読書とは「地図」をもつことである!? : あなたが手にしているものは「世界地図」ですか、それとも、「町内会地図」ですか?

 研究者は、一般に、たくさんの本や論文を読みます。
 少なくとも僕の領域に関しては、毎月毎月、どうしても目を通しておかなければならない大量の論文・書籍が出版されますので、いかに、そのスピードにおいつくかが課題になります。

 最近は小生も、様々な業務に忙殺され、勉強する時間が少なくなっており、「こりゃ、まいったな」と思うときもないわけではありません。でも、まだまだ「第一線」にいたいので、日々格闘の毎日です。

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 ところで、本や論文のことを考えるとき、小生が、まだ二十代の駆け出しの頃の(まだまだぺーぺですが・・・)、2つの出来事が思い出されます。

 ひとつめの出来事は、ある著名な先生から言われたことでした。

「中原君たちの若い世代は、これから、"前の世代の仕事"を乗り越えなければならないんだよね? てことは、僕たちの世代よりも、勉強するってことだよね? 僕たちよりも、読まなければならないってことだよね。で、その読書量で足りるの?」

 嗚呼、遺体。
 じゃなかった、、、痛い(笑)。
「歩く人文社会科学事典」のような、この先生に、こう言われてしまえば、もう何も言えません。修行します。
 
 ふたつめの出来事は、先輩の研究者から言われたことです。

「多読するってことは、自分の地図をもつことだよ。研究者には"世界地図"もって冒険している人もいるし、"町内会の地図"をもってお使いしている人もいる。中原君の地図はどのくらい?」

 嗚呼、再び、遺体(笑)。
「博覧強記の先達」に、そう言われてしまえば、もう何も言えません。
 修行します。

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 今日は読書について、やや「自爆的」に書きました(ちゅどーん、嗚呼)。
 最近、自分が以前ほど文献を読み込めておらず、以前にも増して「さらにアホ」になっているな、ということに危惧を感じ、「嗚呼、読まなければな」、と、自分にムチを打つつもりで。名前は忘れましたが、「本棚を見れば、その人の知性がわかる」という名言を残した人もいましたね。嗚呼。頑張りますとも。

 みなさんの「地図」はどのくらいの広さですか?
 そして人生は続く。

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追伸.
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