「パパ、僕って手遅れなの?」:9歳の子どもが怯える「早期教育・手遅れ言説」!?

 先だって、愚息・TAKUZOが、突然、こんなことを、僕に言ってきました。
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 ねー、パパ。
 僕さー、テストで、
 そんなに、いい点数を
 とってこないときもあるけど、
 もう「手遅れ」?

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 「は?」

 我が子が、一瞬、何を言っているのかわからなくて、我ながら「ハトが豆鉄砲」をくらったような顔をしてしまいました。

 僕が、

どうして? 手遅れだと思うの?

 と聞くと、

 TAKUZO曰く

 こないださー
 Webを見てたらさー
 早いうちにできないと
手遅れ」なんだって。
 そう、書いてあった

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 あっ、そう、そういうことね。

 Webには何が「手遅れ」と書いてあったのかわからないけど(笑)、いつも君の会話には「主語」とか「目的語」がないよねぇ・・・。
 でも、パパはこう思うよ。僕はTAKUZOに、こんな風に話しました。

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 パパは、TAKUZOが「手遅れ」だとは思わない。
 いつもどおりで「大丈夫」だ。

 今までどおり、朝ご飯をたべて、
 決まった時間勉強して
 風呂入って、夜寝ればいい。

 いつもどおりの「習慣」で
 いつもどおりに暮らせば良い。

 その上で覚えていて欲しい。
 
 TAKUZO、
 人生は「マラソン」みたいに長いんだよ。
 10メートル競争で「勝った」からといって、
 それがイコール、ゴールじゃない

 1メートルやそこら、人より前に出たからといって
 安泰なわけじゃない

 パパですら、いまだに、マラソンを走っている。
 TAKUZOがパパの年齢になっても、君は走っているはずだ。
 たかだか数メートル先にでることは、その程度の意味しかない。

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 TAKUZO、Webには、いろんな人がいて、
 いろんなことを言っている。
 
 世の中には
 早いうちにやっておかなければ「手遅れになりますよ!」
 と大宣伝することで
 他人を動かそうとする人がいる

 そして、
 早いうちにやっておかなければ「手遅れになってしまう」と怯えてしまい
 動いてしまう人もいる。

 自分に関係することだけは、
「ジョーカー」をひきたくない、
 という気持ちが誰しもある
 それはパパにだってある。
 
 でも、そういう気持ちがあまりに強いと、
 「手遅れ」という言葉に
 敏感に反応してしまう。
 かくして、世の中には「手遅れ」という言葉が反乱している。
 それを君は目にしたんだね。

 でも、大丈夫だ。
 人生は「長い」
 パパですら、びっくりしている。
 考えている以上に長いんだ。

 「手遅れになること」はもちろんゼロじゃないかもしれない。
 でも、たいていのことは「今からだって間に合う」んだよ。
 人生のなかで大切なことは、
 たいてい「いつだって学びなおせる」んだよ。

 でも学び直すかどうかは「意志の問題」だ。
 世の中には「手遅れ」だと思って諦めちゃう人もいる。
 まだまだやれると思う人もいる。
 「学び直す」かどうかは「自分で選びとること」だ。

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 話終わったあとのTAKUZOは、「ふーん」という感じでした。
 説教臭いオヤジですまん(笑)
 自分の専門に近いので、ついつい熱くなってしまった。

 わかってくれたかなぁ・・・。

「ま、手遅れじゃないってことだよね」

 とは言っていたけど(笑)

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 世の中には、かくのごとく「手遅れ言説」が広まっています。

「手遅れ」と喧伝することで他人を動かしたい人と、「自分に関連することだけは手遅れにしたくない」と怯える人の「関係」の中で、様々なサービスが売り買いされます。

 ちなみに「手遅れ言説」が「黒魔術的」にパワフルなのは、それが「時間の不可逆性」と「教育の遅効性」と「親の愛情言説」を基盤にしているからです。

 すなわち

「今、早期に投資をしておくかどうかは、個人の自由意志だけれども、後になってから時間はさかのぼることはできないこと(時間の不可逆性)」

 と

「今、投資をおこなわなければ、取り返しのつかないことがおこるかもしれないし、おこらないかもしれないけれど、その効果はあとになってあらわれるので、現段階では検証不能であるということ(教育の遅効性)」

 と

「親が愛情をもっていれば、投資をおこなえるはずである(親の愛情言説)」

 とが重なり合うところに「手遅れ言説」の基盤があるのです。
 そして、これに抗することは、それなりの意志と信念が必要になる場合もあります。

 そして、その黒魔術的にパワフルな言説のなかで、親ばかりではなく、子どもが「揺れる」こともあるようです。

 僕って、もう「手遅れ」なの?
 まだ、人生のマラソンで、1キロすら走っていないのに。

 自戒をこめて
 そして人生はつづく

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