「組織文化」を知るためのシンプルな方法!?

 先だって、都内某所で、ある企業の次世代幹部研修の一部を担当させていただきました。

 全社から集まってきた精鋭の方々が参加者ということで、こちらも緊張しましたが、無事、大役を務めることができ、今はホッとしています。これまで数回にわたるやりとりを行い、とてもお世話になりましたIさんには、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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 興味深かったのは、こちらの研修での、参加者のみなさんの動きです。受講生の方々の動きのひとつひとつから、ご本人たちは自覚なさっているかどうかまではわかりませんが、同社の「組織文化」を、僕は、ひしひしと感じていました。

 例えば、

1.ワークの進み方が異様に早い
 グループワークで誰からはじめるかを議論するという時間がまったくなく、誰かがリーダーシップをとって指名するか、自分から名乗り出てワークを始めてしまう

2.指示をはじめる前からすでに動いている
 こちらの指示が間に合わないほど、指示をのみこむのが早く、指示が終わるか終わらないかのときには、既に動き始めている

3.コンテンツを提供しているときから、行動を考えている
「今後とるべき行動」を書く欄に、コンテンツを提供している際に、すでにメモをしている方がいる

 誤解を避けるために申し上げますが、こうしたことが「悪い」といっているわけでは断じてありません。むしろ「望ましいこと」だと僕は思います。
 むしろ、こうした参加者の様子を感じながら、柔軟にプログラムを組み替え、次の一手を売っていくのは、こちらの腕の見せ所です。
 結局、この会は、いくつかのパートを当日短縮したり、丁寧に説明したりしながら、無事時間通りに終えることができました。

 このように、研修では参加者の様子から、その「組織の文化」などがにじみ出ることがあります。ファシリテーションや講義を行いつつ、参加者の様子を観察しながら、

「あっ、きっと、この会社には、こんなノーム(規範)があるんだろうな」

「この会社では、こうした振る舞いを、新人の頃から身につけさせているんだろうな」

 と感じることがあります。そうした情報の中から、その場に最善の流れをつくりだしていきます。

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 今日は、研修から垣間見られる組織文化の話をしました。

 組織文化といいますと、最も有名なところでは、エドガー・シャインなどがその泰斗として知られています。彼は、さまざまな企業に対するプロセスコンサルテーションを提供する際、

「組織文化を知りたければ、その組織で行われている会議に出さえ
すればいい」

 とおっしゃったそうですから、今日の話は、それに類するものとも言えそうです。組織の会議に出れば、そこで発言権をもっているのが誰か=誰がキーマンか、何がノーム(規範)として共有されているのかが、ただちにわかります。

 そこには、外部からみると、とても興味深い現象が埋まっていることもあります。

 あなたの会社の「研修場面」には、どんな特徴がありますか?
 あなたの会社の「会議」に出ると、どんな文化を感じますか?

 そして人生は続く

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追伸.

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 中原は編著をつとめ、松尾睦先生、難波克己先生、守島基博先生、久保田美紀先生、アキレス美知子先生、金井壽宏先生、妹尾大先生、高尾隆先生、曽山哲人先生、長岡健先生など、人材業界の第一人者の方々を著者に迎え、440ページの書籍に編みあがりました。

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