「自分のやりたいことを探している」ときは「自分のやってみたいことをやってはいけない」!?
先日、河合塾さんのご依頼で、都内某所で講演をさせていただきました。当日の内容は、一般の高校1年生・2年生向けのもので
「仕事の世界は今後どのように変わっていくのか?:今、高校生は何ができるのか?」
という内容でした。
講演といっても、70分いただいたうち40分以上は、「さっきまで知らないもの同士だった聴衆の方々に御協力いただき、突然グループワーク」をしていただいているので(!)、僕は、あまり「喋っていない」のですが(高校生相手に、この内容で、講演スタイルはぜったいに厳しいでしょう? 少なくとも、僕は、そんな話術はないです・・・笑)、ともかく、高校生たち、親御さんたちのご協力もあり、何とか、無事終えることができました。御協力、まことにありがとうございました。
また、このような機会をくださった河合塾・教育研究開発本部のみなさま、伊藤さん、石鍋さん、竹内さん、成田さん、片山さん、堀上さん、高井さん、谷口さんらには心より感謝をいたします。ありがとうございました。
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僕が今回の講演?ジャジーなセッション?で、高校生におつたえしたかったことはいくつかありますが、その中のひとつに、
「やりたいことがわからないとき」はどうするか?
ということがあります。
この手の話題になると、社会人の中には、「オラオラモード」で、「わたしの成功物語」の講釈をたれる人もいますね。
「おれって、若い頃からスゲーだろ。だから成功するんだぜー。すごいんだぜー」
みたいな(笑)。
ま、気持ちもわからんではないけど。。。「いまだ成功・非成功の舞台にすらのっていない高校生」に「成功している社会人」として相対しているという「非対称な権力関係」の中で、その手の「オラオラトーク」は繰り返されます。
しかし、僕は、そういう語りをしたくはありません。
ていうか、そんなに自信ないしね。
「てめー、40近くになって、何、青臭いこといってんだ!」
と便所スリッパで殴られそうだけど、「30になっても、40なっても、正直、自分のやりたいことなんか、自信もてないし」・・・。たぶん、60こえても、僕は「やりたいことが見えなくなった」とか言ってそう(笑)。
まー、ともかく、今回の機会は、なるべくそうならないように、気をつけながら、お話をしたつもりです。
講演?では、
1.若い人は、みんな「やりたいことがわからない」(ほんとのこというと、40近い僕ですら、わかんない)。だから全然OK。たかだか15年しか生きてなくて「やりたいことがわかってますー」という方が、むしろ「異常値」!「やりたいことがわからない」全然OK。
2.でも「みんな、やりたいことがわからない」でとりあえずはいいけど、その「後」の行動は、「やりたいことがわかる人」と「やりたいことが一生分からない人」は違うよ。どっちを選ぶかは自分できめてね。
というお話をしました。一部は、中原研博士課程の大学院生・高崎 美佐さんの研究知見をご紹介させていただきました。
「やりたいことがわからない」・・・僕自身も、まさに、高校時代は、そういう口でしたので、この気持ちはよくわかります。いや、本当に。世の中のことなんか、何にもわかってなかったし、大学4年生くらいになるまでは「霧のなか」にいた気がします。ま、今も「霧の中」とも言えるけど(笑)。濃霧よ、まさに霧の摩周湖!ひゅるるるー。
しかし、講演でお伝えしたように、
「やりたいこと」を見つけるヒントは、「やってみたあとに率直に感じたこと」と「やってみたあとに感じたことに対する自分の思い(心の声)」との「ズレ」の間にしかない
ということです。
結局、人は「差異(ちがい)」や「違和感」を感じることでしか、「次の行動の指針」を認識できない、ということですね。
だから、心ゆくまでまずは「何でもかんでも手あたり次第にやってみて」大いに「違和感」を感じなさいな(笑)。大丈夫、「違和感」を感じたくらいじゃ、人は「シオシオのパー」にはならないし、「手遅れ」にもならないから(笑)。
ちなみに、甚だしい誤読と文脈ジャンプを許すのなら、「差異に着目した思考」のタネを、ソシュールという人は言語学という分野で播いたのであり、そういうものの見方が「構造主義」につながるのでは?ほら、人文社会科学も「みんなの課題」にすぐにつながるでしょう?(笑)あのね、最近、野蛮な議論がまかりとおってるけど、人文社会科学、きっちり勉強してから「役に立たない」と言いなさい(笑)。
話をもとに戻すと、そういうことなんで、とにもかくにも、「何かをやること」を「先延ばし」せずに「やってみること」。そのうえで、なんか違うな、と思えば、違うことをやってみればいいし、「これかな」と思えば、とりあえずやりつづけてみること、が大切かと思います。
つまり申し上げたかったのは、
「やりたいこと」を見つけるとは、「アクション」と「リフレクション」の連鎖の中にあるのだよ、、、
ということです。
もちろん、一般の高校生、しかも高校1年生、2年生相手に「アクション」だの「リフレクション」だのとは、申し上げません。当日は、それとは違う語り方で、高校生にお話をしてみました。
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ところで、もうひとつの観点で「やりたいことをみつける」うえで、僕が、いつも学生のみなさんにアドバイスをさせていただいていることがあります。それを少しだけご紹介をしました。
アドバイスといっても、たいした役に立たないことですが、「自分のやりたいこと」を考えるうえで、常に「自分」起点に考えてしまう方、すなわち「自分、自分、自分モード」に入っている方には、ぜひ、その軸をいったん「ズラ」してみることをおすすめしております。いったん「ズラ」すんだよ、そのための話だよ。
それは
「自分のやりたそうなことをやってみること」も大切なんだけど、それよりは「誰かのためになること=他人に貢献できることをやってみる」と、ヒントになるかもよ
ということです。
と申しますのは、結局、「自分のやっていること」が「仕事になる」というのは、「誰かのために貢献し、そこに対価が生じる」ときです。
ワンセンテンスで申し上げますと、
仕事を決める上で、大切なのは「自分のやりたいこと」よりも、「誰かのために貢献できるかどうか」
なのです。「誰のためにもならんことをすることが大切!」だと自信をもって思える御仁は、どうぞそのまんま突き進んでください。ここで僕がお話ししたいのは、そういう「自信」のある方ではなく、「自分のやりたいこと」に考え疲れてしまった方です。
要するに申し上げたいことは、仕事のことを考えるときには、常に「自分のやりたいこと」軸と同時に「誰かのためになるか」軸という2軸、そして、「交点」を意識しておくことが重要なのではないかと思うのです。そうしてみると、見えてくるものもでてくるのあkな。と。
そこで、「自分のやりたいこと」に考え疲れた人というのは、軸をズラして、今度は「誰かのためになるかならないか」という視点で考えてみるとよろしいのかな、とも思っちゃたりします。しかし、ともすれば前者よりも後者は忘れ去られがちですね。
今、下図のように、縦軸に「自分のやりたいこと」、横軸に「誰かのためになること」をとると、そこには4つの象限ー「4つの可能性の空間」がわかれます。
左上の「◎ゾーン」は「OK!」、右下の「ペケゾーン」は「論外」として、びみょーなゾーンが二つ生まれます。ひとつは「ひとりよがりゾーン」と「長続きしないゾーン」です。そして、もっとも僕が深刻だと思われるのは「ひとりよがりゾーン」です。
ひとりよがりゾーンとは、「自分のやってみたいこと」ではあるけれど「誰のためにもならないこと」をやり続けてしまうことです。この場合は、「自分がやりたい」という熱意があるだけに継続はしてしまいますが、「誰のためにもなっていない」のだから、ここに「対価は発生しません」。なぜなら、くどいようだけど、「誰のためにもならない」からです。
そして、個人的には、ここがもっとも「危険」のように感じるのです。なぜなら「長続きしないゾーン」は、もともと「やりたいこと」ではないため、おそらくは、そもそも長続きしないのですが、先ほどの「ひとりよがりゾーン」は、自分がやりたいがために、「やめること」が遅くなるからです。
自分のやりたいことがわからないときは、
まずは、他人のためになることをやる
僕がそうアドバイスをさせていただくのは、その理由です。
まずは「誰かのためになること」さえやっていれば、いろんな経験ができる。しかも、誰かに感謝されて承認されることも増える。
そのうえで、折りに触れて、その経験を振り返り、それが本当に自分にフィットするかどうかをリフレクションすればいい。そのリフレクションで感じた「ズレ」や「フィット感」の中にこそ、やりたいことを見つけるヒントがあるよ、ということです。
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今日は、高校1年生、2年生向けの「やりたいことを見つけるヒント」を書きました。
さんざんぱら書いてきて、つくづく思うのは、
「やりたいことが見つかっていない」という高校生の悩みは、シンドイだろうけど、貴重だよなということです。「やりたいこと」よりも何も、「やらなきゃならないこと」に追われる身としては、まことに羨ましい(笑)。
自分たちは「まだ何者でもない」。
だからこそ「何者にでもなれる」。
それって、素敵なことだよな、と思うのです。
やりたいことが見つからない、のはシンドイことかもしれません。でも、大丈夫、いつかは、何かをやるときがきます。そのときまでは、心おきなく「自分のやりたいこと探し」を愉しんでいただけたらと思います。
大丈夫だよ、この世に、晴れぬ霧はない。
動け、動かせ、世界をロックせよ!
そして人生は続く
投稿者 jun : 2015年6月23日 06:06
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