
Bという研究がありました
Cという研究がありました
—
といった具合に、Aの知見、Bの知見、Cの知見を並列してしまいがちである。クドイようだが、これは「知見を並べただけ」で、何ら知的な「生産」を行っているわけではない。
「文献をレビューすること」は研究者にとって、最も基本的な活動である。しかし、その奥はなかなか深い。
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