2019.3.8 06:27/ Jun
「調査」を行うときには「現場の空気」を吸うことが大切である
「精神主義」といわれるかもしれませんが、これは、僕が心がけている研究作法のひとつです。
「現場の空気」とは、調査対象になるような現場、そこで生きている人々の日常の仕事場面の「空気感」です。何かを調べる前に、自分が調べたい対象者たちの生活空間に身をおき、彼らと話し、彼らのふだんの生活を感じてみる、ということを心がけます。
鉄道会社の調査をしたときには、ヘルメットをかぶって線路系の職場を訪問したりもします。アルバイトパートの調査をしたときには店舗を訪れたりもします。学校の調査をしたときには、やはり学校で一日を過ごします。そこには「現場の空気」があります。
そうした「現場の空気」から、ふっとわいてくる質問項目があります。
そうした「現場の空気」あら、これはいける、と思えてくるような「仮説」が生まれます。
「地に足のついた研究を為せ!」は、中原研のモットーのひとつですが、こうした「現場の空気」がもとで様々な研究が進んでいます。
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対して、学生たちの調査行動を見ていると、非常に心許なく思えるときがあります。僕がきちんと教えていないのが悪いのですが、とりわけ気になるのが、
1.わからないことがあったらすぐに「ぐぐる」。
2.すぐに「尺度集」に頼る。
3.現場にいくのを面倒くさがる
もちろん「ぐぐること」や「尺度集」が悪いわけではないのだけれども、その前に、現場にでて「空気」を吸って欲しい、と思うのです。
ひとびとはどんな息づかいで、どんな思いで、どんな気持ちで、生活をしているのか。
どんなに高度なデータ処理を行う研究でも、ひとにまつわる研究がしたいのであれば、話はそこからではないか、と思ってしまったりもします。
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なんか、朝っぱらから、説教くさい記事になりました。すみません(笑)。基本は、僕がしっかり教えていないのがいけないのです。
次の世代の学生たちが「現場の空気」をたっぷりと吸って、地に足のついた課題解決を成し遂げてくれることを願っています。
そういう意義を、どう伝えることができるのか?
悩みは尽きません。
そして人生はつづく
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