人を育てる洋菓子屋さん「リリエンベルグ」で聞いた「パティシエの学び」!?
先だって、新百合ヶ丘にある人気の洋菓子店「リリエンベルグ」に取材にうかがわせていただきました。
リリエンベルグは、日本で最も有名な洋菓子店であり、シェフの横溝春雄さんは、かつてNHK「プロフェッショナル」にもとりあげられた大変著名な方です。
横溝さんにはお忙しい中貴重な時間をたまわり
「パティシエは、いかにして一人前になっていくか」
についてお話を伺いました。
横溝シェフには、この場を借りて心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
リリエンベルグ
http://www.lilienberg.jp/
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横溝さんからは多くの貴重なお話を伺いましたが、もっとも印象的だったのは、
怒鳴られて、おいしいケーキをつくることはできない
という一言でした。
パティシエ、製造の仕事の現場は、まだ徒弟制が色濃く残るところもあり、かつては、場合によっては、鉄拳や怒号が飛んでくる世界だったそうです。
また、パティシエは、自分で腕を磨いて一匹狼のように働く人も多かったので、自分の仕事のコツや、仕事の道具を、他人には「教えない」という文化もあったそうです。
これをリリエンベルグでは大きく変えました。
言葉を尽くしてしっかり教えること
怒号ではなく、自らやってみせること
これまでに横溝さんは数十人の職人を育ててきましたが、これを徹底して、おいしいケーキをおつくりになっています。
また、リリエンベルグでは、
仕事のミスは「怒らない」
ということを徹底なさっています。
それはなぜか、と申しますと、横溝さん曰く
ここでは、わざとミスをする人はいないからです
ミスはたまたま生まれたので、それを攻めても意味はありません
ミスを責めれば、隠すようになってしまいます
またミスをしてしまって怒られることにビクビクしていては、お客さんに気持ちの良い接客はできません
とおっしゃっていたことが非常に印象的でした。
こうした組織の風土、ミスを責めない組織風土は「NO BLAME CULTURE」といいますが、その重要性は繰り返し喧伝されてつつも、こうしたことを徹底して実践できることは、よほどの覚悟が必要です。
リリエンベルグでは、たとえば販売員の方々が、誤ってケーキを倒してしまったりしても、製造のメンバーは、絶対に「気をつけろよ。また倒したのかよ」と言いません。「わかりました。手直しします」としか言わないことがルールになっているそうです。
非常に興味深いですね。
ちなみに、横溝さんだけでなく、販売員の方、製造の方々にもお話を伺いましたが、みな、おなじことをおっしゃっていました。組織の上から下まで、このことが徹底されていることの証左でしょう。
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当日は横溝シェフのはからいで、ケーキもいただきました(ありがとうございます!)
感想は・・・ここで食べたケーキは、今まで僕がケーキとして食べていたものとは明らかに「違う」
というものでした。
正直に感動しました。
スポンジのやわらかさ。
生クリームのおいしさ。
ちょうどよい具合に溶けたチョコ-レート。
リリエンベルグのケーキは「つくりたて」です。
冷凍もしませんし、つくりおきをしません。つくりたて、切り立てのケーキというのは、これほど美味しいものなのかと思いました。
横溝さんはおっしゃいます。
美味しいケーキをつくることは、少し頑張ればできる
(横溝さんのようなケーキはそうそうできないとは思いますが・・・)
美味しいケーキをつくる素材も、少し頑張れば集めることができる
皆がもっともできないのは何だと思いますか?
それは、美味しいケーキを「つくりたて」のまま、お出しすることです
あたりまえのことなのですが、冷凍をしない、作りたての鮮度の高いケーキというのは、本当に美味しいものなのです。
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リリエンベルグさんでの取材の様子は、雑誌「人材教育」の僕の連載「中原淳の学びは現場にあり」で取り上げられる予定です。今回の取材は、人材教育編集部の西川敦子さん、井上佐保子さん、宇佐見利明さんとの仕事でした。
最後になりますが、貴重なお時間をいただいた横溝シェフ、リリエンベルグの方々に心より感謝をいたします。本当にありがとうございました。
そして人生はつづく
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投稿者 jun : 2016年5月19日 06:38
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