ガンバリズムでお茶を濁してしまう「プチ残念なリフレクション」!?
ちょっと前のことになりますが、ある授業で、学生さんのおこなうグループワークの様子を観察していて、興味深い会話を耳にしました。
その会話は、グループ全員で「グループワークの成果」を「振り返る」ときに発せられた一連のやりとりです。
1ミリも悪気がない、かつ、何気のない会話ですが、個人的には、これこそ改善しなければならないマインドのだよなぁ、と感じ入ったものでした。
件の振り返りの会話とはこんな会話です。
A「みんな頑張ったのに、だめだったね」
B「そうだね」
C「だめだったけど、チームには和はあったよね」
D「みんな頑張ったのにね」
A「また、次、がんばろう」
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(この後、長く、一連の会話がつづく)
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なぜこの会話に改善の余地があると思われるのか?
それは、第一に「何が起こったのか」を事実として振り返っていないこと。
第二に「ダメだった理由」が何一つ掘り下げられていないこと。
第三に「つぎに頑張るべき内容や方法が掘り下げられていないこと」です。
本来きちんと正視しなければならないグループワークのプロセスや成果を「ガンバリズム」でお茶を濁し、向き合おう、掘り下げようとしていないところが、残念なところです。
何が起こったのかをきちんと全員が正視し、向き合っておらず、「ダメ」という2文字でそれを代表してしまっている。ダメな理由をいっさい考慮せず、「次の話」をしている。「次に頑張るべき」対象や手続きが考慮されず、「ガンバリズム」で物事を乗り切ろうとしている。
個人的には、もう少し、振り返りを掘り下げて欲しいと思った一瞬でした。
よく言われることですが、リフレクション(振り返り)とは、
1.What?(何が起こったのか?)
2.So What?(で、どうだったのか?:何がよくて何が悪いか?)
3.Now What?(これからどうするのか?)
をゆるやかに対話し、過去と現在をもとに、未来を決めていくプロセスです。
上述の「みんな頑張ったのにダメだったねーまた次頑張ろう」的会話は、このいずれの要素に対しても、「掘り下げ」ができていません。
ですので、最悪の場合、このグループは、もう一度同じ事をしてしまうのではないかと思うのです。
和気あいあいと仲が良いグループで
同じように成果を出せない
ということがおこる可能性がみ高いのではないかと思うのです。
できれば、それは避けたいものですね。
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今日は振り返りのことを少し書きました。
昨今は、双方向の研修やワークショップが増えているせいか、様々なところで、振り返りがなされることが多くなっているように思います。
自戒をこめて申し上げますが、「よい掘り下げ」のある、「深い振り返り(Deep reflection)」を心がけたいものです。
そして人生はつづく
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投稿者 jun : 2016年5月13日 06:17
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