■要約
「Collaboratory Notebook」は、学習者が、協同的で自由な探求を組織するための「支援の道具だて」としてデザインされた、共有可能なhypermedia形式のデーターベースである。このソフトウェアは、学習者に対して、科学的探求に関するコミニュケーションジャンルを提供する。
本論考において、我々は「Collaboratory Notebook」のデザインの目的を、それを実際に使ってみたときの文脈に即して、論じるものとする。ジェンダー・テクノロジーに関する先行経験の有無・科学に対する態度・信念といったような「生徒の特徴」を通して、Notebookを分析する。
学習者が、協同的で自由な(open-ended)知的探求に参加していくこと、それが、現在の多くの教育改革努力の中心的な課題である。協同的な探求は、望ましいものと考えられているのは、それが「科学者」の手による「真正の(authentic)科学探求」を反映しているという点においてである。
しかし、多くの高校での科学の授業において、生徒たちは、そういった経験をほとんどしていない。我々は、学習者が協同的な探求活動を行おうとする際に、それを支援する道具だてとして、Collaboratory Notebookと呼ばれる共有可能なマルチメディア型データベースソフトウェアを開発してきた。それは、共同活動と科学的探求の両方を支援するという明確な目的をもってデザインされている。また、それは「The Learning Through Collaborative Visualization project (CoVis project)」と呼ばれるプロジェクトのためにデザインされている。そのプロジェクトは、高度に発達したコンピュータ技術とネットワークテクノロジーを利用することによって、高校生・教師・科学者からなる「分散したコミニュティ(distributed community)」内での、「project based learning」を支援するという研究の一部である。
(以下省略)