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2021.4.13 07:37/ Jun

コロナ禍のなかでの「新人育成あるある」!? : 僕らに「過去」はありません、「今」しか知りませんから!?

 ちょっと前のことになりますが、一昨年、コロナ禍のさなか大学を卒業し、今は民間企業でつとめる元・学生さんが、先日こんなことを言っておられました。非常に印象深い話でした。
  
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「僕らの世代は、入社時期が、コロナにぶち当たっちゃったんです。なので、先輩や人事部の皆さんからは、よくこんな声をかけられたんです。
  
 今年の新人は、大変だねぇ・・・
  
 新人でコロナって、ついてないね。
 ちょっと可哀想だなぁ。
 例年だったらね。もう少し余裕もてるけどね。
  
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 皆さん、気にかけてくださっているのは、痛いほどわかるんです。でも、そう声をかけられるたびごとに、僕は、心のなかで、こう思ってしまっていました。
  
 いや、大変もなにもないんです。
 僕らは「今年しか知らない」んです、と。
  
 今年だけが、僕らの「現実」で、そのなかで、仕事をするだけ。僕らには「昨年」とか「これまで」はないんです、と。
   
「リモートワーク大変だね」と言われても、僕らはリモートワークしか知らないんです。「出社できなくて、大変でしょう」と言われても、僕らは、それしか知らないんです。
    
 むしろ、「大変だね」とか「可哀想」とか周りから言われると、自分が「大変なひと」「可哀想なひと」なのかな、と思ってしまう。
  
 昨年までの先輩と、同じように仕事ができているんだろうか、と急に不安になる。
  
 僕らには、「今年」しかありませんから。

   
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 この話を伺ったとき、僕は、この「元・新人さん」と「新人さんたちの周囲のひとびと」の「絶望的に深い溝」を感じました。
  
 新人さんには、今だけが「現実」
 新人さんにとっては、今しかない。
 新人さんは、過去を知らない。
 新人は、過去に生きていない。
   
 しかし、一方、
  
 周囲のひとびとは「コロナ以前」を知っている
  
 だから
  
 周囲は、「2つの現実」を抱えている。
 周囲は、コロナ以前と今を比較してしまう。
 周囲は、「今」と同時に「過去」を抱きしめている。
  
 そして、この溝こそが、ときおり、新人さんたちを複雑な気持ちに貶めてしまうことがある。
  
 周囲のひとびとが、よかれと思って、「大変だ」「可哀想だ」とラヴェリングするゆえに、新人たちは「自ら」を「大変なひと」「可哀想なひと」だ、と思ってしまう。「負の自己成就予言」とよべるのかもしれませんが、しだいに、自己をを負の方向に導いてしまう可能性がある。
  
 絶望的なまでに深い溝は、なかなか埋まらないだろう、と思います。しかし、もっとも着実なのは、
  
「今」という現実を受け入れること
 
 なのだと思ってしまいます。もちろん、2つの現実を知っているひとにとっては、それは難しいことなのかな、とも思うのですが。
  
  ▼
  
 今日は「コロナ禍のなかでの新人育成」の話を書きました。今、組織のなかには「コロナ以前」を知っているひとと、そうでないひとが生まれています。
  
 皆さんは「コロナ以前」を知っているかもしれない
  
 しかし
  
 あなたの会社の新人さんは、「今」を生きて、けなげに頑張っているかもしれませんよ
  
 そして人生はつづく
  
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