「獲得系の学び」と「意味づけ系の学び」:社会人が学ぶときに起こること!?

 社会でバリバリと業務経験を積んだ方が、ふたたび、大学院にきて学ぶという場合に、典型的に見受けられるニーズとしては、僕は2つあるように思います(分野にもよるので、僕の研究領域は、という話です)。

 ひとつは「獲得系(Acquire)」。
 もうひとつは「意味づけ系(Justify)」です。「Justify」は、日本語になおすと「正当化」なのですが、ここではちょっと意味が異なるので「意味づけ系」とさせていただきます。後者のキーワードは、つい先だって勉強会をやったときにTさんが発表なさった文献にあったので、ここでも引用させていただきます。

 前者「獲得系の学び」とは文字通り、「新たな知識・スキルを学びたい」というものです。

 僕の領域でしたら、人材マネジメントの基礎知識、統計をふくむ研究方法論のスキルなどを身につける、などのことがあります。
 実際は、これらの知識・スキルを何か「教材・授業などで体系的に学ぶ」というよりは、「自分の問題関心にあった研究を通して」学んでいくことになります。少なくとも僕の研究室では。

 後者の「意味づけ系」とは、「これまでの社会人として業務経験を積み重ねてきたことが、いったい何だったのか?を発見する学び」です。日々の忙しさに追われ、様々な業務経験やプロジェクトをつみ、ここまでやってきた。で、そうした数々の経験をいったん「棚卸し」して、それを意味づけて(Justify)みたい。そのうえで、自分の軸を発見してみたい。これが「意味づけ系」です。

 実際には、これら2つは複雑に絡み合っています。「獲得」を通して、自分の業務経験を意味づける何かが見えてくる。意味が見えてくるから、さらに学ぶことができる。

 今年も4月が近づいてきました。中原研は2名の新入生を迎え、ゼミが開始されます。ゼミ長の吉村さんは入念に準備をしてくださっています。心より感謝です。今年は、どんな研究の果てに、どんな「意味」が見えてくるでしょうか?

 春、あともう少しで2014年度のはじまりです。
 そして人生は続く
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追伸.
 先だって、中原研から2名の博士号取得者がでました。脇本さんと舘野さんです。お二人とも、最後まで粘って、よい論文を書き上げました。審査にあたってくださった先生方には、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。