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2001/01/03 Update 認知科学の佐伯胖氏と、情報教育(コンピュータによる学習支援)の領域で、先進的な実践を行っている苅宿俊文氏との共著。前半は、苅宿氏による執筆で、「コンピュータに使われない先生、授業」を行うための印象的なエピソードが語られている。後半は、佐伯氏による執筆。先日、文部省によって配布された「教育の情報化」に関する資料の批判。 Reference 2001/01/03 Update
本書では、テイラー主義とフォーディズム、マックスウェーバーと官僚制、メイヨーのホーソン実験、ピータードラッガーの戦略論、クオリティコントロール、マーケティング、リエンジニアリング、Learning Organizationなどの、この100年のマネジメント理論がレビューされている。あまり専門的ではないが、マネジメントの理論について、概観するには非常に読みやすい。 ところで、僕は、「学習者が明るく楽しく、それでいて効果をあげつつ学ぶことができる環境をいかに構築するか」という観点から、この本を読むことになった。学習論というのは、実は、マネジメントの理論に関係するところが多いと思われる。 Reference
2001/01/03 Update ハーバードビジネスレビューブックス - Knowledge Management 情報化による組織変革の可能性をいち早く説いたピーター=ドラッガー、知識創造企業を提唱した野中郁次郎、学習する組織の概念化を行ったディビッド=ガービン、Xeroxパロアルト研究所の所長でもあり、認知的徒弟性の概念でも知られるジョン=ブラウンなどがハーバードビジネスレビューに執筆した論文を集めたかなりオトク本。Knowledge Manegementの理論的基礎を伺うことができる。 僕個人としては、「経験を企業に活かす方法」としての「ラーニングヒストリー」の章に大変興味をもった。 Reference 2001/01/03 Update 今日の朝も、カルフール内にあるスターバックスに立ち寄りよって、いつものように「本日のコーヒー」を買いました。それをもって、研究室に向かいます。本当は海浜幕張の駅は利用しにくいのだけれども、研究室までの道のりにスターバックスがあるから、その駅をあえて利用してしまうほど僕はスタバ好きです。タバコの吸えない喫茶店になんて絶対に行きたくないんだけど、ここは別。コーヒーのうまさもさることながら、スターバックスのバリスタさんたちの笑顔、そして、きめ細やかな対応。それが何より気持ちがいいのですね。 ところで、本書は、スターバックスの会長がしたためた自伝&会社の歴史を綴った本です。従業員(スターバックスではパートナーとよぶ)の動機を最大限高め、一緒に会社を経営していく、というスターバックスの社訓が、どのようにしてできたのか。また、笑顔輝くバリスタさんたちの確かなスキルは、どのようにして学習されたのかが、よくわかるはず。 Reference
2001/01/04 Update 近年の認知科学関係論文誌に掲載されたコラボレーション(Collaboration)関係の論をまとめたもの。コラボレーション研究の最先端をおおざっぱにつかみたい方には、おすすめであるが、内容はかなり専門的である。 それにしても、コラボレーションとは、非常に広大な研究領域である。コラボレーションが行われるコンテキストや、その作業が必要とするドメイン知識の差によって、その質は、全く異なると言っても過言ではない。故に、研究の方法論も、非常に多岐にわたることになる。 僕の研究は「協同の知をさぐること」に、あまり力点を置いておらず、というよりはムシロ、協同の知を「つくりだす」ことに力点を置いているのだけれども、この本を読んでいるうち、自分がしなければならないことが、アホほどあることに気がついた。ナイス、良著である。 Reference
2001/01/12 Update コンサルティング会社の書いているナレッジマネジメントの実践書とも、ナレッジマネジメントをささえる理論書とも違う一風変わった書籍。リクルート社内部の社員たちが、「自分たちのナレッジマネジメント」を実践するために、社内にリサーチをかけ、ヒアリングを行い、イノベーションをつくりだしていく。彼らの努力は、涙なくしては、読むことができない。ナレッジマネジメントにどこか圧迫感を感じるお方には、是非、おすすめの書物である。また、組織の変革を行うための事例としても非常に示唆にとむ。 Reference
2001/01/29 Update まさにやられたーというカンジの本。できることなら、この「学習コミュニティ版」を執筆したいと僕自身は思っている。この本では、YAHOOなどのポータルサイトを事例として、ネットワーク上でのコミュニティの形成、維持の方法を9つのTenetにまとめている。研究的ではないが、事例が豊富で非常に参考になる。 Reference
2001/03/18 Update 先日出版された「ネットコミュニティ戦略」は、訳本であったが、こちらの「インターネットコミュニティ戦略」の方は、和製の本。しかし、主張や概要は、非常に似ている。要するに、インターネット上に、コミュニティを構築するためのノウハウ本である。学術的ではないが、非常に示唆にとむ。 それにしても、かえすがえすも残念なのは、1990年代より「学習者コミュニティ」などという概念が、学会でアタリマエのように使用されていたのに、この手の書籍が学術領域では、いまだ出版されていないことである。 Reference
2001/03/18 Update 特集「学びのデザイン」 AXIS 2001年3月・4月号 デザインの専門誌「AXIS」が「学びのデザイン(Design on Learning)」とよばれる特集をくんだ。特徴ある学校建築、上田信行氏のワークショップ、苅宿俊文氏のモンゴルのプロジェクト、そして、スタンフォード台が宇ラーニングラボの事例が紹介されている。 実は、先日、NIMEの会議で、スタンフォードラーニングラボの所長「ラリーライファ」と知己を得た。ラーニングラボは、大学総長直轄の研究所で、スタンフォード大学の学習環境を研究・開発することを目的としている。ラリーは、大学生が使用するためのポートフォリオWeb Applicationの話や、ラーニングラボ内に建築されている実験的学習スペース「ウォーレンバーグホール」の話を熱っぽく語っていた。大学が、学習や教育を自ら研究対象とする時代が、とうとう現実のものになろうとしている。 Reference
2001/04/08 Update eLearning - 実践的スキルの習得技法 最近立て続けに出版された「eLearning」本の中で、一番、学習に配慮しており、実践的な本。部分的ではあるが、近年の認知科学の知見も盛り込まれている。eLearningという概念については、現在、ものすごく混乱しているが、この本を参考にすれば間違いはないと思われる。 Reference
2001/05/25 Update 数あるグループウェアテクノロジーの紹介・解説本の中で、非常によくまとまっている一冊。CSCLテクノロジーや、エスノメソドロジーやエスノグラフィーなどを用いたグループウェアの社会的分析も含まれている。CSCWやCSCLについて知りたい入門者におすすめ。 Reference
2001/06/14 Update Normanの影響からか、最近、数多くのウェブユーザビリティ指南書が上梓されている中で、特にお役立ちな一冊。単にノウハウを伝達するだけでなく、ユーザビリティを向上させるための思想を提示している点が、他書と決定的に異なる。 Reference
2001/06/16 Update 一日に30万以上のヒットをほこる「ほぼ日刊イトイ新聞」の主催者、糸井重里が、ほぼニチの誕生の舞台裏と成長の過程を書いた本。涙なしでは読めない。 「ネットワークはコンテンツが大事」というのはもはや月並みで手あかにまみれたコトバ。この本で一貫して主張されているのは、「コンテンツを生み出す過程が大切だ」ということ。テキストとイメージと適当な映像を組み合わせて、「コンテンツがぁ」と叫んでいるのは無意味だと気づかされる良著。 Reference
2001/06/28 Update Web-based Trainingについて、最新の分散化ネットワーク学習環境についてわかりたければ、まよわずこの本をおすすめする。広範な領域を、非常に多角的な視点からよくまとめられている。WBTをインプリメントするためには、制度的かつ社会的な側面も否めないが、この本はその点に関してもキチンとカバーしている。 Reference
2001/07/20 Update Web+DB Press & Web site design Webアプリケーションの開発っていうのは、Webのウゴキについてわかってないとアカンし、DBのこともある程度わかってなアカンし、デザインのこともある程度わかってないとアカンわけですが、そういうことを学ぶ本って今まであんまりなかったと思うんです。で、いい雑誌を見つけました。Web+DB Pressは、Webとデータベースの連携に関するマニア雑誌。Web Site Designは、Webのデザインに関するマニア雑誌です。前者はとっても売れているみたいで、書店の売り上げ第3位でした。 どちらも、かなりのマニア本ですが、本当にWebサイト構築を勉強したいという人にはおすすめです。 Reference
2001/07/30 Update プロダクトデザイン、インダストリアルデザイン、グラフィックデザインに続いて近年注目されている情報デザインについての入門書。入門書ではあるけれど、最後の方には、「コミュニティをめぐる関係のデザイン」とか、新しい内容も含まれていて、大変参考になる。たとえば、大学院のM1の方とか、これから何か人工物をつくっていきたい人におすすめ。 Reference 2001/07/29 Update ビジョナリーカンパニー、先駆的で斬新な成長をとげるカンパニーには、どんな特徴があるのかを解説した良著。その骨子は不易流行のカンパニー運営戦略とでもいおうか。時代やテクノロジーが変わっても決して変えてはいけない基本戦略と、それ以外の戦略を区別し、運用していくことの重要性を述べている。 Reference
2001/07/30 Update マーケティングの基本書。非常に分厚い本だが、ようやくマーケティングというものが、何を目指しているのか、その基本からボンヤリとわかりはじめた感じ。今まで、ヴァイラルマーケティングとか、パーミションマーケティングとか、マーケティングの本はいろいろ読んできたけど、どことなくわからなかった。それは、たぶん、僕がマーケティングの基礎を知らなかったためだろう。分厚いけど、丁寧に読んでいけば、決してムズカシクないので、夜眠れない日にはいいかも。枕にもなるし。 Reference
2001/07/30 Update 30台の若さでハーヴァードビジネススクールの教授となった天才マイケル=ポーターの本。競争の基本原理と競争を生き残っていくための企業の戦略について述べている。ムズカシイなんてもんじゃない。算数(数式)が至る所にでてくるし、まー、参った、参った。でも、読み終わったあとには、ちょっと新聞を読むのがオモシロクなる。 Reference
2001/07/30 Update ハーヴァードビジネスレビュー 知識シナジーのコラボレーション 知識をシナジーをうながすコラボレーションを、どのようにして企業内において引き起こすか、マネジメントするかということが特集。認知科学を志す人なら、誰でも知っている安西祐一郎先生がメタラーニングについて述べている。また、「場のイノベーションパワー」ということで、「状況に埋め込まれた認知」「Community of Practice」で有名なエティエンヌ=ウェンガーがナレッジマネジメントコンサルタントとして寄稿している。 Reference
2001/08/04 Update ある機械メーカの工場長を務めるアレックス。彼を突然襲ったのは、工場の生産性・収益体制を3ヶ月以内にあげることだった。それができない場合は、工場は閉鎖されるという。彼は、物理学者のジョナに助けを借りながら、奮闘することになるが。 この小説は、ゴールドラット博士の「制約条件理論」をもとにかかれている。いわゆる、全体的な最適化手法。教育工学から最適化というコトバが失われて久しい。この本を読むと、そのエッセンスを知ることができる。 Reference
2001/08/27 Update
一橋大学イノベーション研究センターの研究者による、近年のイノベーション研究の成果をまとめた本である。イノベーションを研究対象にしようとすれば、必然的に知識を扱わざるを得なくなる。この本は、優れた現代経営学の書籍であると同時に、知識科学の本としても読むことができる。 Reference
2001/08/20 Update バーチャルユニバーシティの事例、定義等、標準化の動向などをまとめた「一粒で何粒かおいしい本」。筆者の勤務する文部科学省 メディア教育開発センターが企画協力しています。 Reference
2001/09/09 Update 困難校でおきている出来事を「危機の物語」や「救済の物語」からあぶりだそうとするのではなく、現場に居合わせる人々の日常生活の描写、相互作用や交渉から明らかにしようとするエスノグラフィー。ウィリスの「ハマータウンの野郎ども」を彷彿とさせる。最終章では、近年の経営学の理論を用い、教師の「教える」という営為を、ワークの観点から見直す。 Reference
2001/10/09 Update インターネットという壮大なフィールドにおいて、社会心理学が何を語りうるか。攻撃性、グループダイナミクス等の知見を詳解する。簡明な文章で、非常にわかりやすい。通常の心理学のテキストとしても読み込むことができるのではないだろうか。 Reference
2001/10/22 Update 状況論的アプローチ 全3巻 とうとう待ちに待った本がでました。ちょっと前に加藤先生@NIMEに「ちかぢかでるよー」と聞いていたので、楽しみにしていたのです。状況的認知アプローチの近年の研究を網羅した書籍です。 全三巻ですので、そのすべてを到底語ることはできませんが、本書をきっかけとして、さらに状況論的なパースペクティヴから人工物の創造がおこるといいなーと個人的には思います。 Reference
2001/10/27 Update 膨大な量的&質的データを駆使した大学生研究。この本はとっても深いし、とんでもない労作です。データコレクションには、現役の大学生をあたらせて、彼らとのコラボレーションの結果、この本ができています。本の各所には、インタビューにあたった学生さんたちのコラムがのせられていて、こちらも非常にオモシロイ。生々しくてオモシロイ。 理論的に特に僕自身が興味深いのは、編者である溝上慎一さんの主張するポジション理論。僕自身の理解では、ポジション理論とは、インフォーマンツのナレイティヴの布置、および変遷を可視化するための概念的道具なのかなーと思いました。 Reference 2001/10/28 Update 「知識創造企業」に続く第二弾。冒頭に野中郁次郎氏が述べているように、この本は完結編になる。 前書に比べると、「知識創造企業」をつくるためのより実践的な指針(Enabling Condition)を提供している。本書で述べられているイネーブラー(Enabler)は、1)ナレッジビジョンの浸透、2)会話のマネジメント、3)ナレッジアクティヴィストの動員、4)適切な知識の場づくり、5)ローカルナレッジのグローバル化、の以上5点である。 ITがイネーブラーではないんだけど、その理由は本書を読めばよくわかる。重要な指摘だと思う。 Reference
2001/12/15 Update ティーチングマシンとプログラム学習、認知心理学研究、状況的認知と様々な学問のパラダイムを佐伯先生の最新刊。この本において、氏は認知科学、学習研究の知見を幼児教育研究に適宜応用し、幼児研究において、これまで問われずにきた「学習や教育の問題」を根源から問い直し、独自の体系をつくりだそうとしています。 先日、佐伯先生とはある会合でお会いしましたが、そのときに先生はこう言っておられました。
Reference
2001/12/24 Update 昨今新聞をにぎわせている大学改革、大学をめぐる混乱する言説をまとめあげ、著者なりの提言を行っている。著者は読売新聞社会部につとめる記者。 論点となっているのは、「新入生獲得の難しさ」「学力低下とリメディアル」「学生気質の変化」「入試ミスによるゆらぐ大学選抜の基盤」「国立大学の改革」「短大の凋落」「ビジネススクールやVU」など、非常に多岐にわたる。 現在の大学をめぐる問題の見取り図を描くのに参考になる良著である。 Reference |
NAKAHARA,Jun
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