組織の理念を「伝える」ための工夫とは!?:仕事のエピソードを紡ぎ、まとめ、語る「創造」のプロセス!?
先だって、ヤマト運輸さんが羽田におつくりになった総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」に、MCCの学生の皆さん、中原と「ご縁」?のある皆さん、雑誌プレジデントの取材チームの杉下さん、井上さんらと訪問させていただきました。
羽田クロノゲートの見学にプラスして、ヤマト運輸さんが行っている「理念経営の試み」に関して、同社の人事部の木村さんなどからレクチャーをいただくためでした。この場を借りて、ヤマト運輸の皆様に心より感謝いたします。
羽田クロノゲート
http://www.yamato-hd.co.jp/hnd-chronogate/
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ところで、ヤマト運輸さんの「理念経営」ですが、ヤマト運輸さんが、国内・グローバル含めて、共有したい理念とは、
一、 ヤマトは我なり
(ヤマトの最も大切な資本はヒトですよ。全員経営をしますよ)
一、 運送行為は委託者の意思の延長と知るべし
(ヤマトは顧客中心のサービスをしますよ。
サービスが先、利益は後)
一、 思想を堅実に礼節を重んずべし
(礼、法令を遵守しますよ)
というものです。
これらは、1931年(昭和6年)に制定されたもので、希代の経営者・小倉昌男さんが世をこえて、会社にお伝えしたいものであったそうです。同社人事部の木村さんが、これに関してレクチャーをしていただきました。
同社では、これを全員に共有するべく、様々な取り組みを行っていらっしゃいます。
特に興味深いのは、理念に関連する社員のストーリーを社内から収集し、DVD作品にまとめ、それらを視聴し、仕事を語る、という実践(ワークショップ)を、全社で行っていることです。
個人的に非常に印象深かったのは、全社から「理念に関連する社員のストーリーを集めたビデオ作品を「用いた」ワークショップ(学習機会)もさることながら、そうしたビデオ作品を「創り上げていくプロセス」そのものも、まさに理念経営そのものではないか、ということです。
理念に関連したストーリーを想起してもらい、鉛筆と紙に社員の方々にしたためてもらう。その後、1000件以上集まったエピソードを、社員の方が読み、10件にまで精選し、選んでもらう。こうした「創造」のプロセスそのものが理念経営の大切なパートなのではないか、と感じていました。
そしてそうであるとするならば、理念経営は「DVDをつくって終わり」になるのではなくて、それらを用いてワークショップを実践していく草の根の運動を常に続けていくこと。さらには「新たなビデオ作品を常につくり、社員のエピソードを紡ぎ続けていくこと」にあるんだろうな、と思いました。
このあたりは、短いあいだでしたが、最新の理念経営に関する考え方をご紹介するとともに、僕からラップアッププレゼンテーションさせていただきました。
ちなみに当日は、いくつかのお仕事でご一緒しているYahooの本間さん、宮田さんらご一行もおこしになりました。本間さんには同社の理念共有の取り組みについてご発表いただきました。ありがとうございました。
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羽田クロノゲートは、これまでの「運送」に加え、さらに高付加価値な運送を可能にする総合物流拠点であり、アジアにうってでるヤマト運輸が、最新の仕分け機械などを導入してつくった心臓部でもあります。その設備は、とてつもなく先端的で、目をみはります。
一方、同社の本社は、実は銀座にございます。銀座本社には、これまでにも共同研究などで何度かお邪魔させていただいておりますが、たまに「会議室が足りないんです」と社員の方がおっしゃるくらい、こちらは、こじんまりとしておられます。
何がいいたいかと申しますと、この羽田クロノゲートと本社のあり方そのものがヤマト運輸の考え方、思想そのものであると感じるということです。
現場が先、本社はあと
現場を重視する経営が、この二つの建物の布置からも見て取れます。
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僕が留学生にあうと、たまにこんな風に問いかけることがあります。
「日本で生活する中で、これはすごい!と感じたものって何? 自分の国ではなかなか真似できないだろうなと思ったものってある?」
と聞きます。
その際、もっとも上げられることがおおいのは、ずばり「宅急便」です。正確で、礼節正しくて、便利。これぞ、日本が誇るサービスであり、ぜひクロノゲートを媒介として、世界に普及していっていただきたいものだと感じます。
ちなみにクロノゲートは、見学もできます。なんと料金無料!
混雑をしているようですが、ぜひご覧頂ければと思います。ベルトコンベヤーの早さ、正確さは必ず「萌える」こと請け合いです。
羽田クロノゲート見学コース
http://www.yamato-hd.co.jp/hnd-chronogate/visitortour.html
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最後になりますが、ヤマト運輸の木村さん、高橋さん、南波さん、鈴木さん、山邉さん、井上さん、大谷さん、山口さん、同社広報ご担当の秋山さんには、この場を借りて再び御礼申し上げます。また、この場の構築を手伝ってくれた中原研OBの関根さん、MCCの調さん、本当にありがとうございました。
またこれに関しては、雑誌プレジデントの「職場の心理学」という連載で、取り上げさせていただくことになっております。杉下さん、井上さん、中原のお仕事です。どうぞお楽しみに!
そして人生は続く
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追伸.
理念経営につきましては、先だって僕の授業にご登壇いただき、素晴らしいワークショップをしてくださった首都大学東京の高尾義明先生が、王先生とともに、実証的な研究をふくめ、ご著書にまとめられておられます。理念経営は、これまで実証的な研究が少なく、実務が先行する分野でした。こちらでは、理念経営に関する理論、そして最新の実証データをもとに、論じておられます。おすすめの一冊です。
「経営理念を浸透する」ということはどういうことか?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/07/post_2252.html
投稿者 jun : 2014年9月 3日 06:54
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