あなたはどんな「聴き方」をしていますか?:松木邦裕著「耳の傾け方:こころの臨床家を目指す人たちへ」書評

 松木邦裕著「耳の傾け方:こころの臨床家を目指す人たちへ」を読みました。本書は、こころを取り扱う専門家が、どのようにクライエントに耳を傾け、聴いたらよいのかについて論じた本です。

 著者の松木さんは、精神分析・精神療法がご専門の方で、本書は、その立場から、「クライアントに対する耳の傾け方:聞き方」を7ステップにわけて論じておられます。
 僕は、著者の研究領域や立場についてまったく知りませんので、専門的な判断はできませんが、個人的にはとても勉強になった一冊でした。

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 聞き方と申しますと、よく述べられるのは、「共感と受容」というキーワードです。

ステップ1「語り表されることをそのまま受け取り、そのままついていく」(Putting oneself into someone's shoes)

ステップ2「客観的に聞く」

 この延長上にある聞き方のベーシックであるステップ1や2は、なるほど想像がつきます。
 また、ステップ3と4と5、すなわち

ステップ3「私自身の体験・思いと重ね合わせて味わい深く聞く」

ステップ4「自分とクライアントの同じ感覚にあるズレを細部に感じながら聞く」

 なども、そういうこともできるんだろうな、と想像はつきました。

 しかし、いわば「名人芸」の域に入ってくる

ステップ5「1から4をしりぞけ、ひたすら受け身に聞く」

ステップ6「平等に満遍なく漂い注意」

 とか

ステップ7「聴くことから、五感で感知する」

 といったところになると、専門外でかつ靴下ポイポイの僕には、想像ができませんでした。しかし、幾人ものクライアントと出会い、聴くことを極められた方は、そういうこともできるんだろうと、憧れのようなものを勝手に感じつつ、読み進めることができました。

 ま、、、僕はステップ1も怪しいけれど・・・(笑)
 いや、ステップ0?
 ステップ0「生返事をしない」?

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 世の中は、年をへるごとに「前のめり」になっているような気がします。
 自戒をこめて申し上げますが、そんな時代にこそ、じっくりと腰をすえて「聴くこと」が、さまざまな職種において必要になっているような気が致します。
 
 ステップ0に言われたくないと思うけど(笑)
 そして人生は続く