「夏休みの自由研究」とはそもそも「何」なのか?:テーマ選びの際に考えておきたい3つのポイント
首都圏は「猛暑日」が続いてますね。
北の国生まれの小生は、これから本格化する夏早々に、もうすでに「トロリとろけるチーズ」のごとく、シオシオのパーになって
、ドロドロに溶けています。
嗚呼、はやく冬こないかな(笑)。
ところで、今週・来週あたりで、子どもが「夏休み」に入るのですが、夏休みといえば「自由研究」。
8歳の愚息TAKUZOにも、今年は「自由研究」が課されるらしく、我が家では、せんだって、食卓でその話題になりました。
自由研究では、何をテーマにするか?
です。TAKUZOは、今年、はじめて自由研究をするので、そんな会話になりました。
そしたら、開口一番、TAKUZO曰く
鎌倉幕府は源頼朝がひらいたんだよね。
僕、自由研究に、それを書きたい
バミューダ海域って、船沈むよね
僕、それを調べて自由研究に書きたい
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思わず、これには、飲んでいたコーヒがダバダーと口からあふれ出てしまって、頭痛が痛くなりました。
あのさー、それって、そもそも「自由研究」なの?
源頼朝が鎌倉幕府をひらいたのは、すでに誰かが明らかにした史実で、それを暗記して、書くのは「お勉強」じゃないの?
バミューダ海域を調べるっていうけど、あんた、バミューダ海域、どうやっていって、どうやって潜るの?
ねー、そもそも「自由研究」って何?
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「そもそも自由研究が何か?」は、どのように教えられているんだろうか?
「なんかおかしい」と思って、翌日、書店に行きました。そしたら、世の中には、よほど自由研究に困る人がいるらしく、自由研究本って腐るほどあるんですね。
夏休み終了1日前になっても、すぐに真似できる自由研究のタネ本もあったような(笑)。
その中から数冊読んでみましたが、とても興味深いことがわかりました。
それらの本には、
「子どもが簡単に真似できる自由研究の事例」は書いてあるのだけれども、「自由研究が何か?」を明確に定義して、伝えている本はない
のです。
ま、たぶん探せばあるんだろうけど、都内の大手書店の自由研究コーナーで、僕がこの日みたものの中には、そうした記述は見当たりませんでした。
だいたい
自由研究は、好きなことを調べることだよ
好きなことをつくることだよ
となっていて、
自由研究=牛乳パックなど身近なものをつくった工作
すなわち、ものづくり
自由研究=インターネットや辞典をつかって知識を調べて書く
自由研究=簡単な理科の実験をすること
自分の自宅の周辺を調べること
みたいになっていています。もちろん、それも「事例のひとつ」としてありうるんだけど、きちんと定義がなされていない。これには小生は、「なんちゃって研究者」のはしくれとして、非常に違和感を感じました。
そもそも、自由研究を子どもに求めるのなら、「自由研究が何か?」をきちんと説明してほしいのです。そうしないと、間違ったものを「研究」と呼んでしまうから。「お勉強」と「研究・探究」を決して同じものと考えないで欲しいのです。きっと、苦労するから。
で、しょうがないから、TAKUZOに「小学生にとっての自由研究が何か?」を教えることにしました。
僕の定義は、下記のとおりです。
自由研究とは
1.自分が知りたいこと
2.他の誰も、今までやっていないこと
3.身近でできること
をすべて満たす「知的な活動」ですよ。
と説明しました。これは工作のことはあまり考慮に入れていない定義ですが、工作が研究か?といわれると、僕にはピンとこないので、このような定義にしました。
3つのポイントのなかで、特に大切なのは2と3。
2は「オリジナリティ:Originality:誰もやっていない度」、3は「フィージビリティ:Feasibility:成し遂げることができるか度」です。
先ほどの例でいうならば、
確かに「鎌倉幕府は源頼朝がひらいた」んだけど、それは他の誰かが明らかにしちゃった史実だから、もう自分がやる必要はないね。
確かに「バミューダ海域って、船沈む」んだけど、TAKUZOが海モグって、沈む理由を考えるのは、TAKUZOの水泳能力と夏休みじゃ無理だよね
ってことになるんでしょうか。
そのうえで、自由研究には「自分の説(言うまでもなく仮説)」をもつ必要があります。
「自分の説」とは
「ははーん、この場合だったら、こうなるはずだ! Yesか? Noか?」
みたいな感じで、研究で「白黒はっきりさせられる自分の予想」です。この「正しさ」を確かめていくのが「研究」なんだよ、と。
一応、TAKUZOは納得してくれていたようですが・・・
嗚呼、どうなることやら。
今度は、バミューダ海域に鎌倉幕府があった、とかぬかしそう(笑)。
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今日は「自由研究が何か?」ということについて書きました。
僕はすでに学校教育の研究を離れて15年弱たっているので、「自由研究が何たるか?」に関する議論があるのか、ないのかすらしらないけれど、この間、さまざまな本を読むに付け、すこし違和感を感じました。
そのうえで、探究を子どもにさせたいのなら、
「探究とは何か?」
「それは日々のお勉強とは何が違うのか?」
をしっかり教えていく必要があるのかな、と思いました。
志と熱意のある先生は、すでに、そのようなことを実践なさっているのでしょうけれど・・・
そして人生は続く
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追伸.
そういえば、かつて、夏休みの読書感想文についても私見を書いていました。夏休みの課題に、僕、ルサンチマンがあるのかも(笑)。あー、子ども時代には、ひどい目にあった。
過去記事>夏休みの読書感想文とは、いったい「何」で、どのように書いたらよいのか?
http://www.nakahara-lab.net/2012/11/post_1894.html
過去記事>悩める親のための読書感想文にわか指導法:長い文章を書くとはどういうことか!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/08/post_2262.html
投稿者 jun : 2015年7月15日 06:13
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