OJT指導員になるということ:「マネジャーへの成長」への序説

 中原研究室では、研究室のメンバーが、自らのプロジェクトを遂行する一方で(自分の研究をする一方で)、研究室で掲げる様々なプロジェクトに「任意」で参加し、研究を行っています。
(研究に参加するかどうかはあくまで任意です。参加の場合には、諸条件やゴールを提示したうえで、合意のもとで参加してもらいます。それらをなぁなぁにして研究をスタートさせることはありません)

 ここ1年ー2年では、5本くらい?、研究プロジェクトがはじまっているのですが、ここ最近本格化しつつあるプロジェクトに「OJT指導員の変化を追うプロジェクト」があります。

 通常、OJT研究と申しますと、OJTを提供される側ーすなわち「新人さん」の方に注目するのですが、この研究では「OJTを提供する側」、すなわち「OJT指導員そのひと」の「変化」について縦断調査をおこないっています。
 去年より中原研OBの関根さんと研究を進め(メーカー2社の人事部の方々、また現場の方々に御協力をいただきました!ありがとうございます:心より感謝です)、今年から保田さん、学部生!の松本さんもジョインして、研究を進めています。

 ここで、僕が追求したいテーマとは

「OJT指導員になる」とは、「実務担当者からマネジャー」に向けての「役割移行(トランジション)」を円滑に進める「重要なイヴェント」である

 ということです。換言すれば、「OJT指導員になったときに人が直面する課題」は、「マネジャーになって直面する様々な課題のミニチュア版課題」であるともいえるかもしれません。

 人は「OJT指導員」になれば、これまでは直面しなかった様々な課題にぶち当たります。

(新人)部下をどのように育成すればいいのか?
 プレーヤーとしての自分の時間と、育成の時間をどのように両立させるか
 部門内の様々な人々、上司といかに調整するのか?

 などの課題が生じます。これらの課題をOJT指導員は、どのように乗り越え、どのように変化をとげていくのか、ということが追求したいテーマです。

 これらの内容は、これまで僕や僕の研究室で取り組んできた「教育機関から職業領域へのトランジションの研究」「新人育成関連の研究」そして「マネジャーへの発達への研究」の「空隙」を埋めることになるのではないかと思います。

 否、正しくいえば、現在のデータで「空隙」を埋め得るかどうかは、いまだわかりません。今回の研究のデータがあまりに複雑すぎて、それらを解読するだけでも、かなり時間がかかりそうです。昨日の保田さん、松本さんの会議では、そのことを痛烈に思いました。
 しかし、そういう「淡い期待」?「ゆるやかなビジョン」のもと、今日も、研究に邁進しています。
 
 分析は牛歩です。
 今日も一歩、明日も一歩です。
 でも、現場の方々にほほーと言っていただけるような知見を夢見ています。

 そして人生は続く
 
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追伸.
 5月9日、拙著「駆け出しマネジャーの成長論」が中公新書ラクレにて刊行されます。AMAZONではすでに先行予約がはじまっておりますが、先だって、「瞬間最大風速」的に、カテゴリー「マネジメント・人材管理」1位を記録しました(笑)。ありがとうございます!
 この本は、「実務担当者がいかにしてマネジャーになっていくのか」を扱った一般向けの新書です。人材育成研究の知見と、先達マネジャーの語りから、新任マネジャーが直面する7つの挑戦課題について、それをいかに乗り越えるかを考えています。玄人のみなさまにもお楽しみ頂けるように、脚注などを充実させました。どうぞご笑覧ください。

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