2021.9.13 07:59/ Jun
「たぶん、そのタイムスケジュール、時間通りにいかないと思うよ」
「きっと、そのタイムスケジュールだと、学習者は、こちらの想定通りには動かないと思うよ」
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これらは、僕が、よく学生にかける言葉のひとつです。
20年にもわたって人材開発の研究・仕事をしていて、すこしは「熟達」したかなと思うことのひとつに「学習者の動きと、その動きに必要な時間を読むことができるようになってきた」というものがあります。
たとえば、研修やワークショップなどで、
1.既有知識をどの程度お持ちになっている
2.あの集団サイズの、あのひとびとに
3.この「問い」を提供さしあげたら、
4.そもそも答えられるのか、それには何分かかるのか?
5. 学習者はいったいどのように動くのか?
こういうことを、あまり考えなくても類推できるになったのが、この領域の「熟達」なのかもしれない、と思います。
そして、タイムスケジュールを見ただけで、ある程度は、わかる。どこが時間的に厳しいのか、そして、どこでつまづくのか。いまだ「完全にわかる」とは言えませんが、以前よりは、クリアにわかるようになってきた。
はたまた、このタイムスケジュールをつくったひとが、どの程度の経験をもっているひとなのか、それともあまり経験をもっていない方なのか。そういうのも、だいたい、ははーんと、わかってしまう。
その妙は、言葉になかなかできないのですが、20年近く、人材開発の研究やら実践やらを繰り返していると、そういうのを「感じて」しまうようになっているのです。もちろん、まだまだ修行中ですが。
学習者の動きと時間を読むことができるようになれば、円滑なプログラム開発ができるようになります。
そういう意味で、このスキルは、研修開発やワークショップ開発にとって必須のスキルなのですが、その向上が難しいことも、また事実です。
いくつかの方法はあって・・・おそらくは、
1.とにかく基本は、自らタイムスケジュールを書いて、自ら実践して、振り返りを繰り返すこと
2.当日は、あらかじめつくったタイムスケジュールをそのまま実践しつつ、学習者の様子を子細に観察しつつ、案配がわるけれど、スケジュールをリアルタイムに変更して、実践を継続し、その振り返りを行うこと
3.あるいは、先輩のファシリテータ・講師と一緒にプログラムを実行し、彼らのタイムスケジュール運営を子細に観察学習すること
だと思います。
そういうことを繰り返していくと、どこで学習者がつまづくのか、どのように学習者が動くのが、おのずとわかるようになってくる。
要するに「場数」と「振り返り」と「メンタリング」が必要だということですね。たぶん、研修やワークショップの仕事につかれているかたなら、今日書いた、この実感は、おわかりいただけるのではないか、と思うのですが、いかがでしょうか?
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今日は、研修開発・ワークショップ開発の実践知について書きました。
この世界に長くおりますと、
「学習者が見えていない」のにもかかわらず、無理矢理に、学習者を動かそうとする、どっから考えても、無理ゲーなタイムスケジュール
を目にします。タイスケから無理ゲーなのですから、そこで引き起こされるのも「無理ゲー」です。
さて、そのようなものを目にするたび、僕が経験から学んできた実践知を、どのように伝えたらいいのかな、と考えております。
そして人生はつづく
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