人がなぜ「仕事」を辞めるのか?:「仕事のシンドサ」と「離職」の間にあるもの!?

 人は「仕事がシンドイ」から離職するのではない
「既にもっている仕事イメージ」と「現実」が異なっているから離職する

  ▼

去年から、中原はテンプホールディングス株式会社(新ブランド・パーソルグループ)さんからお声がけをいただき、同社と「アルバイト・パート人材の採用・育成」に関する共同研究を開始しています(お声がけ心より感謝いたします!)。

 この共同研究の中から、浮かび上がってきたことのひとつに、上記のテーマがあります。

 人は「仕事がキツイ」から離職するのではない
「既にもっている仕事イメージ」と「現実」が異なっているから離職する

 絵にかくとこんな感じでしょうか。
 上の図式は「仕事がシンドイ(現象)」から「辞める」パターン。
 に対して、研究から浮かび上がっているのは下の図です。
 下の図には「仕事のシンドイ」と「離職」の間に、「面談などで形成された仕事のイメージ(認知)」が入っています。
 そして、どうやら後者の方が問題だよね、ということがわかってきています。

tobotobo2016.png 

 どんな仕事でも、仕事そのものは忙しかったり、しんどかったりする場合があります。もちろん、そういう現象が離職につながるケースもある。
 だけれども、「離職の引き金」になるのは、どうもそればかりではない。

 むしろ、面接などで仕事をはじめる前に聞いていた仕事のイメージと、「仕事の現実」がギャップがあることが、離職の引き金になる。

 こんなことが研究でわかってきました。
 
  ▼

 そうすれば、大切なことは、仕事をはじめる前の初期イメージをいかに形成するのか、ということになります。
 このことは1970年代からいわゆるエントリーマネジメントの研究群で膨大な蓄積があります。が、実証的に、仕事の現場で変革を起こして、その効果を検証している研究は、そう多くはありません。おそらく国内では、初の試みになるのではないかと思います。

 アルバイト・パート人材の多くは、「仕事現場の下見」にいくこともわかっておりますので、仕事をはじめる前に、どのように仕事現場を見せるのか。
 面接にきた人を、一番最初、どのように対応し、ファーストインプレッションを形成するか。
 そして、面接などで、仕事の初期イメージをどのように伝えるのか、ということになります。

 こうした問題関心に基づき、今年は2本のワークショップを開発し、実証実験をおこなうことになりました。
 既に、ワークショップの開発は進んでおり、秋頃に実際に店長さんにご参加いただき、効果を検証していきたいと考えています。

 12月には研究成果を大公開!しちゃうフォーラムもやりますよ。
 どうぞお楽しみに!

 この研究は、テンプグループの渋谷和久さん、櫻井功さん、小林祐児さん、井上史実子さん、岩崎真也さん、稲田勇一さん、北本裕史さん、田中聡さん、ダイヤモンド社の藤田さん、ライターの井上佐保子さんとご一緒につくりあげているものです。

tempholdings201607.png
アルバイトパートの成長創造プロジェクト(テンプグループ)
http://www.temp-holdings.co.jp/corporate/growth/

 出口に向けて頑張ります。
 そして人生はつづく