年を重ねて「裸の王様」になっちゃった!?を避ける工夫 : 「経験を重ねること」と「他者からのフィードバック」

 今、ヤフー株式会社執行役員の本間浩輔さんとともに、

 「現場マネジャーの抱える、ひとにまつわるディレンマ」
 
 にまつわるディレンマに関する本を書いています。
 光文社新書さんから出版させていただく予定で、編集担当は樋口さん、古谷さん、そして構成には、秋山基さんにご担当いただいております。ありがとうございます。

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 先だっては、この本の執筆のため、現場マネジャーの抱えるディレンマについて、僕のブログで、皆様からさまざまなご意見・事例を募集させていただきました。
 この無茶ぶり的御願いに関しましては、多くの方々から回答をいただき、心より感謝いたします。ありがとうございました。著書の中で、何とか、活かしていきたいと考えています。

「現場マネジャーの抱えるディレンマ」を絶賛募集中!:えーい、どないせーちゅうねん系悶絶ディレンマ、あなたの周りにございませんか?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2015/01/post_2347.html

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 ところで、先だってのチームと研究室で打ち合わせをしていて、ひょんなことから、

「人は、どれだけ年や経験を重ねれば一人前で、他者からのフィードバックを必要としなくなるのか?」

 という話題になりました。

 かつては、管理職は「あがり」と見なされ、そこに至れば「一人前」。それから先は、「部下に対してフィードバックをすること」はあっても「フィードバックされること」は少なかったのではないかと想います。

 昨今は、この状況も、かなり改善され、360度評価など、様々なツール群が、こと大企業に関しては準備されていますが、「年を重ねれば、フィードバックから疎くなる」というのは、一般論として言い得ることなのかな、とも感じます。
 だからこそ、昨今の人材マネジメントでは、敢えて人工的にフィードバックループを準備しなければならないということになるのでしょう。

 それに対して、僕も本間さんも

 どれだけ年や年齢を重ねても、否、年を重ねるからこそ、他者からのフィードバックは不可欠だ

 という持論を持っています。
 僕の場合、かつて著した「職場学習論的な世界観」は、ワンセンテンスで申しますと、

 「人は、他者にひらかれて成長する」

 ということです。職場学習論に限らず、「人の成長は、個に完結できない」は、僕の研究のコアをなす信念かと想いました。

 本間さんは、

「あのタイガーウッズでさえも、コーチが必要なんですよ」

 とおっしゃっていました。
 曰く、この世界には、タイガーウッズよりも名プレイを為すコーチはいないんでしょうけれども、彼がどんなに能力が高かったとしても、コーチ、すなわち、他者からのフィードバックは必要であるということになります。

 そういえば、これに「ゆるく」関連したところですと、先だって拝見した糸井重里さんと宮沢りえさんの対談でも、似たようなことが述べられていたことを思い出しました。

 糸井さん・宮沢さん曰く、

糸井
クリント・イーストウッドは、
今でもプレゼンテーションしているんですよ。

宮沢
ああーー。

糸井
「こういう映画の企画があって、
 こういうキャストで、
 こういうスタッフを集められ、
 お金はこれくらいあります」
で、映画にしてOKかどうかっていうのは‥‥
オーディションなんですよ。
(下記より引用)

AERA×ほぼ日刊イトイ新聞「試練という栄養」第5回
http://www.1101.com/rie2014/2014-11-10.html

 クリント・イーストウッドが受けているのは、フィードバックではないのですけれども、あの名優ですら、試練が与えられ、そして「見るー見られる」の関係の中に、みずから投企されている、ということが、印象的でした。

 要するに、

 どんなに年を重ねても、熟達していても、他者からのフィードバックは必要である

 どんなに年を重ねても、熟達していても、他者にひらかれていなければならない

 逆にいうと、

「年を重ねたから、オレは王様だ!」とか「このポジションまで上り詰めたから、あとは好き勝手だ」というのは、非常に危険である、ということになるのでしょう。それは「裸の王様」への第一歩を歩み始めた証左かもしれません。

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 今日は、「年や経験を重ねることと他者からのフィードバック」についてお話をしました。
 年功序列の考え方の色濃く浸透している我が国では、年を重ねれば、「言いにくい状況」が生まれ、やがて「誰からもフィードバックを受けない期間」がつくられがちです。

 しかし、自戒をこめて申し上げますが、事態は逆で、年齢や経験を重ねたからこそ「フィードバック」を必要とする状況が生まれているのだと感じます。

 そして人生は続く

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