「わかっちゃいるけど、やめられず、繰り返してしまう行動」をいかに抑制するのか?
リーダーやマネジャーとして「やってはいけないこと」とわかっていつつも、ついつい「繰り返してしまう行動」というものがあります。
例えば、「ついつい、マネジャーであることを忘れ、下の人の仕事に必要以上に手や口をだしてしまう」とか「すぐカッとなってツメてしまう」とか、その類の行動を思い浮かべていただけると、ここではよいのかな、と思います。
そういう行動に関して、組織行動論の研究では、1980年代からRelapse Prevention Research というものが進展しています(たとえば、Marx 1982などですか)。
「Relapse」とは「逆戻り・再発」のこと、「Prevention」とは「防止」ですから、さしずめ、ここではそれを「再発防止研究(RPR)」とよびましょう。
その研究の全体像を描き出すことは、ブログの趣旨を超えているので、敢えていたしません。これら一連の研究は、カウンセリングや臨床心理学における「認知行動療法」を、マネジャー研究に応用・適用したものであるとだけ、背景を述べておきます。
(だから、メリットがある反面、デメリットもあります)
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「やってはいけないとわかっていつつも、なぜ、人は問題行動を繰り返すのか?」
この問いに対するRPRの答えは、非常に興味深いものです。
RPRでは「わかっちゃいるけどやめられない状況」の原因帰属(理由)を「個人の意志の強さ・弱さ」に求めません。人が「やめようと思ってやめられない」のは「個人の意志の弱さ」によるものではない、と考えると言うことです。
そうではなく、むしろ、RPRでは「やめなきゃならないことを、思わずやっちゃったこと」に対する「受け止め方のまずさ」と「対処スキルの不足」によると考えます。
要するにこういうことです。
「わかっちゃいるけどやめられない状況」から個人が抜け出すのは、その個人がどんなに「強靱な意志の持ち主」であったとしても、なかなか難しい。
よって、人は、問題行動をやめようとするプロセスの中で、「わかっちゃいるけど、やらかしちゃうこと」が、頻繁に「起こりうる」。要するに「問題行動からの離脱」が「一時的に失敗」してしまうことが起こりえる。
しかし、「わかっちゃいるけど、やらかしちゃったこと」が起こったときこそが「ポイント」である。そうした「一時的な失敗」をどのように意味づけ、どのように対処していくか、こそが「重要な岐路」になる。
一般に、人は「わかっちゃいるけど、やらかしちゃった」ときには、「罪の意識」に苛まれ、かつ「高い不安」が生じる。そのとき「自己効力感(おれはやめることができると思える感覚)」は低下し、「本当は、やめなきゃいけないのだけれども、意志がよわくてやめられない自分」という自己像を強化してしまう。
要するに、
「俺は、わかっていたのに、やめることができなかった。あーあ、あんなに約束したのに、破っちゃった。もうだめだ。いや、まてよ、俺は、そもそも、やめることができない弱い人間なんだ。だから、そもそもやめようと考えること自体が間違いだったんだ・・・だから、やめないでおこう」
と考えてしまうということですね。
ここで本当に「やめるため」には、「わかっちゃいるけど、やらかしちゃった」事態を、どういう風に受け止め、対処していくべきなのか。
それは第一に「完璧にやめることができなければ、やめたことにならない」という「考え方」をかえることからはじまります。別に、すぐに完璧にやめることができなくたっていいじゃないか。「やめる」と決めた時点で、「やめるプロセス」の中にいるのだから。
そして、もし「一時的に失敗した=わかっちゃいるけど、やらかしちゃった」としても、それを「起こりえること=あるがままのこと」にとらえて、努力を継続していくこと、にあると思われます。RPRでは、リーダーシップ研修の最後などに、こうした状態を予防するカリキュラムを実践します。
要するに、
「俺は、わかっていたのに、やめることができなかった。でも、そもそも仕事の現場で長期間つちかった癖は、なかなか変えることはできない。そういえば、そういう一時的な失敗は起こりうることだ、だから気にしちゃいけないと教わったじゃないか。そうだ、それは俺の意志の弱さによるものじゃない。だから不安を感じる必要はない。もう一歩冷静になって考えてみよう。次に俺は何をするべきなんだろう」
という意味づけを導くということですね。
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人は、まことに「弱い」存在です。
そして僕も「弱い」(笑)
時には「わかっちゃいるけど、繰り返してしまう行動」というものが、多くの人には存在します。しかし、完璧ではないことをまずは認め、そこから少しでも物事を前進させることを考えたいものです。
あなたの「わかっちゃいるけど、やめられない行動」って何ですか?
そして人生は続く
投稿者 jun : 2014年9月 9日 06:26
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