2020.11.16 08:22/ Jun
「わたしどもが、あえて、現場で、データ経営をする理由ですか? それは因果関係を明らかにしたいからです」
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せんだって、人事専門誌「Learning design」の連載「Good teamの作り方」で、株式会社ワークマンの土屋哲雄さんにお話を伺うことができました。お忙しいところお時間をいただき、心より感謝いたします。
ワークマンといえば、かつては「作業着」で有名だった会社。現在は、その商品を大きく広げ、アウトドア領域、女性向け市場に進出しておられます。売り上げは、10期連続の最高益。常に新たな市場をつくりだしている業界で注目の企業です。
土屋さんら、ワークマンさんの取り組みは、すでに「ワークマン式 しない経営」という著書になっておりますので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
この著書にあるとおり、ワークマンの経営の特徴は、「しない経営(ブルーオーシャン戦略;やるべきことを絞り生産性をあげること)」と「エクセル経営」という2つを徹底的にやりぬくことにあります。
この2点は別の言い方をすると「ワークマン流・戦略論」と「ワークマン流・組織論」といっても、過言ではありません。
詳細は、どうぞご著書へ!
おすすめの一冊です。
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土屋さんの話は、どのお話も興味深く、お時間の1時間は、あっという間にたってしまいました。
ただ、そのなかでも、僕がもっとも興味深かったのは、ワークマンさんが現場で実践しておられる「エクセル経営」です。
ワークマンさんでは、「エクセル経営」として
1. 現場の社員が、
2. 売り場で検証したいことを、自ら仮説をたて
3. 仮説を検証するための、さまざまな実験を繰り返し
4. エクセルをもちいて様々な分析を行い
5. 自分たちの売り場にもっともフィットした原理・原則を
6. みつけだす
といった取り組みをなさっています。
これがめっぽう興味深い。
たいてい、一般的な企業であれば、データ活用といえば
1. 機械学習・統計・数学をおさめた理系のデータ人材を
2. 市場から調達してきて、専門部署をつくり
3. 専門部署で現場のデータを解析させて
4. 現場に落とす
といったアプローチをとるのだと思います。
つまり、データ活用を「採用」の力で行い、中央でコントロールしようとする。現場は知見を「落とされる対象」になる。
しかし、土屋さんはそうしたアプローチをおとりになりません。
「現場から離れたところで、数字を分析しても、誰もが知っていることしか、わからないからです。現場の分析は、商品や現場を知り尽くしたひとがやらないと、現場で役立つものは生まれてこないのです」
とおっしゃいます。
さらに土屋さんは続けます。それが冒頭のお言葉です。
土屋さんは「ワークマンのデータ経営で把握したいのは相関ではなく、実験をとおした因果だから」とおっしゃいます。
「現場から遠いところで分析したとしても、わかるのは2つの数量の相関です。しかし、わたしたちが知りたいのは、よりクリアな因果なのです。
現場で、現場の社員が、現場のお客さんの動きをみて、仮説をたてる。その仮説を実験をとおして、因果を把握したいのです」
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かくして、ワークマンさんでは、現場のひとびとが、誰でもエクセルでデータ分析を行えるように、データ活用の研修や実習を繰り返していらっしゃいます。
データ経営のできる現場人材を増やし、データにより高い付加価値を生み出し続ける組織をつくる。これが、ワークマンのエクセル経営の真骨頂かと思います。
その様相は、データということをきっかけにして「自ら考え、自ら実践をしていく人材」をつくりあげていくことのように思います。要するに、土屋さんのお取り組みになられているのは「ビジョンあるひとづくり」なのではないかと感じました。
素晴らしいお取り組みです!
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今日はワークマンさんのデータ経営について書きました。
ひとによっては、これを現場の話、企業の話と読む方もいらっしゃいますが、土屋さんの言葉は、解釈によっては、学術の世界や、大学経営にも非常に大きな示唆を与えてくださっているように思います。
現場から遠い研究者が、データを分析することの意味は何か?
データを活用した大学経営が叫ばれているが、それがなかなかうまくいかない理由は何か?
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すこし妄想力を働かせれば、いろいろ、自分の周囲の問題を考えることができそうな気がします。
いずれにしても、ワークマンさんの今後の躍進がとても楽しみです。
最後になりましたが、取材を企画してくださった日本能率協会マネジメントセンターの宮川さん、西川さん、ライターの井上さんに心より感謝いたします。ありがとうございました。
そして人生はつづく
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