「よいチーム」とは「失敗しないチーム」ではない!?

 中原研にはチームワークのことを研究している大学院生もいらっしゃいますので(D2の保田さん:看護師チームワークと熟達の関係を研究なさっています)、僕も、チームについて考えることがあります。

 考えてみれば、研究も大学の業務もそうですが、わたしたちの仕事は、その多くがチームワークで成立しています。このあたりは人によって異なるのかもしれませんが、たとえば、現在、僕の研究の90%は、いわゆる共同研究であり、多くの人々とタッグをくんで問題にアタックしていくものです。
 研究の成果を向上させるためにも、よいチームの中にありたい、と日々願います。

 多くの研究者が同意可能な、「チームワークのロバストな2軸」といえば、目標軸と相互作用軸です。

 いかに「目標」をにぎっているのか?
 いかにメンバー間に「相互作用」があるか?

 こうしたものがチームの成果を決める主要な2つの要因だといわれています。

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 ところで、「よいチーム」について考えていくとき、目標軸と相互作用軸の「他」にも、もうひとつ重要な要因があることにきづかされます。

 僕はそれを「リカバー軸」と個人的に呼んでおります。
 そこにはこんな思いがあるのです。

 要するに、

 よいチームとは「失敗しないチーム」ではない
 「失敗したときに、失敗をうけとめ、リカバーできるチーム」が「よいチーム」である

 という思いです。
 あたりまえのことですが、リカバーをするためには、おこった問題を真摯に「受け止め」、ともにリフレクション(内省)をおこない、未来を構想できることが重要になります。

 ま、目標軸や相互作用軸とは、すこし違う次元のお話なのかもしれませんが、自分がチームとかかわるときには、これが大事なんだよな、と思うことがあります。

 もちろん、失敗はしないにこしたことはありません。
 しかし、そこは世の常、人の常。
 人にまつわることに失敗はつきものです。
 といいましょうか、失敗は当然「起こりうる」ものとして、考えておくくらいがちょうどいいのでしょう。

 だから「失敗しないチーム」をつくるのではない。
 「失敗をリカバーできるチーム」をつくる。

 僕はそんな風に感じます。

 あなたは、今、どんなチームにいますか?
 それは「失敗をリカバーできるチーム」ですか?
 それとも
 「失敗を責め合うチーム」ですか?

 そして人生はつづく