あなたの働く組織は、あなたが「喜んで変わってもいい」と思える組織ですか?
この組織で働きたい
この組織で働くことが好き
この組織は信じられる
この組織には共感できる
こうした「組織に対する人の思い」、換言すれば、「組織に対する人の感情」といったものは、人材開発の観点からすると「心理的資本(Psychological Capital)」として機能します。
「人の感情」を「組織の資本」とみなすことには、抵抗感のある方もいらっしゃいましょうが、それが「経営」というものです。今日はどうかご寛恕下さい。
ここでは「心理的資本」とはさしずめ、
組織のメンバーが何かをなしとげるときに、心理的な後押しをしてくれるもの
くらいに捉えてください。
今日は、この激烈に?ゆるい定義で、以下の文章をしたためます。
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伝統的に、内部労働市場(Internal Labor Market)が発達しているといわれている我が国では(最近は少し変かもあるようですが)、企業が目標や戦略を変更したときに、組織の外部からではなく、組織の内部から人を調達します(Rubery and Grimshow 2003)。
内部労働市場とは簡単にいえば、
組織の「内部」に、人材のプール(市場)を抱えてますけんのー
という状況のことをいいます。
内部労働市場が発達している場合、企業が目標や戦略を変更したときには、組織の外部から採用を行うのではなく、そこに人材の異動や変化の可能性が生まれます。これは、わたしたちの国にとっては「アタリマエダのクラッカー」ですが、国が違うと異なります。
企業が、目標や戦略を変更したときには、内部にいる「不要な人」をクビにして、外部から人を調達する、という国もたくさんあるのです。
一方、内部労働市場の発達している我が国では、企業が目標・戦略を変更し、それにともない異動がなされたときには、
これまでAという仕事をやっていた人が、新たにBという仕事を覚える
これまでAという業務に熟達していた人が、Bという業務のことを覚える
ということがおこります。
これこそが「人材開発」です。
要するに、
内部労働市場内の人の「異動」とは、「学習の引き金」になるのです
異動にからんで、人は新たに何かを「覚えなおさなければならない」のです
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しかし、ここで問題があります。
人が何かを新たに学ぶこと
これまでやってきたことの中で通用しないものを、選び取ること
これまで自分が築いたルーティンから抜け出すこと
は、時に「ストレス」を感じたり、「痛み」を感じたりするということです。
ま、そこまでいかなくても「億劫だな」という思いをもつくらいのことはありえるかもしれません。
そこで大切になってくるのが、先ほどの「心理的資本」です。
この組織で働きたい
この組織で働くことが好き
この組織は信じられる
この組織には共感できる
といった心理的資本が高ければ高いほど、人は「新たな学習」に向かってくれる可能性が容易になることが予想されます。
ワンセンテンスで申し上げますが、
人は「この組織はクソッタレだと思っている組織」のために、重い腰をあげて学び直すことはしません。 アホらし(笑)。クソッタレ組織のために、自ら痛みを甘受し、億劫な思いをうけるほど、人は「どM」ではありません。
よって、「この組織はクソだ」と思ってしまう組織よりも、「この組織で働きたい」と思える組織にいる場合の方が、新たな物事に挑戦する可能性は高いと思われます。
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そして、経営の観点から申しますと、組織が様々な変化に翻弄されるからこそ、こうした「心理的資本」を一定のレベル以上に高めておくことが、求められます。
要するに、外部環境の変化に応じて、組織が変わらざるをえなくなり、それにともない、人々が「変化」を好んで受け入れるように、その心理資本をまえもって整備しておくということです。
そして、こうしたことをおこなう取り組みの中に、近年様々な領域で主張される「組織開発」の取り組みが入ります。
組織開発とは、ワンセンテンスで申し上げますと、
組織を「WORK」させるための外的な働きかけ
のことを申しますが、こうした「心理的資本」の促進も、その範疇に入るものと思われます。
このように「人材開発の世界」と「組織開発の世界」はコインの裏表のようにつながっています。
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今日は「組織に対する感情」という媒介項をひきあいにだしながら、人材開発と組織開発の関係を述べました。
こちらは、先だっておこなわれた慶應MCC・授業「ラーニングイノベーション論」の際に、一橋大学の守島基博先生の素晴らしいご講演をまじえて、皆さんで議論した内容となります。守島先生にはお忙しいところおこしいただき、心より感謝いたします。
現在、市場は激烈な勢いで変化しています。
多くの人々は「最近、先が読めない」ともいいます。
「外部環境が激烈に変化する」ということは、組織にとっては、また組織自らも変化せざるを得ない宿命にあるということです。
すなわち、そこには「人材開発」の必要性が増す、ということになります。
そして「先が読めない世の中」ならば、なおさら「心理的資源」を高めておくことが必要です。なぜなら、市場の変化にあわせて、組織の目標や戦略が大幅にかわり、人に挑戦してもらったり、学び直してもらったりする可能性が格段にあがるからです。
くどいようですが、
人は「この組織はクソッタレだと思っている組織」のために、重い腰をあげて学び直すことはしません。
アホらし(笑)。
誰が好きこのんで、こんな「クソ組織」のために、重い腰をあげるかいな(笑)。
市場がどうなろうが、組織が変化に襲われようが、ワイは知らんがな。
勝手にせいや、アホらし(笑)。
皆さんの組織は、皆さん自身が「喜んで変わってもいい」と思える組織ですか?
そして人生はつづく
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追伸.
研修開発の決定版、「研修開発入門」。人事部の書棚においてあるところもあるようです。どうぞご笑覧ください!
企業内教育のスタンダード「企業内教育入門」。16刷・約3万部です。研修開発入門は「実践編」。こちらの理論編もあわせてお読み頂けると幸いです
投稿者 jun : 2016年6月29日 06:14
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