3回やれば事業が「安定」する、安定した頃には「マンネリ化」がはじまる!?:組織学習をめぐる闘い!?

「組織学習」という概念があります。「組織が学ぶ」という風に「組織」が「主語」になっている概念は、何とも「奇妙」に聞こえるかもしれません。
 が、それをワンセンテンスでいいかえますと、「組織がスマートに振る舞えるようになること」と言い換えることもできるのかもしれませせん。

 組織学習とは

「組織に所属するさまざまな人々が、そこで業務経験をつみ、学び、それらの智慧が共有されることで、組織全体としては、少しずつ効率性がたかまり、さまざまなオペレーションが確立していくこと」

 です。

 経験を積んで、だんだんと「組織がスマートに振る舞えるようになること」。このことを、今、ここでは「組織学習」と呼ぶのだとします。学術的に様々な詳細な説明は、ここでは(20分で書いてるブログなんで)期待なさらないでください。取り急ぎ、ここでは、これですすみます。組織論の中で組織学習の概念レビューを丁寧になさったのは、南山大学の安藤先生かと認識しておりますが、下記の書籍に、詳細な歴史的系譜が論じられております。ご興味をお持ちの方は、ぜひご一読いただければ幸いです。

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 組織学習・・・こう呼んでしまうと、何だか難しい概念であるような気もしますが、職場をマネジメントし、新たな事業を進め、苦闘している方々にとっては、いつも闘っていること、「あーあれのことか」ではないかな、とも思います。

 新しい事業やサービスをはじめる。
 最初は、メンバーの誰一人として、経験はない。
 だからこそ、混乱する。
 だからこそ、非効率。
 
 でも、業務を積み重ね、経験を積むことで
 だんだんと効率的、かつ、スマートな運営ができるようになる。
 マニュアルが整備され、会議体がもうけられる。
 3回やると安定してくる。

 ここまでのプロセスが、「組織学習」です。
 混乱期からオペレーションを確立していくのはなかなか大変で、内部にいる人々は、このプロセスの中で「闘っている」のですが、しかし、組織学習の「本当の闘い」は、ここからはじまります。

 というか、マネジャーとしては、ここからが「激闘」。

 なぜなら、
 安定するころには「マンネリ化」もはじまってきます。
 仕事がオペレーションになるころには、ルーチン化も
 はじまってきます。

 そうすると、だんだんと、メンバーは
 仕事をこなしてくるようになってきます。
 新しいことを次に工夫しようとか、そういうマインドが低下
 することもあるかもしれません。
 顧客に少しずつ見放されてしまう可能性もゼロではありません。
 そのなかで、少しずつ外部環境自体も変わってきます。
 
 事業が「飽きられ」、環境に「適応」できなくなってくる。
 本来ならば、この1歩手前で物事を変えなくてはなりません。

 安定した頃がマンネリ化、不適応のはじまりです。
 本来ならば、安定期の一歩手前に、対処をうたなければならないのです。

 つまり、いったん学習した内容を棄却(Unlearning)し
 新たな物事を、次に生み出さなくてはならないのです。
 これは苦渋の決断です。
 なぜなら、ふりだしへ戻るだから。

 本当にゼロではないけれど・・・
 多くの場合は、「ふりだしに戻る」は痛みをともないます。

 このように組織学習のややこしさは、「3回すれば安定する。でも、安定した頃にはマンネリ化する」の繰り返しにあるような気がします。

 皆さん、思い当たる節はありませんか?

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 今、私たちの研究部門では、さまざまな新たな試みを行っています。そして、メンバー全員、実は、この「組織学習」のまっただ中にいます。

 さらに人の入れ替わりもありますので、方程式はなかなかに複雑です。どのような知識や経験が、今、組織がもっており、どのような経験が、人の入れ替わりによって失われてようとしているのかを、常に頭の中に入れておかなくてはなりません。

 組織学習という言葉を仮に知らなかったとしても、マネジャーの中には、常にこれと苦闘している方もおおいはずです。

 組織学習とは、経営学のマニアックな用語ではありません。
 組織学習とは、「みんなの課題」です。

 そして人生は続く