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最近、いろいろな大学の先生から上記のようなお話を聞きました。何が「遅い」かっていうと、ネットワークの回線スピードのことですね。「回線スピードが遅い=ホームページやメールをサクサクと利用できない」ってことです。 かつての大学といったら、社会で一番ネットワークが速い場所でした。インターネットというのは、もともと学術利用から発展しているので、それはアタリマエのことですね。当時は、専用線が引いてあって、300Kとか400Kとかのスピードがでる場所なんか、大学くらいしかなかったんです。 僕が学部生の頃は、大学は夢のような場所でした。おうちに変えれば、28Kのモデムで「ピーガリガリ」と接続していて、それこそ、Yahooをだすのに10秒以上かかっちゃったんですね。それが大学なら、リンクをクリックするのとほぼ同時だったんです、これは衝撃でした。 ちょっと前までは、一般の家庭は56Kのモデムか、よくて64KのISDNでしたね。ほんの2年前の話ですよ、それまではブロードバンドなんてコトバの片鱗さえなかったんです。 企業なんかも、同じような状態です。もちろん、大企業は別だろうけど、普通の企業なんかはISDN2本を従業員100名が使用するなんてのもザラでした。 でもね、そういう幸せな時間は長くは続かないんですね。
と多くの大学人たちが優越感に浸っていたのもつかの間、状況はイッペンすることになっちゃいます。 Yahoo BBの価格破壊、それに追従する他ISPの値下げ競争はどんどん激化しています。一般家庭には、8MBのADSLとかCATVとかがスゴイ勢いで普及しているんですね。それにしたがって、ストリーミングビデオなどのブロードバンドコンテンツも、次第に増えてきています。 そういえば、こないだBBC Worldが300Kのストリーミングをやっているのを見て、びっくりしました。本放送とは10秒くらい遅れるのですが、それでも、VHS画質のBBC Worldがスカパーなどの追加投資なしで見ることができるんです。 さらに最近では、100MBの早さを誇るFTTHも庶民に届く値段になりましたね。FTTHの本当の実力はまだわかりませんが、100MBっていうのは驚異的です。DVを転送するには、6MBの帯域が必要なのですが、余裕で何本もDV画質の動画を転送できるってことですよね。 もちろん、企業だって、負けちゃいない。今じゃ、多くの企業が10MBクラスの専用線をひいています。すべて価格破壊のおかげです。 それじゃあ、大学は?っていうと、こっちは、なんと恐ろしい状態になっているんですね。過去の栄光なんて、色あせまくって、原型をとどめていません。 確かに構内は100MBのイーサネットだったり、ギガビットだったり、ATMだったりするんです。でも、外のネットワークとの接続が極端に遅いんです。 ある国立大学では全学で1万人以上の学生がいるのに、外との接続は8MB。お昼には、メールのPOPがタイムアウトしてしまうくらいだという。メールがタイムアウトっていうのは、ほとんど病気です。モデムだって、そんなことはありません。だから、その大学の学生さんとか教職員の方々っていうのは、昼間はメールチェックできないんだって。そんなことがあっていいのかって感じです。 それだけで済めば、まだいいんですが、さらに輪をかけて最悪なのは、大学のネットワークっていうのは、本当によくとまるんですね。週末金曜日から翌週月曜日までとめるなんてのは、結構ザラです。ネットワークはそもそも24時間動いてアタリマエのインフラですよね。それを3日間もとめるっていうのは、僕には信じられないんだけど、要するにそれほどシステマティックになっていないお粗末な管理・運用体制だってことです。管理とか運用は、頑張っちゃう先生の善意とかに依存しちゃっているところがある。アウトソーシングとかできないんでしょうか。 まー、批判をしましたが、確かに、回線スピードだけが重要なわけじゃないです。月並みで凡庸すぎる物言いだし、それをしたり顔でいう人にはうんざりしているので、本当は言いたくないけど、「回線スピードだけじゃなくて、その上で何をやるかってことが一番重要」です。 でもですよ、万単位の人間の利用を支えるインフラとして、僕のおうちの回線スピードと同じっていうのは、どこか変ではないでしょうか。 いつの間にか、の笑い話で済んでいるうちはいいのですが・・・。どうも最近、大学に関しては、「いつの間にか」が多すぎるような気がします。 ※この文章は、2002年1月12日の日記に加筆修正したものです。 |