「エクセル上のリアリティ」症候群を抜けだそう!? : 手間をかけて「生声」と対峙する経験のすすめ!?
季節はめぐり、11月も半ば。この頃になってくると、来年度開講されるコースや研修の様々な企画打ち合わせの仕事が入ってきます。
ありがたいことに継続をいただいているコースや研修では、来年は、どんな工夫をしようか、と考えをめぐらせています。
今年の評価データを見ながら、いったい何がよくて、何がだめだったのかを振り返ります。そのうえで、何をどのように継続し、何を変えるかを、担当者の皆さんと一緒に考えていくのです。それは「果てないあやとり」のようなものです。そうしたサイクルが、年内一杯続きます。
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来年度、コースの改善をはかるにあたり、特に自分として強化したいと考えているのは、
ビジネスパーソンの皆さんに、現場に「足」をむけ、現場の「生声」を聞き、それらを「手」で整理すること
さらには
取得してきたデータに「机上」で徹底的に向き合い、議論をしながら、時に葛藤をおぼえつつ、概念を創り出す(創造)経験
を持って欲しい、ということです。そういう経験を、各種のプログラムの中に導入していきたいと考えています。
前者は「足・生声・手による情報収集」、後者は「机上・議論・葛藤による概念創造」というのでしょうか。
ひと言でいえば、プログラムの中の「フィールドワークの経験」と「知識生産の経験」を徹底的に強化するともいえるのかもしれません。
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最近、とみに思うのは、私たちの生活が、それとは「逆の極」にふれているという、自分自身の「危機感」です。
わざわざ現場に足を向けなくても、わざわざ自分の手を動かさなくても、「エクセル上にまとめられた数字」「箇条書きされた顧客のニーズ」に「リアリティ」があると感じてしまう。
「ははーん、ここんとこ、この数字しかでないんだ。こう来ましたか、ははーん。じゃあ、そっちの数字、ちょっと次回はあがるように、何できる?」
また、わざわざ机上でデータに向き合わなくても、「ほにゃららソフト」に質的データをかければ、「なんとか分析」によって、生声を客観的に整理する軸がつくられ、もっともらしい4象限ができあがる。
あとは、この4象限に、いかにもなネーミングをすれば、概念のいっちょ上がりです。すなわち「機械のつくりだした整理の軸」におぼれてしまう。
「データ入力完了。これで、どうだ! はい、二軸出ましたね。ははーん、こうきたか。ここまとまったのね・・・じゃあ、これでいこうか」
もちろん効率性や合理性が重視される世の中においては、そうであっても致し方ない「過酷な現実」もあるのかもしれません。
しかし、せっかく日常を離れ学ぶ機会を得るのですから、もっとも非効率で、しかし、自分の頭をフル回転させざるをえないものを、もっと導入したいと考えています。
わたしたちは「エクセル上のリアリティ」「(マシンの創り出した)もっともらしい整理軸」を今一度相対化しなければならない。そんな月並みで、凡庸なことを、思います。
(本当のことをいうと、もっともっと生声に近づく時間を、今の10倍くらい僕自身が欲しているのかもしれません)
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以上のように僕のやりたいことは、明確です。
しかし、これを一般のビジネスパーソンにもわかるかたちで、しかも限られた時間の中でレクチャーを行いながら、演習を行うというのは、なかなか大変なことです。
まず意義を理解してもらうところから大変なのです。
「顧客の声? そんなの、聞いてるよ。調査会社に大枚つっこんでんだから」
「手と足を使って、現場の情報を収集する? そんなのやってるよ。現場からは月1でレポートをださせてるから大丈夫だよ」
ここからのスタートです。
今年度も、これに近いことをやったことはあるのですが、わたしのインストラクションが薄かったのと、また時間がうまくとれなかったことから、なかなか深めきれなかったな、という実感があります(これは心から反省しています)
(本来は、こういうねっとりした問題解決の授業は、そもそも大学教育に向いていますよね。たとえば、僕は、近い将来、人材開発のプロフェッショナルを大学・大学院レベルで育成したいと考えていますが、こうした演習的な授業をやってみるのも面白いですね。通年4単位くらい使えば、それはゴッツリ、ねっとりしたフィールドワークができそうですね。そういうの、たぶん、授業する方も腹をくくる必要があるけれど、ぜひやってみたいですね)
既存に出版されているアカデミックな書籍なども、ビジネスのコンテキストからはかけ離れているし、一般にビジネスの領域で出版されているそれは、アカデミックな背景を漂白しすぎている感覚があります。
さて、どうしたものかな。
担当者の方々と議論しながら、今は、自分たちにできることからはじめましょう。新しいものをつくりあげる、悩ましくも、愉しく、苦しい時間が続きます。
そして人生は続く
投稿者 jun : 2014年11月10日 08:57
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