NAKAHARA-LAB.net

2020.10.22 07:51/ Jun

あなたの組織は「自組織の課題」を誤解して「場当たり的な解決策」を講じている!?:「72%」は「解くべき課題」ではない!

「課題」を抱えている組織は、自らの「課題」を必ずしもわかっているわけではない

  ・
  ・
  ・

 仕事柄、さまざまな組織に伺い、多様な組織課題を耳にします。
 人手不足問題から、組織コミュニケーション問題、若手の人材開発問題、新しい組織の組織開発問題まで、さまざまな課題解決のお手伝いをさせていただきます。
  
 そのような仕事のなかで、つくづく思うのは、
  
「課題」を抱えている組織は、自らの「課題」を必ずしも認識できているわけではない
  
 という冒頭の認識です。
  
「なんか、チームが回らず、成果が落ちてる」
「どうしてだべか、離職が増えてる」
「なんでだべか、エンゲージメントスコアが下がってるっぺしよ」
  
 たいていの場合は、このように「目に見える現象」だけが、組織のメンバーには認識され、曖昧に「課題」が決められています。
  
「チームリーダーの、リーダーシップ力が、ショボい。だから、いい研修ない?」
「採用がうまくいっておらず、リアリティショックが原因で辞めてる。面接方法、変えなあかんな」
「最近、忙しいので、エンゲージメントが落ちている。なんか、パコーンと元気がでるワークショップない?」
  
 といった具合に(笑)。
 組織の中では、「目に見えやすい現象」に対応する「原因」がなんとなく認識され、それに対する「解決策」なんとなく決められている場合がほとんどです。
    
 しかし、経験上、
  
 関係者が、最初に「課題」だと認識しているものは「解くべき課題」ではない
  
 ことが非常に多いものです。むしろ、現場をまわりヒアリングをしてみたり、調査を行ってみると、「解くべき課題」は当初のものから変わります。
      
 せんだって、日本でも有数の組織開発を実施している、ある企業の人事責任者の方が、こんなことをおっしゃっていました・・・。経験に根差し、地に足のついた、非常に興味深いご意見です(感謝です!)。
   
  ・
  ・
  ・
   
 組織のリーダーは、必ずしも「組織の課題」がわかっているわけではないのです。
   
 当社の組織開発の場合、リーダーが最初に思っていた「当初の課題」から、解くべき課題が変わってしまう確率は「72%」です。
   
 組織調査やヒアリングをしてみると、10件のうち7件は、課題が変わるのです。「より本質の課題」が浮かび上がってくるのですね
  
  ・
  ・
  ・
  
 このように、組織のメンバーやリーダーは、自らの組織に、違和感や葛藤を感じつつも、その組織を正確に「認識」できているわけではありません。
  
 だからこそ、組織を曇りのない目で「見える化」して、「とくべき課題」を見出す知性が必要なのだと、思います。
  
 ▼
  
 あなたの組織の課題は「何」ですか?
 あなたは組織の課題を正しく認識できていますか?
  
 そして人生はつづく
      
  ーーー
    
【好評発売中】1on1の失敗・成功ケースをまとめ、映像教材を中原とPHP研究所さんとで開発しました。失敗しない1on1について、具体的なイメージをもって学ぶことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
   
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
   
  ーーー
   
「研修開発ラボ」(ダイヤモンド社)が、フルオンライン化して大幅リニューアルしました。人材開発の「基礎の原理」を学ぶことのできるトレーニングプログラムです。どうぞお越しくださいませ!
    
研修開発ラボ 特別講座「人材育成の原理・原則を学ぶ」
https://jinzai.diamond.ne.jp/seminar/SEMINAR0495/
  
 ーーー
   

     
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

   
 ーーー
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約30000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.12.8 12:46/ Jun

中原のフィードバックの切れ味など「石包丁レベル」!?:社会のなかで「も」学べ!

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:54/ Jun

なぜ「グダグダなシンポジウム」は安易に生まれてしまうのか?

2024.12.2 08:12/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.29 08:36/ Jun

大学時代が「二度」あれば!?

「人事界隈」にあふれる二項対立図式の議論は、たいてい「不毛」!?

2024.11.26 10:22/ Jun

「人事界隈」にあふれる二項対立図式の議論は、たいてい「不毛」!?