「育成機会としての海外派遣」に潜むメリットとリスクとは何か!?

 若いうちに海外派遣でも経験して、「新たな視点」を身につけて帰ってこい!

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 このように実施される「育成機会としての海外派遣」には、メリットもある一方で、リスクも含まれています。

 おおよそ、人材に関係することで「メリットだけ」が存在することはあまりなく、概して「素晴らしい施策」であればあるほど「リスク」も含まれているものです。

 「育成機会としての海外派遣」の「リスク」のひとつとは、「メリット」であるはずの「新しい視点の獲得」、まさにこのことにあります。これが「行為の意図せざる結果」をもたらすといっても過言ではありません。

 端的に申し上げるであれば、確かに、海外派遣を経験した人は、たしかに「新しい視点を獲得できる」のかもしれない。
 しかし、「新しい視点」でものを見るようになった結果、「今まで自分が働いていた組織や仕事」が「全く違ったもの」に見え、「色褪せた日常」をそこに感じてしまう、可能性が高まる、ということです。
 その結果、モティベーションが一時的に下がったり、最悪の場合、辞めてしまう、ということです。そういうリスクが隣り合わせです。

 狙い通り、海外派遣は、個人に「新しい視点」をつくりだすのです。しかし、「新しい視点」とは、言うのは簡単ですが、「諸刃の剣」です。それは、知識が増えた減ったの、単純な話ではありません。
「新しい視点」は、個人の「これまで」と「慣れ親しんだ世界」を「全く違う光景」に変えてしまいます。そして、「全く違う光景」に一度見えてしまった対象は、二度と同じものに見えることはありません。「新しい視点」という、わずか5文字で語られるものは、かくのごとく、パワフルであり、リスキーです。

「新たな視点」を獲得した程度が高ければ高いほど、すなわちメリットが増せば増すほど、このリスクは高まります。獲得する新たな視点の程度が低くなればなるほど、リスクは低いですが、メリットも享受できません。すなわち、これらの諸課題はトレードオフです。

 ここで人材マネジメントの観点から、まずは勘案しなければならないことは、海外から帰ってきたあとに、どのようなキャリアを積ませることができるのかを考えることです。
 そして、帰任後には、丁寧なコミュニケーションをはかることではないかと思います。

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 今日は「育成機会としての海外派遣」の話をしました。今日の話は、だからといって「海外派遣は避けるべきだ!」と言いたいわけでは断じてありません。むしろ、その逆です。「見慣れた日常」を相対化する機会として、ぜひ、多くの若い人々には、海外に出て欲しいと僕は思います。また、僕も、その恩恵を授かった一人でした。
 しかし、その際大切なことは、もうひとつあるということです。海外派遣は「赴任」も大切ですが、「帰任後」も、また大切ですね。せっかく多額の費用をかけて海外赴任させるのですから、帰任後、その力を十全に活かすべく働きかけをなしたいものです。

 そして人生は続く